講談社ノベルズ版(新書)を所持しています。
この本と出合ったのは、発売日の書店でした。
帯の推薦文「そのゲームには「日本」が封じ込められていた」が、私の心を鷲掴みにしたのです。
時は、スーパーファミコン全盛の時代。
三國志や信長の野望、SIMシティーといったシミュレーションゲームが登場していた時代です。
現実世界でのシミュレーションゲームを題材に採っての創作上のゲーム。
それを軸にした殺人事件と陰謀。
というあらすじですね。
よくよく見ると、近年、ドラマ化された安積班の安積班長が登場しています。
さてさて、あらすじを書くとネタバレになりますので、私が喰いついた、作中で傑作と描写される「蓬莱」というゲームの魅力を語ります(マテ
『このゲームは、当初パソコン用として発売され、パソコンソフトとしては異例のヒットで、SFCに移植されることとなりました。
ゲームの舞台は、SIMシティーに似ています。100種類あるMAP(全て古代日本の沿岸部)から一枚の地図を選び、そこに上陸する指導者となって街づくりをして発展していく為にプレイします。
また、人物がそこに辿り着いた経歴が設定できます。
権力争いや戦争に負けた国の末裔だとか、迫害を受けた宗教が新天地を求めるのか、或いは更なる布教なのか、膨張する国家の侵略の先陣なのか。
それによって、指導者のスキルが決まります。医術や天文、呪術や化学、戦術や政治等々。
そして、上陸する集団の中身を決められます。
2000人の人口に値する集団。技術や、道具などを人口換算で引き換えて上陸するのです。
経歴によっては、敗残の主に付き従う武将(戦闘技術)が居たり、宣教師(知識階級)が居たり、といったボーナスが有ったりもします。
上陸の目的も決める事が出来て、その目的によって、集団の志向する理想や、発展の方法が変わったりもします。
その初期設定で、古代日本の海岸線の何処かに上陸して集落を作り、ムラをクニに発展させていくゲーム。
それが、「蓬莱」です。
この舞台には、原住民として縄文系、或いは弥生系の集落があり、上陸する地図内で接していたり、或いは、隣り合った地図にクニを構えていて、発展していくと接触する事になります。
武力、婚姻、技術交流、などの交渉を駆使して、自らの率いる集団を大きなクニにしていく事が目的です。
気候や災害、地形による収穫の違いなどで人口の増減が思い通りにいかない事もあります。
そういった条件の中で、開始50年目である程度の規模に達していないと、発展に失敗したと判断されてゲームオーバーになるのです。
プレイヤーは経歴や持ち込む技術、人員、上陸地点などを試行錯誤して発展し続けるクニを作っていく、そして、クニが出来たら、勢力争いをする戦略ゲームにもなるのです』(L2さんによる要約)
この設定を読んだ時に、「ああ、何という面白そうなゲームなのだろう、実在したら良いのに」と心の底から思い、小説を読み進める内に、実際にSFCだったら、こんな画面なんだろうなあ、という画像を幻視するに至りました。(SIMシティーに信長の野望の国盗り要素と武将の存在を足したような、と当時の画面写真などを脳内合成してましたねw)
さてさて、本題に戻って、物語は、その「蓬莱」がPC版から、SFCに移植されるにあたって、何故か、暴力団と思しき者から作成を中止しろという脅迫を受ける開発会社の社長。
キーとなるのは、「蓬莱」というゲームそのもの。
しかし、PC版は何も言われなかったのに、何故、SFC版にストップが掛かるのか?
主人公の設定や能力、目的など、明らかにPC版の方が容量の問題もあって、多様の選択が出来て、シミュレーションとしても自由度、完成度が高い。にもかかわらず。
軸となる「蓬莱」を調べる為に攻略していく描写があり、その歴史というか古代日本の風土の変遷の再現度にワクテカしました。(想像上のゲームなので、本当に実現できるかどうかはともかく、魅力満点でした)
この攻略によって、殺人までエスカレートした脅迫事件の謎が解き明かされていくという、良い物語です。
シミュレーションゲーム好きは、事件とかそっちのけで、「蓬莱」を知りたいと思うハズ。
ここまで、架空の存在を羨ましく思ったことは初めてだったかもしれません。
その後にWindowsで出会った
二つのゲームが、「蓬莱」の見せてくれたシミュレーションゲーム(ストラテジーゲーム)の魅力を内包していると感じたL2さんは、パラドックスインタラクティブ社の世界にハマっていくのでした。
あれ、小説の話をしようとしていましたが、話が逸れましたねw
リアルタイムストラテジーや、箱庭ゲームが好きな人は、分かってくれるかなあ。
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購入金額
800円
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購入日
1996年08月頃
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購入場所
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