目黒郁也、ベーシスト。元々彼を識ったのは「次世代スーパーべーシストプロジェクト“PROJECT B.”」の動画(3人目およびラストのプレイ)。
自分はかつてドラムを演っていたからか、ベースは一番「聴く」楽器で、よくベーシストのプレイ動画なども観ている。そんな動画ではハジけるスラップや素早いライトハンドなど華麗なテクニックに目が奪われがちだが、王道の「フレーズ」と「音色」で攻めていたのが彼。
もちろんテクニックがないわけではなく、時々挟まれる小技はとても高度なのだけど、それを前面に出すのではなくてフレーズを大切にしているカンジ。彼のプレイは「歌うベース」と呼ばれているようだが、まさに。
そんな彼のプレイは動画サイトやライヴなど各所で聴くことができるが、「モノ」としての作品には昨年末(2014年12月)に出たミニアルバムがある。これは自主製作の手作り盤だったようで、自分が気づいたときには手に入らなかった。彼のプログにそのことを書き込むと「再販の予定がある」とのレスポンスが。それを待っていたらこの10月再販されたので入手した。
サブタイトルに「ベーシスト目黒郁也によるBASSだけのミニアルバム」とあるが、彼の弾くベースのみで構成されている作品。曲は彼の参加しているバンド、「ONE HEART BAND」のオリジナルで、もとは歌詞付きのもの。それをメロディはもちろん?、リズムもコードもベースの多重録音で構成した作品。
彼のバツグンの存在感の溢れる音と、歌心溢れるプレイが聴ける。
「STAY UP ALL NIGHT」。この曲が一番キャッチーだな。最低4本のベースが聞こえる(センターにメロディといわゆる「ベース」、左右にコード担当)が、どうもリズムマシンの様に聞こえる音まで全てベースによる音らしい。パキパキと「たち」のよいメロディ音を包む「ベース」の音がよい。その音色は「ベース担当」のベース(ややこしいなw)のためかやや地味にしているので目立たないが、よく聴くと動く動くw
「はくもくれんの木の下で」はバラード。優しいメロディをなぞるパートとベースパートの2本なのでベースパートも上の方まで出張っていて二つのベースの絡みがリリカル。所々に挟まれるハーモニクスがキレイ。
ラストの「優しい風の吹く街」もスローめの曲なのだが、コードとアルペジオを交互に取る左右のバッキングにメロディ、オブリガード、「ベース」にリズムと多くのベースが聴こえ音数が一番多い感じ。ゆっくりとたゆたうようなメロディラインと暖かい心臓の鼓動のようなリズムが心地よい。
上手い楽器プレイヤーは自分の担当楽器のみで音楽を創ることに挑戦することが多いが、ピアノのような広い音域と単音にも和音にも対応できる楽器ならともかく、単音楽器やリズム楽器がそれをやるとキワモノになってしまうことも少なくない。「○○だけで創りました」というのを前面に出した作品は、その楽器のプレイヤーには勉強になっても、一般リスナー(←ヘンな言葉だな)には興味が持てないようなものも多いのだ。そんな中純粋に音楽として楽しめる造りになっているのはとてもヨカッタ。
ただ惜しむらくは3曲のミニアルバムで、ちょっと「喰い足らない」感が。ミニアルバム、とは言ってもあと2曲位は欲しかったなー、って。でもそれはジャケットに「BASS MINI ALBUM VOL.1」と書いてあるので、続編期待で!
【収録曲】
1. STAY UP ALL NIGHT
2. はくもくれんの木の下で
3. 優しい風の吹く街
試聴サイト(tuneCORE)
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購入金額
1,000円
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購入日
2015年10月15日
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購入場所
ONE HEART MUSIC
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