末弥純さんのイラストに出会ったのは、なんの捻りも無く、ウィザードリィFC版からでした。
その迫力、凄味、妖艶さ、どれを取っても、剣と魔法のハイファンタジーの実体感が伝わって来て、虜になりました。
本書の帯には、収録されている末弥氏の言葉の一節が付けられていました。
言い得て妙、ですね。
末弥氏の絵は、時に「凄く重い」んですよね。
厚ぼったいとか、重苦しいとか、ではなく、「空気の密度」が濃いと感じます。
この絵の世界に手を突っ込んだら、魔力や妖力のような目に見えないけれども、存在している力が絡みついてくるのでは無いか、と想像できる程の濃度。
そうかと思うと、逆に、「光の密度」の濃さは明度とかを飛び越えて暖かさだったり、「重量感のある軽さ」(矛盾しているようなんですけれども、こう表現するのがぴったりな気がします)を与えてくれます。
そして、なによりも、艶やかを通り越した妖艶さ。
絶世の色気があります。
特に、代表的なイラストと言えば、魔界都市に棲み、医業を営む魔界医師メフィスト。
一目見た人間、いや、機械ですらも惚れさせるという美貌のヒト。この造形は、末弥氏の絵でなければ、きっと、良くいるイケメンで済まされたのだろうなあ、と感嘆します。
月をバックに、薔薇を持って立っている。なんて、無茶苦茶ベタなイケメンポーズも、この通りの妖艶さ、凄いとしか言いようがないです。(コンデジでページを無理やり撮ったので伝わらないかも)
油絵なので、全てを埋め尽くすように色を置いていく必要はあります。けれども、ただ、色を置いて空白を埋めていないなあ、という感覚。
それが、ご本人が仰っている。
「写し獲りたいのは滑らかな表面ではなく、より確かな存在感ーー存在を支える空気。」
そのものなのだと思います。
息苦しくなる位の存在感が、空気の重さとして描かれている。
棒人間しか描けなかった私が、イラストを描いてみたいなあ、と思ったのは、無謀にも、この人の絵に憧れたからなんですよねw
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購入金額
4,320円
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購入日
不明
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購入場所
UDさん
2015/07/08
L2さん
2015/07/08
わーい、仲間ですねー!
このズシリと来る迫力、とても好きなんです。
ついつい、このタッチに近いものを見ると手に取ってしまうくらいにw