先日ジャンク扱いで購入して、取り敢えずごく普通に使えるということは確認できたDENON DL-103D。手頃なヘッドシェルが余っていませんでしたので、仕方なくガラクタ箱から掘り出してきた、DENON製の薄手のアルミプレスと思われるヘッドシェルに装着して音出ししていました。リード線はまだストックが残っていた、audio-technica AT6101を使いましたが…。
DL-103Dは本来オリジナルのDL-103と比較して高域寄りのバランスとなっている筈なのですが、この組み合わせで聴くDL-103Dは力感や解像度が乏しく、キレのない音になってしまっていました。
さすがにDL-103Dも古いカートリッジであり、コンディションが完全ではないということもあるでしょう。しかし、それにしても本来の持ち味とは傾向が違いすぎていました。ひょっとすると、ペラペラで剛性がないヘッドシェルに原因があるのでは無いかと思いついたのです。
そこで別件で用事があったオーディオ店で、出向いたついでに買ってきたのが、オーディオテクニカ製のヘッドシェルとしては最廉価モデルとなる、このAT-LT13aです。より安価なOrtofon SH-4とどちらを選択するか迷ったのですが、肉厚でより剛性の高そうなこちらを選んだというわけです。なお、その販売店には上位製品となるAT-LH18/OCCも在庫はあったのですが、さすがにそこまで金をかける必要も無いだろうと判断しました。
外箱のデザインは相変わらずのもので、AT-LH系とも同じ見慣れたものです。
気のせいかも知れませんが、中学生時代に買ったAT-LT13aと比べると、表面のメーカーロゴの文字色が濃くなったような気がします。
上位製品とは異なり、添付のリード線は単売品ではなく、格安のヘッドシェルセット品カートリッジ等で使われる、細身でさほどコストはかかっていなさそうなものです。まあ、これは以前のヘッドシェルからAT6101をそのまま持ってくるので問題にはなりません。
添付品はカートリッジ取り付け用のビスのみです。なお、AT-LT13aや、同形状のマグネシウム版であるMG10は、可動箇所が存在しないため上位製品のようなミニレンチが添付されません。
細かい調整は出来ないが、音質的には悪くは無い
それでは、DENON DL-103Dを組み合わせてみましょう。前述の通り、リード線も添付品は外して今まで使っていたAT6101をそのまま持ってきます。
この状態でオーバーハング長は51mm少々で、SL-1200Gの指定長である52mmにはやや不足しているのですが、AT-LT13aはネジ位置以外で調整することは出来ませんので、これ以上伸ばすことが出来ない以上仕方ありません。
早速この組み合わせにしたことで音質がどう変化したのか、確認してみることにしましょう。当然ながらTechnics SL-1200Gとの組み合わせで試聴することになります。
試聴には「The Nightfly / Donald Fagen」の重量盤リマスターLPを使いました。
すると、今までの音は何だったのかと疑問に思うほどに、解像度が上がり高域方向がスムーズに伸びるようになります。
試しに現行モデルであるDL-103Rとも聴き比べてみましたが、低域も高域もより素直に伸びているのはDL-103Dの方でした。DL-103Rはややレンジの狭さが感じられ、しかも可聴帯域内にアクセントを付けて、押し出しよくやや派手な音というイメージです。
DL-103Dの方は強調感の強い部分はさほど感じられず、バランス的にはやや高域寄りであるものの変なアクセントがないため一聴すると随分大人しい音に感じられます。しかし、丸針のDL-103Rよりは高域方向の透明度や解像度ははっきりと上回っていますし、ヴォーカルも伸びやかです。むしろ他と聴き比べることでDL-103Rの強調感の強さが顕著になります。元々FM放送で使われることが多かったDL-103であるだけに、これくらい派手な方が放送を受信して聴くときに丁度良いバランスになるのでしょうけれど、家庭でごく普通に再生するにはDL-103Dの方が明らかに整った音に感じられるはずです。
そのDL-103Dの持ち味を引き出せる程度の性能は、AT-LT13aにも充分備わっているということになります。角度やオーバーハング長を細かく調整するのであれば上位製品が必要となりますが、ある程度あっていれば良いというのであれば、案外この製品で性能は足りているのかも知れません。
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購入金額
2,533円
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購入日
2019年05月08日
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購入場所
オーディオスクエア幕張新都心
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