標準状態で高域方向が強めのインナーイヤーフォンと組み合わせると良好な方向に変化することが多いイヤーチップである、Complyシリーズ。
いくつか製品バリエーションはあるのですが、単価が結構高めなのでなかなか気軽に買って試すという気分になりませんでした。しかし、Philips Fidelio S2添付のComplyをMUIX IX3000と組み合わせてみると、かなり良いバランスに近づいたということもあり、一度使い比べてみようということで、3種類の詰め合わせパックを買ってみることにしました。
私の手持ちの中ではこれに適合するものが多い、200シリーズのSサイズパックです。
3種類の性格に合わせて「Sports」「Isolation」「Comfort」と区別されていますが、
・Sports:Sシリーズ
・Isolation:Tシリーズ
・Comfort:Tsシリーズ
という意味であると思われます。
遮音性は抜群だが、音質はかなり相手を選ぶ
それでは実際に再生音を比較してみようということで、まずはPhilips Fidelio S2にS-200を装着してみました。
Fidelio S2には標準添付のイヤーピースとしてComplyが用意されていますが、S-200でも基本的な傾向は同様です。刺さるような高域は改善されるのですが、微細な表現やキレの良さを失ってしまい、Fidelio S2の長所を活かすものにはなりません。
最もComplyとしての特徴が薄いS-200でもこれではということで、急遽組み合わせるイヤフォンをMUIX IX3000に変更しました。こちらはComply前提で作られていたのではないかと考えてしまうほどの相性ですからね。
まずS-200を組み合わせてみたのですが、「Vivaldi Vs. Vertigo / David Garrett」のヴァイオリンがかなり細身かつ硬質な響きとなります。低域方向の量感も不足してしまい、IX3000の短所がそのまま残ったような傾向となってしまいます。
次にT-200を組み合わせてみると、前述のDavid Garrettのヴァイオリンの音はぐっと良くなります。S-200の時よりは音色が豊かになりますし、低域方向の量感も随分増してバランスが整います。しかし「Get Lucky / Daft Punk feat. Pharrell Williams」を聴くと高域方向のキレが失われていて、この曲の歯切れの良さを味わえなくなってしまっていることに気付きます。
そこで製品紹介に「高音域PLUS」と書かれているTs-200に入れ替えてみると、今度はハイハットのキレもまずまず出ますし、低域方向もT-200に近い程度の量感が確保できています。David GarrettのヴァイオリンはT-200よりはやや硬質かつ細身という傾向になりますが、S-200ほど極端ではなく何とか許容範囲というところに落ち着きます。
好みのソースによってT-200とTs-200のどちらかを選ぶべきという程度なのですが、比較的幅広いソースをこなせそうなのはTs-200の方でしょうか。
もっともComplyのネックはやはり価格でしょう。送料無料キャンペーンが適用されるので今回は買ってみたのですが、3種類(そのうち1種類は明らかに他よりも安い)各1ペアで2,500円ですからね。
元々高域方向が大人しい製品には全く合わないという相性面での難しさを考えると、あまり気軽に替える製品ではないといえます。遮音性は他のイヤーピースよりも遙かに有利ですが、外出時にそこまでの遮音性を保つことが正しいことなのか、個人的には疑問に思いますので。外出時には仮に電車やバスの車内であっても周囲の音がある程度聞こえなければ危険だと思いますからね。
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購入金額
2,500円
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購入日
2015年09月13日
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購入場所
eイヤホン
退会したユーザーさん
2015/09/13
みたいな流れに乗ってたなぁ(今思えば恥ずかしい・・・・・・)
自分の音の好みと全然違うんですけどね(笑)
jive9821さん
2015/09/13
Complyは各所で絶賛されていて、まず使ってみたくなる存在なのですが、実際に使ってみると使いどころが限られるなかなかの難物という気がしますね。
私の場合は間違いなく相性が良いIX3000があったので、買っても全く無駄にならないという確信があったので手を出せたのですが、そうでなければまずTシリーズを1ペアだけで買ってみる程度が無難な気がします。