使用しての感想
端的に言えば、ソニーの商品でこれだけわくわくするものは久しぶりだと思う。
ソニーの名を世界に知らしめたウォクマンの斬新さが「音楽を外に持ち出す」だとしたら、このデバイスは「音楽でスポーツを楽しむ」とでも言う商品。
ありそうでなかったものといえるんじゃないでしょうか。
概要はご存じの方も多いと思いますが、ペースや心拍に基づいて、目標のペース/心拍を下回るとより高い、上回るとより低いBPM(Beat Per Minute=要は音楽のテンポ)の音楽を再生して、目標のペース/心拍に合わせやすいようにしてくれるというものです。これが存外に楽しい!
単に好みの音楽を順番に演奏しつつ走るっていうことなら、既存のWS610シリーズなんかでも可能なんですが、このテンポを合わせてくれる感じが意外と効くわけです。
もともとはトライアスロンのランパートのトレーニング用に購入しました。
脱線ご容赦で説明すれば、もともとのホームグラウンドはまずバイク、でスイムもまあまあ。ランは短距離専門で中長距離は苦手、トライアスロンのために仕方なく走っている・・・より正確には走っていませんでした。なにせ、昨年初のスプリント・ディスタンス挑戦にあたって、スイムは最低でも週1で、バイクは数え切れないくらい走りましいたが、ランは5キロを1回だけ・・・。
本番も走っては休み、走っては休みという相当に軟弱な参加者でした。
そんな私が、発売日の購入以来、3ヶ月弱で150キロあまりを走っています。
それも、3月40キロ弱、4月50キロ強、5月60キロ弱と距離も着々と伸びています。
その裏には、走り出しでいきなり、太陽にほえろの聞き込みのテーマ曲(正式名称は青春のテーマ)が流れたりすると、アゲアゲで走れるわけですし、体が温まって、ここは巡航速度キープっていう感じの時にはヴァンゲリス・南極物語のテーマで淡々と距離を稼ぎ、坂道でちょっと心拍が上がってヘロヘロの時にミスチルはCross Roadで応援してくれて、ラストスパートはクイーン・フラッシュゴードンのテーマで最後の勢いをつけてくれる、そんな万博世代の私としてツボにハマるは感じがあったりするわけです。
まあ、自分で選曲して入れているから、ハマって当然なわけですが、逆に言えば誰しもが自分の好みの選曲を入れてやれば、いいタイミングでいい(テンポの)曲が再生されるというわけです。
分析的に言えば、これは最近流行りのウェアラブルデバイスの範疇に入る商品だと思うのですが、多くのウェアラブルは、歩数にしろ、心拍にしろいろいろな情報を取り込んで収集してくれるのですが、じゃあその情報に基づいてどうしろという指示、指導をしてくれるものは案外少ないんですよね。
結局はユーザーが自分で判断してその情報を活用するしかないんですが、そういう意思と能力を持った人って案外少ないと思うんです。
我々大衆の多くは、素直にこうしろという指示を出してもらったほうが助かるわけで、そういう意味でこのSmart B-Trainerは今までになかったデバイスだと思うわけです。
というわけで、このデバイスの実際の使用感を紹介すると・・・
このデバイス、ボイスメモが取れるよとか、Bluetoothヘッドホンになるよとか、携帯とリンクしてイヤホンマイクになるよとか、どうでもいい機能も色々付いているんですが(最後あたりは人によっては役に立つのかもしれませんが・・・)、キモになるのはトレーニングメニューです。
そのトレーニング用のメニューですが、プレミアムトレーニングメニューとして・・・
NHKラン×スマのコーチとしても有名なランニングトレーナーの金哲彦氏による講座で、全くランニングをしていない人が30分程度のランニングができるようになるメニューから、ダイエット用のメニュー、フルマラソンでサブ4を目指すメニューなど様々あります。
現在は7つのメニューが有り、今後アップデートで3つが追加される予定です。
2つ目は
ASICSのトレーニングメニューです。
こちらはもともとあったASICSのトレーニングメニューサイトのメニューをSmart B-Trainerで実行できるようにしたようです、5月のアップデートで実装されました。
ざっと見た感じでは、プレミアムトレーニングメニューは時間主体のものが多く、こちらは距離主体のものが中心になるようです。
その他、ベーシックトレーニングメニューとして、おそらく記録するだけのフリーモード、指定の距離、時間、消費カロリーになると、終了するモード、ペース走、脂肪燃焼、心肺機能強化が目的のモードなどがあります。
この辺りをうまく活用して自分のランニング能力を高めていくわけなんですが、おそらく多くのユーザーはざっくりと、脂肪燃焼(=まあダイエットですね)とか、心肺機能強化とかシンプルに選べばいいのだと思います。この商品の一番の素晴らしいところはトレーニングを楽しいもの、にするところにあると思うので、細かいトレーニングの概要はこだわる人以外は大枠でいいのではないでしょうか。
いずれにせよ、Smart B-TrainerはウォークマンやAIBO、Handycam、PSPなど固有名詞が商品カテゴリ名になったり、他社が出さないような斬新な商品を投入して名を挙げてきた、ジョブズがかつてリスペクトしたソニーの正しい遺伝子の片鱗が見える商品だと思います。
もっとうまくプロモーションすればいいのにね。
Thumbs UP
とにかく、楽しく走れます。スポーツのサポートデバイスとしてはこれは絶対の正義ではないでしょうか?
