以前掲載したASRock H77M-ITXは現在ファイルサーバー兼Hyper-Vホストとして利用しているマザーボードで、この環境で開発用のサーバー環境も構築しているため、故障に備えて予備のH77M-ITXも用意しました。
そして、もう一つ別のアプローチとして、現在のパーツがそっくり流用可能な他のマザーボードも用意してみようと考えて新たに調達したのが、このPortwell WADE-8012です。
この製品は所謂自作用ではなく、組込用途向けにリリースされたものでしたが、規格はきちんとMini-ITXに準拠しています。強いて言えば、バックアップバッテリーは適当なところに貼っておくようになっている辺りが、やはり自作向けとは違う発想です。
I/Oパネルです。D-Sub 9Pのシリアルポートが2系統確保されている辺りは、最近のマザーボードとしてはかなり珍しいところです。イーサネット端子も2系統備えていて、Intel 82574L + 82579LMという構成となっています。
SATA端子は6Gbps×2+3Gbps×4用意されていて、Mini-ITXとしては多めとなっています。ターゲットを絞っているものではなく、幅広く活用出来るよう設計されているということでしょう。
マザーボードの裏面です。ITE製のレガシーコントローラーやRealtekのオーディオコーデックチップなど、一般的なマザーボードでは表面に実装されている部品が多く見えます。
購入時点での添付品です。I/Oパネルシールド、SATAケーブル、ドライバーディスク辺りは一般的ですが、マザーボード上に既に2ポート用意されているシリアルポートの増設ブラケットが入っている辺りは少し驚かされます。今時2ポートで足りない使い方を想定しているということでしょうか。
自作用並のサポートは存在しない
さすがに組み込み用だけあり、自作用では当たり前となっているBIOSの更新ファイルの一般提供などはありません。リセーラー経由で新品導入した顧客に対しては、リクエストがあればメーカーから提供されるようですが、それ以外の顧客が入手する方法はありません。
チップセットがQ67である点などからも明らかですが、小型サーバー用途を最初から想定している製品なのではないかと考えられます。
仕様については一応日本語版の公式情報があるのですが、これが本国の情報とは結構異なっています。恐らく本国の方で更新された情報を反映していないだけなのだと思いますが…。
最も大きな違いは最大メモリー搭載量で、日本語の製品情報では最大8GBとなっているのですが、本国の情報では16GBまで対応していることになっているのです。
対応CPUについても日本語版では「第2世代 Intel Core i7/i5/i3」(つまりSandy Bridge)と明記されているのですが、本国では2nd Generationの文字はなく、実際にIvy Bridgeの動作例もあるようです。
チップセットがあまり他では見かけないQ67であることから、以前プレミアムレビューで使わせていただいた、Intel DQ77MK(Q77チップセット搭載)と機能面では近いものがあり、vProに含まれる各種機能にも対応しています。
仕様表を見ても、Intel Active Management Technology (AMT) 7.0やVT-xサポートなど、何となくvPro冒険レビューの苦難の記憶がよみがえってきそうなワードがちらほらと見えます…。
以上のように、利用目的に上手く合致すれば非常に良く出来た製品なのですが、一般的な自作パーツではないだけに実売価格が非常に安いのです。中古ではありますが、税別2,980円という販売価格であり、メジャーブランドの自作向け同等製品であれば間違いなく2倍以上の価格が付けられていそうな仕様ですからね。
予想以上に面白そうな製品だったので、あとで一つ追加注文してしまったほどです。BIOSアップデートなどが期待出来ない点はマイナスですが、動作温度も摂氏0~60度と一般的な製品より少し高めに広く設定されていることから、耐久性には一定の自信があるのではないかと思われ、連続稼働用には特にお薦め出来そうな製品です。
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購入金額
3,229円
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購入日
2015年07月20日
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購入場所
ドスパラ
jakeさん
2015/08/04
機械側がラクなので、シリアルを使うものって多いんです。
だから4つもシリアルポートがあるんだと思いますよ。
jive9821さん
2015/08/04
コメント有難うございます。
組み込み用と説明されているのですが、何処に組み込んでいるかは特に公表されていない製品ですので、機械制御などを想定しているのかも知れませんね。
あとで仕様を調べて驚いたのですが、パネル上段のシリアルポートはRS-232だけではなく、RS-422やRS-485もサポートしているようです。この辺りにも制御用という性格が表れているのかも知れません。