レビューメディア「ジグソー」

当時のデジタルな感じのMALTA節

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。昔はCDの相性って結構ありました。特に輸入盤は製造品質が一定でないのか、かかるCDプレイヤーとかからないものがあったり、最初が検知できないのかなかなか始まらなくてCDを入れ直すとプレイが始まるという様なCDが存在しました。今回、ご紹介するに当たって聴き直したところそんな盤に行き当たってしまいました。中身のキャッチーな楽曲にたどり着くまで苦労した、そんなCDをご紹介します。

 

MALTA。サックスプレイヤー。バークリー音楽院卒業(しかも主席!)でライオネル・ハンプトン楽団のコンサートマスターを務めたと言えば、バリバリの本流ジャズメンか...と思いきや、日本でのデビューはフュージョン系の明解でビートが強いキャッチーな曲が多く、CFによく使われた。経歴のわりにはCASIOPEAはおろか、THE SQUARE(当時、後のT-SQUARE)よりも明解なポップな節回しで親しみやすい曲調、というのが特色。

 

そんな彼の初期の作品。“face to face”と題された企画モノCD。MALTAが書いた表題曲を、本人とManhattan Jazz Quintet、Renee Rosnes、Y.M.O(Young Men & Olds.)の4組が自分の解釈で演奏し、CDを発売、その収益をアメリカへの医療センターの設立の基金とするというチャリティ盤。ほぼ共通のデザインの(色違いだったっと思う)ミニアルバムが当時並んでいたのを記憶している。

 

その「FACE TO FACE」。クレジットには「Drums and Drum Programming」となっているのだが、プログラミングの方が主なんだろうなーと言う感じのメチャ硬いScott Lathamのリズムと、NANIWA EXPRESSのギタリスト、カズボンこと岩見和彦の彼らしくなく硬くつぶれたディストーションギターのリズムというような、一時期MALTAにありがちだったデジタルフュージョン路線。MALTAのプレイはどちらかというとブレスノイズが少なく、メロウな音色なので、こういった硬い感じの曲だと埋もれちゃうのが残念。メロディとしてはキャッチーだけれど...

 

「BAY SIDE STREET」は、ドラムこそややゲートリバーブかかって硬い感じだけれど、軽く跳ねるスラップベース(初期のTHE SQUAREにいた山本智彦)と岩見のクリーンなカッティング音でMALTAのメロディが冴える。中間部のDX系の音丸出しの向谷実のキーボードソロも「あの頃」らしい。

 

「FACE TO FACE Ⅱ」は表題曲のスローバラードヴァージョン。エコーバリバリのドラムが今の耳にはちょっとくどいけれど、MALTAのプレイにはこっちのほうがよいかな。もう少しソリッドにしてもらったほうが、むしろ「余韻」は出ると思うけれど。

 

まぁ、チャリティのための表題曲のテーマの提示、というのがMALTAの一番大きな仕事だったわけで、その意味では展開しやすいいいメロディだと思う。Manhattan Jazz Quintetのヴァージョンなんか結構聴きやすいし。ただ、本家はちょっと化調が強すぎる感じがするのが、チョイ残念。(特に2ヴァージョンも入れるなら)もう少しナチュラルに攻めたヴァージョンも欲しかったな...と思ったり。

 

あと(CDとしての)本品、とてもプレイヤーを選ぶ。PCの光学ドライブは3つ試すも全滅。ローテクなCDオンリープレイヤー

でも、5回に1回かかるかどうか。作りも変わっていて、大きさは12cmCDでMaxi盤の様相だけれど、裏返すと8cmのところにラインがあって、まるで「8cm⇒12cmCDアダプター」を付けた8cmCDみたい。これが問題なのか、ピクチャーレーベル面も絵が荒くまるで素人がインクジェットプリンターで自作したみたいなので製造品質の問題なのかわかんないけれど。このレビューを書こうと思ってから再生できる環境を見つけ出すまでに数か月かかった。

12cmCDなのに8cmCDみたいな大きさの部分に記録
12cmCDなのに8cmCDみたいな大きさの部分に記録

レーベル面印刷も粗めです(Victorの文字も切れてる)。
レーベル面印刷も粗め(Victorの文字も切れてる)。

 

かからなきゃCDは大きく使いにくいコースターだからねぇ..

音楽以外の点でもチョイ心証を悪くしてしまった、そんな作品です。

 

【収録曲】

1. FACE TO FACE
2. BAY SIDE STREET
3. SEXY GALAXY Ⅱ
4. FACE TO FACE Ⅱ

 

「BAY SIDE STREET」(このアルバム..というかMALTAにはほとんどフル音源がないので貴重)

更新: 2015/01/03
製造品質

飛ばねぇ豚はただの豚だ。かからねぇCDはただのコースターだ。

本品はCCCDでもないのにプレーヤーを選ぶ。PCの光学プレーヤーではまずかからない。オーディオ系のプレイヤーなら何とかなる事もある。一応ピクチャーレーベルになっているけれどそれもシロウトがインクジェットプリンターで作ったかのよう。「COMPACT DISC DIGITAL AUDIO」のマークが泣いてるぜ。

  • 購入金額

    1,400円

  • 購入日

    1989年頃

  • 購入場所

18人がこのレビューをCOOLしました!

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