レビューメディア「ジグソー」

フィッティングとしてはファイナルアンサー、"Designed & Manufactured especially for 貴方"な「カスタム」イヤーチップ、Westone UM56

先日ご紹介したハイコストパフォーマンス高音美麗イヤホン、OSTRY KC06。

ピタッとはまれば美しい高音と必要なだけの中~低域で美しい音を聴かせるが、太く短めのステムは、細くて下向き耳道のcybercatの耳の構造には合わず、収まりが悪い。そこで同時購入で密閉性の高いcomplyチップ

も試してみたが、一部の曲ではバランスが改善するものの、違う曲ではせっかくの高音域が翳り、本末転倒状態。

そこで他のイヤホン付属のモノも含めイロイロと試していたのだけれど、complyの密着性はやはり優れていて「この密着性で高音が陰らず」「装着時に痛くないのがあれば」最高!ではないかと。

そんな時耳にしたのが「Westone 「UM56カスタムイヤーチップ」夏休み限定5,000円割引キャンペーン」。自分はCIEM使いなのですぐピン!と来たが、これCIEMと同じ要領でイヤホンのイヤーチップ部分だけを使用者の耳型を採ってカステム製作しましょう、という製品。

メーカーのWestoneは日本でも多くのユーザーを抱えるCIEM大手。そしてここの特徴は「フレックスカナル」。

CIEMの素材には大きく分けて、透明度と耐久性が高く一般的なアクリル素材

と柔らかく遮音性が高いシリコン素材

があるが、一長一短⇒最近須山補聴器(FitEar)がチタン製などという変わり種を出したけれど、あーゆーのは例外w。

アクリルは装着時に気を使わなくて良くって、汚れも吸着しないし、美しい外見だが、耳への密着度は上手く造ってもらえないと低め。シリコンは柔らかいので装着時には気を使うし、汚れが染みこみやすい、透明感はないので外見もややイマイチだが、遮音性はバツグン...というのが二つの素材の特徴。

これをWestoneはシェルはアクリル、カナル部分は特殊なシリコン素材で制作していて、美しさや装着時の簡便さを保ちながら、密着性を確保するという相反する要求をハイブリッド素材でCIEMを造ることで解決している。

このコンセプトで?汎用イヤホンのイヤーチップをシリコン素材のCIEMの先の部分で置き換えるのが「UM56カスタムイヤーチップ」(厳密にはこの製品にはビニール素材のものもある/またこのUM56のシリコン素材はWestoneのCIEMのシリコン素材とは別のもの⇒より硬め)。

この製品、通常は販売価2万以上でインプレ代を含めると3万弱になるので結構なグレードのイヤホン本体が買える価格なのだが、この5000円引きキャンペーンを使用し、インプレ代が安価な購入店で買えば2万とチョットでカスタムイヤーチップが手に入ると言うことで突撃。万一KC06との相性が悪くても、ステム径が同じであれば他のイヤホンにも転用できるし...ということで。

このカスタムイヤーチップ、左右の色を変えても価格の差がないので、左右をわかりやすくするために色を変えることに。色は「Otoblast Standard Colors」という単色系が透明不透明あわせて20色、「Otoblast Glitter Colors」というクリア系のベースにキラキラ素材がちりばめられたモノが8色、クリアと有色のマーブル模様「Otoblast Cat-eye Colors」が16色の合計44色と選び放題状態。

そこで今回は「左右の識別が簡単で」「他のCIEMなどにはあまり見られない処理」ということで、「Otoblast Cat-eye Colors」の右はRed、左はBlueを選択。購入店のビックカメラは常時併設のメガネ・補聴器売り場で耳型が採れるのでその場で採取、発注...で約1ヶ月半で到着。

内容物としては、紙の外装箱にチャック式密閉ポリ袋に入った本体とケース、説明書に「OTO-EASE」(の試供品)。最後の「OTO-EASE」は装着性と遮音性を改善する水溶性の潤滑ジェル。これはこの「UM56カスタムイヤーチップ」専用ではなく、他のイヤーチップやCIEMにも使用可能なもの(当然染み込んでしまう多孔質のcomply系はNGだけど)。

わりにチャチな紙箱に入ってきます


気を付けなければならないのは、この紙箱と本体が入っているチャック式ポリ袋。ここには"Designed & Manufactured especially forcybercat(ホンモノには当然本名が入っている)」"とオーナー名が書かれており、製品保証に関してはこの箱かチャック式ポリ袋(の上記記載があるシール部分)がないと受けられないので、廃棄してはならない

注意書き

紙箱やチャック式ポリ袋のこのラベルが重要

構造としてはまさにシリコンIEMのカナル部分を切りとばしたような形状。つける方向はLRの表記があるのでそれが下にくるようにする。

なんか飴みたいでカワイイ(^^)

結構耳道が曲がってるのがわかる

ピヨンと待針のような形状の突起があるが、これは耳の中にこの「UM56カスタムイヤーチップ」が残ってしまった時にこれをつまんで引き出すためのもので、「バリ」だと思ってチョン切らないように。...というのも耳型を採って作るため自分の耳とイヤーチップの相性は当然よく、シリコン素材でもあるため密着性もあるが、イヤホンのステムの方は発注時にどのサイズかを指定するとはいえ、指定方法が「complyのイヤーチップの適合表でT-400相当」というようなザックリした指定であって、ひとつひとつのイヤホンステムに合わせた「カスタム」ではない。そのため、どちらかといえばこちらの方が緩い傾向にあり、外す時にイヤホン本体から「UM56カスタムイヤーチップ」が外れて耳に残ってしまうことが結構あるから。

とりあえず派手(^^ゞ

セッティングするとイヤホンの純正チップに比べると(派手な色にしたこともありw)主張するアピアランスだが、つけてしまうとほとんど見えないので、そこは安心?w

装着感は...素晴らしいフィッティング。さすがシリコン製。

さて、どういう音になるのかな...

