レビューメディア「ジグソー」

物語が織り込まれた世界。

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。もともとバンドをやっていたからか、音楽を聴くときに特定のパートに集中して聴くことがあります。注目していたプレイヤーの移籍によって識ったグループの作品をご紹介します。

バンドではドラムス担当だったからかもしれないが、自分が曲を聴くときに無意識に注目(注耳?)して聴くパートはベース。ドラマーの上手いのは当然好きだし、目標(というにはあまりにも遠いが(^^ゞ)になるのだが、そんな「分析的」に聴くドラムスに比べて、ベースは「感性」で聴く。ベースの「時間を切り取る空気感」が好きで、そういう風に聴くときは意外にジャンルを問わない(つか、いままでご紹介してきたジャンルの広さで「超」が付く雑食性なのはバレバレだがw)。

その「時間の切り取り方」はプレイヤーによって様々で、テクニック的に上手い下手というよりは、感性の問題。楽器をやっていたからか、「自分の時間の感じ方としっくりくる」プレイヤーが好き。特にベーシストにこの傾向が強い。

そんなベーシストの一人がYUKITAN。若手ベーシストのコラボ映像

で識り、そこから調べるとイイ感じのプレイが動画サイトに投稿されている。そのプレイを手元に置きたくて参加している作品のCD等を探したのだが、識るのが遅く、以前所属していたバンド(=Torry Konny DOG)では自主製作のCDを出していたのだけれど現在は入手できない状態。そこで動画サイトの演奏を聴きつつ気を紛らわせていたのだが、そうこうしているうちに彼女がバンドに参加したという情報が入ってきた。

そのバンドがCQ。新規に立ち上げたバンドではなく、もともとはおよそ1年前(2014年5月)に始動したバンドのメンバーチェンジでYUKITANが加わったみたい。超大ぐくりのジャンルとしてはTorry Konny DOGと同じくオルタナティヴ系なのだが、表現形としては全く異なり、シューゲイズというか新世代プログレというか。

構成が面白い。ヴォーカル&ギターが澁谷潤、ギタリストがさらに2人で渡辺清美と菅原祥隆、ドラムスがササブチヒロシにベースがYUKITAN(...というかこのバンドでは「Yuki」とクレジットされる)。つまり、ドラムス+ベースのリズム隊に3人のギター、うち一人がヴォーカリスト兼任。専任ギタリストの二人(渡辺と菅原)がそれぞれ曲を作り、澁谷が詩を書く。

この作品、ほとんどの曲が人の名前になっているのが特徴だが、すべての曲の人名にバックボーンとなるお話し(彼らのHPの説明では「プロット」)がある。そしてアルバム自体が一つの世界観を構成している、という造り。このあたりの雰囲気と奇数の小節割りの多用や重ねられたギターの幻想的な音像といった音色特徴がプログレ的薫りもあり、結構イイ感じ。

ある意味キャッチーな「Roxanne」。1980年代のUKミュージック風の薫りもあるこの曲の題名の人物は「この世界」で音楽をインターネット配信しているミュージシャンという設定。オーソドックスな8ビートなのだが、包み込むようなギターの音世界と浮かぶような澁谷のヴォーカルがサイバーチックかつロマンチック。

ハードな「Isabelle」。ヘッドバンキング系?のゴリゴリリズムのヘヴィチューン。サビで3/4が1小節はさんであるのがシカケ。自殺未遂を起こしたこともある重い病を抱えた内向的な女性の歌、とのこと。そのためか、かなり破壊的だけれど。♪目に映る全てが闇ならば/この手で/視界を消し去ってしまおう♪

「Angie」。シューゲイズとすれば(特にAメロが)かなりバッキングの音数が少なく、明確なリズムがササブチのタムを使ったリズムしかないソリッドめの曲。Yukiもどちらかと言えば高域の装飾的な音で遊ぶ。ギターの幻想的なアルペジオがイイネ。

当初YUKITANつながりで聴いたが、今までと全く違う方向性。ただけっこうこれはこれで好きな方向性のひとつでよかった。残念なのは音楽のジャンル的に仕方ない面があるものの、プレイとしてほとんどスラップが聴かれないのは少し寂しいかな。

ちなみにこの作品、正式リリース形態としては「アナログLP」。ただターンテーブルを持っていない人に配慮して同音源のCDも添付されるという造り(cybercatもアナログは実家に10年動かしていないのが一つあるだけにので助かったw)。しかし大きなジャケットはxhxix()の幻想的な色使いのジャケ画を鑑賞するには良かったかな。

緑色のリーフに各タイトル(人物)のプロットが書いてある
緑色のリーフに各タイトル(人物)のプロットが書いてある

つか、本作リリース記念ライヴ会場でYUKITAN本人より手売りしていただきました。ついでにサインまでもらったりして(^^ゞ ...大きくて書きやすいジャケットでした←ソコ?w

Yukiにいただいたサインと会場限定ノベルティw
Yukiにいただいたサインと会場限定ノベルティw

次作も期待で!

【収録曲(収録エピソード)】
1. Morse
2. Leos
3. Roxanne
4. Emil
5. Isabelle
6. Angie
7. Alex
8. Ian
9. what a Wonderful World
10. Eli

CQ HP (現在はメンバーチェンジし-Yuki脱退-当時の情報はほぼ、ない)

  • 購入金額

    3,800円

  • 購入日

    2015年04月13日

  • 購入場所

    「what a Wonderful World's End」Release Tour 名古屋TIGHT ROPE from Yuki

20人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (4)

  • いぐなっちさん

    2015/04/21

    ちょっと古いテイストがたまりませんね~。
    そしてベースのラインもサウンドもネ申(*´Д`)ハァハァ

    欲しいっす。
  • cybercatさん

    2015/04/21

    全体的にノスタルジックな音響です。
    自分の「曲調の」好みとしては4曲目の方が...なんですけど、これ唯一ベースがYukiではないんですよね(Taizo Nakamura)。

  • いぐなっちさん

    2015/04/21

    (;゚∀゚)=3ムッハー、こちらもけしからん曲ですね。
    そろそろ本腰いれていいスピーカー買いたいと思います。
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