レビューメディア「ジグソー」

なつかしい名曲を教材にした音楽理論解説DVD

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。インターネットの進化で現在はいろいろなところから情報が入ってきます。以前では気が付かなかった好きなミュージシャンのリーダー作品ではないゲスト参加作品なども、本人や事務所などによる発信、ファンによる書き込みなどで巡り合えることがあります。

先にご紹介したYUKITAN。

現在Twitterでフォローしているのだが(ありがたいことに相互)、前述のライヴの情報などとともに入ってきたのが参加作品の情報。ギターの教則DVDで課題曲を演奏したとのこと。

それが名ギターインストラクター宮脇俊郎の「定番曲で学ぶアドリブ&スケール理論」シリーズ。まぁ教則映像なので、そんなに期待しないでYoutubeに上がっている映像を見ると...いいぢゃないかw

メンツもよく、ギターは当然宮脇俊郎だが、オールラウンドドラマー村上“わか”広樹

にヴォーカルはAKBにも曲を書くむらかみけいじゅ(村上圭寿)、ほかにもキーボード田中誠にサックス加度克紘と実力派ぞろい。ちょっとAmazonのポイントがあったので購入してみた。

この「定番曲で学ぶアドリブ&スケール理論」シリーズは現在2種あって、「不朽のジャズ・ブルース”Now's The Time”編」としてCharlie Parkerの名曲「Now's The Time」を取り上げたものと、「魅惑のクロスオーヴァー"Just the Two of Us"編」としてGrover Washington, Jr.の「Just the Two of Us」を題材にしたものの二つがあった。とりあえず2つ買うほどポイントもなかったので、自分がバンドをやっていた時にもセッションしていた「Just the Two of Us」が入った「魅惑のクロスオーヴァー"Just the Two of Us"編」を入手した。

曲としては1曲、「Just the Two of Us」だけなのだが、サックスがメロをとるのとヴォーカル入りの2テイクが収められていて、さらに最後にはギター練習用マイナス1トラックとして通しのとAメロ、Bメロ...と分解したトラックが収録されている。

トップは曲構成の現場打ち合わせをした後、加度の歌うサックスが心地よいインストヴァージョンの「Just the Two of Us」。YUKITANのプレイはグリスを使ったエモーショナルなもの。先日のCQのライヴではESPのベース(AP-SL系?)を使っていたけれど、この作品ではトレードマーク?のSadowskyのジャズベタイプを弾く。この曲は田中のソロがいいなぁ。音の選び方が攻めてるのに突飛な感じがしない絶妙さ。

ラストの『「Just the Two of Us」with VOCAL』は加度に代わってむらかみのヴォーカルが入る。ブロウの感じが静かに始まったインストヴァージョンに比べると最初からかなりエモーショナルなので宮脇のオブリもやや派手。逆にソロは激せずむしろ静かな感じでヴォーカルに戻す。“わか”のドラムはハネ方絶妙!

あ、そうそう、マイナスワンのヴォーカル入りの通しは『「Just the Two of Us」with VOCAL』とはテイクが違う。どちらかと言えば、マイナスワンじゃないのの方の他プレイヤーのプレイも良かったな←これが一発録りの相乗効果=宮脇のプレイに触発されて他プレイヤーがさらによくなるパターン。

メインの講義の方はわかりやすいスケールの解説とポジショニング、テンションノートなどを実例を交えながら解説したもの。cybercatはギターはコードを見ればTAB譜やコード譜なしでなんとか押さえられる程度のレベルの腕だが、以前組んでたバンドのギタリストが理論派で(彼は今は教則本を書くような仕事もしている)彼から教えてもらったことを思い出しつつこの解説を聞くといい感じにストンと落ちる。..とはいえ、あのときは生徒=cybercatの出来が悪くてダイアトニックはともかくドリアンやミクソリディアンスケールがピンと来なかったなーw

「曲の鑑賞」という観点で聴くとキワモノっぽいけれど、選択されている曲と参加ミュージシャンのプレイが良く、沁みる。宮脇の音の選び方を理論を聞きつつ聴くとなるほどな、と。
TAB譜やコード譜も付いた楽譜つき
TAB譜やコード譜も付いた楽譜つき
なんかもう一つ(不朽のジャズ・ブルース”Now's The Time”編)にも手を出しそうな危険性を孕んだ作品ですw

【収録内容】
■Demonstration/「Just the Two of Us」
■セクション1:コード・アナライズ
 ◎「Just the Two of Us」のKEYとコード進行
 ◎A♭のダイアトニック・コード
 ◎テーマのコードを弾いてみる
 ◎他のメロディ楽器を引き立てるマイルドな奏法
 ◎A♭Mにおけるダイアトニック・スケール
■セクション2:メイン・テーマ
 ◎Fマイナー・スケール(=A♭△スケール)の構成音
 ◎Fマイナー・ペンタトニック・スケールのポジション
 ◎スライド、ハンマリング、プリングを多用して人の声に近いニュアンスを出す
 ◎滑らかに聴かせるポジショニング
■Column:微妙なニュアンスまで表現するピッキングとサウンドメイク
■セクション3:アドリブ
 ◎C7において選択すべきスケール
  ◆Fハーモニック・マイナー・スケールのポジション
  ◆Cオルタードなどを使ったJazzyなフレーズ
  ◆オルタード・テンション盛り込んだフレーズ
 ◎E♭m7-A♭7において選択すべきスケール
  ◆D♭メジャー・スケールのポジション
  ◆ディミニッシュ・コードなどを使ったJazzyなフレーズ
  ◆コード音やテンション音を盛り込んだフレーズ
■セクション4:バッキング
 ◎テンション音などを加味したアプローチ
  ◆D♭△7に9th、13thを加える
  ◆C7に♭9th、♯9thを加える
  ◆Fm7に9th、11thを加える
  ◆E♭m7-A♭7でのアプローチ
 ◎オブリガード
  ◆複音を盛り込んだフレーズ
  ◆Bluesyなフレーズ
■Column:バッキング時における音の抜き方
■セクション5:様々なアプローチ
 ◎マイナー・ペンタのみで弾く
 ◎マイナー・ペンタ+αで弾く
 ◎マイナー・ペンタにヒネりを加えて弾く
 ◎Jazzyな音を盛り込んで弾く
 ◎裏メロを弾く
 ◎半音下降クリシェにおけるアプローチ
■Demonstration/「Just the Two of Us」with VOCAL
■練習用マイナス・ワン
 (ヴォーカル入り通し、Aメロ、Bメロ、Cメロ、Aメロ+Bメロ+Cメロ)

「ダイジェスト(「Just the Two of Us」with VOCALの一部~講義の一部~練習用マイナス・ワンの一部)」


「ギター練習用オケ ”Just the Two of Us” 」

  • 購入金額

    4,104円

  • 購入日

    2015年04月18日

  • 購入場所

    Amazon

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