レビューメディア「ジグソー」

透き通る声が、ゴージャスなバックが気持ちよい、前を向かせる歌

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。以前は曲を知るのはCD(レコード)屋でかかっている楽曲を尋ねたり、ラジオやテレビで紹介があった曲名を書きとるくらいしか方法がありませんでしたが、最近ではインターネットのリンク機能で、ずるずると関連楽曲が引き出せるようになっています。そんな機能を使って出逢った作品をご紹介します。

洲崎綾つながり。もともとはニコニコ動画を眺めていた時に素晴らしい紙芝居動画(ラジオ番組にリスナーが紙芝居風の静画をつけたもの)

を見つけ⇒そこで興味を持った全方位爆撃系Webラジオ洲崎西にはまり⇒そのパーソナリティーのひとり洲崎綾(あやっぺ)について調べていたところ、歌がうまいことを識り⇒

さらに深掘りしていくことにした時に出会った楽曲。

彼女が初主演を射止め、その後ブレイクするきっかけともなったTVアニメ、「たまこまーけっと」。実はcybercatは本編の方は未見なのだが、その渋谷系?主題歌「ドラマチックマーケットライド」

が気に入ったので、TVアニメの後日譚、映画「たまこラブストーリー」の主題歌で、おなじ作曲者(藤本功一)が創った「プリンシプル」にも手を出すこととした。

声優が主題歌を歌う場合、その声優が声をあてたキャラクターが歌うというていで、作品には「歌:キャラクター名(CV:声優名)」とクレジットされることが多く、実際「ドラマチックマーケットライド」は「北白川たまこ(CV:洲崎綾)」とクレジットされている。それがこの作品は「洲崎綾」本人名義。声優でも役名でなく実名(芸名含む)でオリジナルアルバムを出せているひとは多くはなく、声優出身シンガーのアニソン分野ではここを超えられるか否かが、キャラクターと紐づいた声担当としてしか見てもらえないか、声優個人のアーティスト活動に入っていけるかの一つの関門。その意味ではあやっぺのアーティスト活動第一歩と言える作品。

その曲、「プリンシプル」。声優なのでいろいろな声の役を演じるため、どれがホントの地声かっていうのが難しいが、一番気を抜いている気を許している洲崎西の、特にノドをやられていた回(2014/5/20の第47回など)でのあやっぺの声は実は結構低め。そのため「よそ行き」の声でない声(とくに話し声)の音程は比較的低いのだと思う。それがこの本人名義の最初の歌では透き通る高音の声で押す。使う音域が広い難しい曲なので、高いところはファルセット気味で低いところは気持ち苦しそうだが、音程の破たんはなく透き通る声が気持ち良い。バックは作曲者の杉本がアコギを弾く以外はキリンジのベーシスト、千ヶ崎学(ちがさきまなぶ)がクレジットされるだけで、あとは太い音のラウド目のドラムもストリングスもクレジットがないが、打ち込みなのかなー...だとしたらドラマチックでスゴイいい線行ってる。そんなゴージャスなバックであやっぺの歌を盛り上げる。歌詞も幼馴染との関係が変わっていく「大人になりかけの季節」を歌った前を向かせるもの。♪いま少し震える手で/まだ見えない明日の/窓を開けたら/何があるかな?/溢れ出した/弾むようなこのメロディ/空が瞬いたら/見上げよう/瞳に映る景色がきらめき/走り出すよ♪力をもらえる歌だ。

こいのうた」は今度は「北白川たまこ(CV:洲崎綾)」名義。確かに声が違って少し幼めに創った声で歌う。こちらは柔らかめの題名に反して?唯一クレジットされるベース(金山孝宏)がかなりグルーヴィなうねりを出しているバンドっぽいつくりが楽しい曲。作曲は替わって山口優(ただし編曲は藤本←でも「プリンシプル」の方は編曲は他者=谷口尚久)。そのためちょっと曲調は異なるが、なんとなく80年代バンドブームのころを彷彿とさせる感じの曲。

プリンシプル (instrumental)」は1曲目のインスト。もともとバランス的にすこしバックが大きめで飽和気味かな、と思って聴いていたこの曲だが、歌が消えるとさらに隠されていた音に気付く。左chからは生ギター、右chからはエレキギターが聴こえていたが、さらに右ch奥に生ギターがいたりと結構音数豊か。千ヶ崎のベースラインの動きも結構いい感じのラインどりが音を追いかけなくとも伝わる。また一度バックがオフってからの復帰は、定石通りドラムのフィルインからバーンとバックが入ってくるのだが、そのフィルインがタム中心の組み立てではなくてシンバル中心の組み立てで面白いなーとか。

どちらもけっこう原作への期待を抱かせるつくりの良曲。また「洲崎綾」名義の表題曲と「北白川たまこ」名義のカップリング曲とではきちんと声が異なり、プロの声優のすごさがわかる。

キャラデザイン担当の堀口悠紀子原画のちょっと大人になったたまこが描かれるジャケット
キャラデザイン担当の堀口悠紀子原画のちょっと大人になったたまこが描かれるジャケット

ただ、残念なのは少しミックスが飽和気味で、あやっぺの声とゴージャスなバックが「塊」となってしまって、ダイナミクス感と見通しに欠けること。もう少し全体の音量レベルを落としてバランス的にヴォーカルを少し上げ、バックが薄いAメロなどはクリアな音質にした方が好みなんだけれど。

そのあたりが「CDという完成品」としてこの商品を見た時は☆-0.5なんだけれど、あやっぺの「アーティスト洲崎綾」としての活動の今後への期待も込めて☆5つ。今後も「洲崎綾」名義の楽曲希望で!

【収録曲】
1. プリンシプル
2. こいのうた 歌 : 北白川たまこ(CV洲崎綾)
3. プリンシプル (instrumental)
4. こいのうた (instrumental)

「プリンシプル」(最初貼ってたフルが消されたので1コーラスのみ)

  • 購入金額

    1,064円

  • 購入日

    2015年04月17日

  • 購入場所

    Amazon

22人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • いぐなっちさん

    2015/05/07

    洲崎さんの甘い声はねもう。
    耳セレブなのですよ。
  • cybercatさん

    2015/05/07

    いぐなっちさん、これはあやっぺの声も萌えるけれど、ベースラインがいいなぁ...
    ぜひコピーしてw

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