例によってKC06のデフォルトチップ×Shure掛けの音と、このUM56カスタムイヤーチップをShure掛けした音とを比べると、吉田賢一ピアノトリオの「Never Let Me Go(わたしを離さないで)」

ではUM56の方がすべてが「2ランク」上がった様な印象。ハイはシンバルの金属感が錫(すず)が多めの高級シンバルに換えたような上質なものになり、さらにボウ(シンバル本体の膨らんだところ)の空気の揺れ感も伝わる感じ。一番素晴らしいのは中音域で、スネアが近い近い。この曲で多用されるリムショットはまさに自分が演奏しているときに聞こえるような音。低域はその遮音性アップで確実に届く。...がバランス的にはやはりハイ寄り。汎用チップに比べるとカナル部分が長く、耳の形に添っているので高音が減衰なく耳に届けられる感じで、静寂度が増したためベースも上がっているのだが、それ以上に上と中域が来る、という感じ。自分はドラムやシンバルの至近距離の生音を識ってるので「おっ生っぽいな」という感じだけれど、人によっては刺さるかも。

一番聴くジャンルのフュージョンはT-SQUAREの「RADIO STAR」、

しかもオリジナルではなくラップもこなすベーシスト日野'JINO'賢二をゲストに迎えたセルフカバーヴァージョンで評価。これは、音が硬くソリッドになってキレッキレ。また静寂度が上がったせいか、残響や広がりも増えたのが、もうイントロ聴いただけでアリアリ。最初のキメフレーズのあと、キラキラしたSEをバックにJINOのラップと坂東クンのリズムだけになるところは、タムの裏のヘッドが鳴ってるのがわかるし、音の消え去り際まで聴こえるのでテーマに入る前のドーンと広がるSEの広さが違う。これはバツグンにイイな

このイヤーチップ、ポテンシャルは非常に高い。comply以上の遮音性と、complyほどには音に影響を与えない素材、一度作ってしまえば同じステム径のイヤホンに使い回しできる汎用性に、汎用イヤーチップをはるかにしのぐ耐久性と価格以外の欠点がないという感じ。CIEMとほぼ同等の造り方をした多ドラの高級ユニバーサルIEMなどに使えば、疑似CIEM化もできるし。

その音色傾向も高域の減衰を抑えながら、すべての帯域のグレードを上げるというような方向性で、元のイヤホンの音は気に入っているのだけれどフィッティングがイマイチ....とか、装着の仕方によって高音の出方にバラツキがある...というような場合には選択して後悔はない←タブン。そのCIEM並の遮音性はすべての帯域の音の底上げをするし、多くの汎用イヤーチップに比べると長く耳道に沿ったカナル部はより高音の減衰を伴わない形でそのイヤホンの持つポテンシャルを余すところなく届ける。本体側がひとつひとつカスタマイズされていて他者につかえないので、購入時高額な割には中古品としての価値が高くないCIEMではなくそれらのユニバーサル版につければ、(ボディ部と分離しているため「回る」ので同等とまではいかないが)それに近いフィッティングによって「なんちゃってCIEM」化もできる「UM56カスタムイヤーチップ」は商品として非常に面白い。

...ただこと「高音がやや多めのKC06」に使うことに関しては、このイヤーチップは「音質補正効果は少ない」ため高音が優勢なのは揺るがず、高音過剰の曲で低域をそれ以上に引っ張り上げはしないので「すべての曲につかえるファイナルアンサー」とはなりえないのが奥が深いンだよね~....隠れた利点としてはチップ部分だけでガッチリと固定されるので、普通のチップではShure掛けしないと安定しないこのイヤホンを標準装着しても安定する(=どちらの装着法でもあまり音が変わらない)ため、メガネ着用の自分にとっては耳の上がゴロゴロしなくて済む、というのもあるのだけれど...そんなわけで★に関しては「KC06用」と考えた場合であって、他のイヤホンではまた異なってくることになると思います

フィッティング不良気味で、少しイヤホンを押さえたりすると、超好みの音が奏でられるイヤホンをお持ちならゼヒ!


....この5000円引きセール、学生のお休み期間に合わせて何度か行われてますゼ...(ボソ

【仕様】
素材:シリコン
保証期間:1年間

【代金】総額22,312円
請求総額:18,014円
  ※Westone 「UM56カスタムイヤーチップ」夏休み限定5,000円割引キャンペーン適用
インプレッション採取代金:4,298円

【今回購入時のタイムチャート】
2015/08/16 ビックカメラ名古屋駅西店で契約、その場でインプレッション採取
2015/09/28 製品到着連絡
2015/09/30 製品受領

日本代理店テックウインドの商品紹介ページ

  • 購入金額

    18,014円

  • 購入日

    2015年09月30日

  • 購入場所

    ビックカメラ

22人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • がじおさん

    2016/11/08

    カスタムイヤーチップと言うと、今はやっていないようですがFitEarでUE10proの
    イヤーチップを作ってもらったことがあります。
    IEMはaudio-technica ATH-CK100PRO以降購入していませんが、
    比較的気に入っているのでやっぱりイヤーチップがいつまでたっても悩みどころです。
    またどこかでカスタムもトライしてみようかしら・・・。
  • cybercatさん

    2016/11/08

    これはWestoneのですが、最近e☆イヤホンが独自のを扱い始めました。そちら(eA-R38、eA-R light、eA-R Soft)は素材がアクリルとシリコン(soft)があって、価格も若干安いので(インプレ抜き1万5千)検討してみられては?←と、悪の?道に引きずり込むww

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