Victor Feldman。すでに故人(1987年没)のジャズ~フュージョン系ミュージシャン...といっても、いつもcybercatがご紹介しているようなフュージョン系がメインでジャズ寄り..というのではなく中心フィールドはジャズ。
ドラマーにしてパーカッショニスト、ピアニストでありヴィブラフォニスト。マルチプレイヤーともいえるが、発音機構分類だとすべて打楽器なので筋は通っている?(最近シンセサイザーやエレクトーンなど鍵盤をインターフェースにしたものが多いのでピアノは「鍵盤楽器」と分類されることも多いが、発音的には弦をハンマーで叩いて音を出すので打楽器)
ドラマーとしてキャリアをスタートさせたが、イギリスからアメリカに渡ってジャズピアニストとして名声を築く。晩年は(といっても享年53歳なので枯れた歳ではないのだが)Steely Danの名盤“Aja”
への参加やフュージョンシーンへの進出もしたというガチガチジャズメンでない柔軟性を持つ。
この作品は「Generation Band」名義で出された作品としては1枚目で、以前紹介した“Call of the Wild”
の前作にあたる。「Generation」の名の通り、彼の息子であるTrevor(ドラムス)やJake(ベース、「Chasin' The Sunrise」のみ)の若い世代の感性を取り込んだ良質なフュージョン。Feldman一族以外の参加メンバーはRobben Ford
がギター、Nathan EastがベースでサックスにTom Scott、シンセサイザーRichard Gibbsあたりがメインのメンツで、サックスのErnie Wattsが「Emerald Isle」にギターのDan Sawyerが「Come On Home」と「Emerald Isle」に加わる。
西海岸フュージョンのいくつかのようにカル過ぎもせず、わかりやすく明解な節回しでジャパニーズフュージョンの薫りもあって、入り込みやすい作品。
ファンキィなギターのリフで始まるフュージョンチューン、「Come On Home」。所々にキメキメのユニゾンなんかがあってテクニックの燦めきが見えるが、それをひけらかすことなくライトかつハッピーに仕上げてる。Tomのサックスのライン取りが楽しい。ヴィブラフォンがキメのフレーズで使われているのが、Victorならではだな。
4ビート系のリズムのホンキイトンク系?ジャズ、「Leroy」。とは言ってもVictorのおおらかで陽性のカラーがよく出ているハッピージャズ。酒場で聴きたい雰囲気のある、自然に頬が緩むようなゴキゲンな作品。
つづく「Locomotive」は打って変わってハイスピードのフュージョンチューン(とはいっても初出時はアナログLPだったのでここで面が変わるのだが)。スラップ..というより「チョッパー」というのがしっくりくる懐かしい感じのNathanのベース、吹きまくるTomのサックス、Robbenのブルージィな粘るギター、息子のTrevorのドラムとともにカウベル使ったVictorのパーカッションの複雑かつ音数の多いリズムで、大盛り上がり大会!なによりVictorの情熱的なピアノソロがイイ!
アメリカではとても評価されていたVictorだが、日本においてはあまり知られていない。実際この作品も元の名義は「Generation Band」なのだが、邦盤発売時には「L.A. SUPER RHYTHMS フィーチャリング・アーニー・ワッツ&トム・スコット」とTomがRobbenらと組んでいたTom Scott & The L.A.EXPRESSを彷彿とさせるようなナゾのグループ名がつけられ、知名度が高かったErnieとTomの名が前面に出されていて、Victorの名はどこにも出てこない(かくいう自分も実はRobben目当てで買った)。Victorを識る人も、彼のキャリアとしては端に属するこの分野、あまり聴いていないらしいけれど、このハッピーなVictorのプレイと曲、アゲること間違いなし!ぜひ識ってもらいたいアーティストです。
【収録曲】
1. Come On Home
2. Soft Shoulder
3. Leroy
4. Locomotive
5. Chasin' The Sunrise
6. Emerald Isle
「Locomotive」
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購入金額
3,500円
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購入日
1988年頃
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購入場所
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