デバイス詳細
楽しく走ることをサポートするのはデバイスの機能の1つの面で、もう1つは、その結果を楽しく、役に立つよう、また走りたくなるように伝える、だと思います。
まず、走った軌跡を地図上にプロットしてくれる、これはせっかくGPSを搭載しているのだからもうマストと言っていい画面ですね。
ペースや心拍、ストライド、ピッチといったデータを表示できます。高度も併記できるので、ああ、坂ではペース落ちるなとか、いろいろ考えながら見られます
本気で走る人には気になるところだと思うのですが、平均ペースも1キロごとに表示されます。
後半ダレたり、坂道でペースダウンしたりというのがよくわかります。
このデバイスならでは、と感じるのが、いつどの音楽を再生したかを見る画面。あそこを走っていた時にあの音楽、来たよなぁと印象的な選曲を見返すことができるのは結構楽しいです
。
Thumbs DOWN
肝心の心拍測定が時々突発的に止まります。これは僕の耳の形状が測定しづらいのか、ソニーにありがちな初期不良なのかよくわかりませんが、これは何とかしてほしいです。
まあ、バージョンアップに期待でしょうか。
改善点
・上記のように心拍計測機能の性能アップを期待します。走っていて突然「心拍計測できません」(だったかな?)そして数十から100m程度走るとまた「心拍計測開始しました」と言い出すありさまです。ここは商品の基本コンセプトにかかわる部分なので、たとえばバイオインピーダンスセンサーにするとか、心拍計測だけ、ウォッチ型のデバイスに任せるとか、手があるような気がするのですが・・・。
・これは相変わらずの囲い込みたがる負のソニークオリティーなのですが、せっかくのデバイスの計測結果をソニーのアプリでしか使えないというところです。おそらくこれを買うようなユーザーはRuntasticとかほかのランニングアプリをすでに活用している人が多いんじゃないかと思うのですが、そこにデータをエクスポートできないというのは大きな問題だと思います。上記、5月のアプデで、ASICSのサイトにはエクスポートできるようですが、それだけだと弱いですよね。
昔から思うのですが、SonyのDNAには損して得取るという思想が根本的に欠落しているのが大きな問題です。メモリースティック然り、UMD然り、ATRAC然り。なまじレコード会社や映画製作会社を抱え込んでいることがマイナスになっている状況をいまだに理解していないような気がします。
上記RuntasticでもGarminコネクトでも、Stravaでも、既存のランニングサポートサイトのユーザーを取り込んでいけるように、そちらにデータをエクスポートできるようにするのは、決して損にならないと思うのですが、このあたりの頭の切り替えができるかできないかが、最終的なソニーの死命を分けるような気がします。
・上記項目と裏腹なのかもしれませんが、今のところ実質的にランしかサポートしていないのですが、スイムや(私の場合はダメなんですが、ネット上の数少ない(笑)レビューを見ると水泳中も心拍を記録できている人がいるようです)、エアロバイクなどほかのエクササイズもサポートすると潜在ユーザーの幅が広がるように思います。
追加で欲しい機能
・ボリュームには気をつけていますが、やはり外で耳をふさいで走るというのはちょっと不安があります。ノイズキャンセリングの逆的に、音楽を聞きつつ、外のアンビエントな音もある程度聞こえるようにして欲しいです。
車や不審者が接近する音の気配が全然わからないというのはちょっと怖いので。
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購入金額
26,700円
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購入日
2015年03月07日
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購入場所
ヨドバシ・ドット・コム
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