AMBROSIA。時代によって大きく音楽の方向性が異なる1970年代を中心に活動したバンド...とは言っても厳密には現在も続いているバンドでもある。1982年に一度解散するも1989年に再結成、現在に至る...という経歴。ただし、ライヴアルバムなどを除いたオリジナルアルバムは1982年のものが最後なので、活動の中心は1970年代といえる(シングルはその後リミックス以外のものが1枚出ている)。オリジナルメンバーにはAORの名盤、“Anywhere You Go”
を成したDavid Pack(ギター)もいた(再結成にも一時参加⇒現在は脱退)。このときのメンツは他にベースのJoe PuertaとドラムスのBurleigh Drummond。
このバンドは結成当初、「西海岸唯一のブログレバンド」というのが通り名だった。しかし、その後AORの比重を高め、のちにTAKE6にもカバーされる最大のヒット曲「Biggest Part of Me」を含むアルバム“One Eighty”
の頃はすっかりソフィスティケイトされて、ソウル風のフレーバーを効かせた都会系AORバンドになっていた。
この作品はその“One Eighty”のひとつ前の3rdアルバム。まだ、プログレ臭漂う曲とAORチックな曲が同居していて面白い構成になっている。
「Life Beyond L.A.」。ところどころに挟まれるクラシカルな雰囲気のピアノとヘヴィなユニゾンリフとの落差が面白いプログレ系楽曲。デッドなドラムの録音やシンセサイザー丸出しの?音色が時代を感じさせる。ギター~キーボードソロの前のキメフレーズがやっぱりプログレってる?
Michael McDonald時代のThe Doobie Brothersばりの美しいコーラスが聴けるザ・AOR、「How Much I Feel」。ブリッジ部分でのDavidのフェイクラインが美しい。
「シンセサイザー」という感じのイントロが懐かしいポップロック「Not As You Were」。ギターのハモリやカランとした音色のカッティング、8分音符で刻むベースが心地よい西海岸系ロック。シンドラの音が懐かしいな。
「かなりプログレ」からソウル調バラード、明るいアメリカンロックまでごった煮の様相。ただこのアルバムからは3枚シングルカットされたが(「How Much I Feel」、「Life Beyond L.A.」、「If Heaven Could Find me」)、飛びぬけて売れたのが「How Much I Feel」。これによりこのバンドのAOR志向が強まって、「Biggest Part of Me」の大ヒットにつながるのだが、実はアルバムセールスは“One Eighty”よりこの“Life Beyond L.A.”の方が良い。
そういう意味では本作は旧来のファンを維持しつつも新たな層を引き付けるような懐の深さが感じらるが、“One Eighty”はAORに寄りすぎて旧来のファンを切り捨てて新規層を獲得するという結果となってしまったのかもしれない。「ビジネス」と考えると音楽の業界は難しいな、と思える事例です。
【収録曲】
1. Life Beyond L.A.
2. Art Beware
3. Apothecary
4. If Heaven Could Find Me
5. How Much I Feel
6. Dancin' By Myself
7. Angola
8. Heart To Heart
9. Not As You Were
10. Ready For Camarillo
「Life Beyond L.A.」
「How Much I Feel」
...この2曲が同じアルバムに入るというスゴサww
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購入金額
2,400円
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購入日
1992年頃
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購入場所
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