諸元を比べるのは、燃費などの計測法が定められたのもあって比較的簡単だ(それでもそこで網羅しなければならない事項の標準化はされておらず、特に輸入車においては最小回転半径などの情報が得られないこともあるが)。
またカラーや装備を知りたければ、カタログを取り寄せれば良い。
メジャーな車種だと自動車専門雑誌でライバル車との比較も行われたりもする。その時にはトランク容量は1Lの牛乳パックを縦半分に切って並べた様な箱(20✕10✕5cm)がいくらつめこめるか、というVDA方式ではなく、世の中のお父さん方にとっては大問題らしい、ゴルフバッグがいくつ入るか、という具体的なものになったりもする。
プロドライバーによるサーキット試乗などなかなか普通だとできないことも記事になっていたりする。しかし、かなり注目の車種でも特集ページは10~20ページ程度。車種によっては取り上げられないこともある。
まあ、いくら全幅や最小回転半径がわかったとしても、最終的な取り回しのしやすさは「見切り」を確かめないとならないし、同じ最高出力、最大トルクの車でも、そこに到達するまでのリニアリティは乗ってみなければわからない。トランクの使いやすさは床面の高さと開口部の段差、そこへ到達するまでの距離(バンパーの張り出し)と使う人の体格のマッチングによって決まるので、最終的には実車を見るしかないのだが、それに至る直前に「ディーラーに行くのに値するのか」という点を確かめるのにちょうど良い本、それが三栄書房の自動車雑誌モーターファンの別冊「○○のすべて」、通称「すべて本」と呼ばれるこのシリーズ。
国産車の軽自動車を含むほぼすべての車種と、一部の輸入車
も取り上げられることがある、多くは一車種にフォーカスした解説本(一部「マツダ・ロータリー車のすべて」とか「××年国産新型車のすべて」といった総括本もある)。外観写真は言うに及ばず、内装の写真も多くてカタログよりも使い勝手が把握しやすいし、身長が明記されたモデルが座っている写真もあるので、ヘッドルームなどの把握はしやすい。さらにカタログでも深掘りしないような開発ストーリーやプロトタイプの写真にデザイン案の変遷、長い歴史を持つ車名のものであればその歴史など、「情報」として得られるものはすべてと言って良いほど得られるので、自動車購入が具体的になってきたら良く購入している(しかしなかなか現実にはならなかったがw)。
今年(2014年)初めについに15年乗った前車を買い換えたが、そのリサーチに購入。
「新型アテンザのすべて」
マツダの「これより上のクラスは作らない」という方針決定により、3代目になって車格があがり、かつてのセンティアやミレーニアクラスもカバーするフラッグシップになったアテンザ。しかし、最近のマツダの車造りのテーマ“Be a driver”に合致させるように、後席に乗るより運転して楽しい車になっているという話だったアテンザ。ディーラーに試乗に行く前にもう少し情報を集めようと購入。
基本cybercatの車の選択条件は
・MT
・5ドア
・5人(以上)乗り
・右ハンドル
・個性が感じられる車だと逝ける
・エンジンにストーリーがあると萌える
というもの。
最初の2つの条件で国産車のほとんどすべてと輸入車の大部分が脱落するのだが、2013年末の段階でこのすべてを奇跡的に満たしていたのが「アテンザ(ワゴン)」。
ミニカー手に入れて
比較検討なんかをしていたわけだがw、も少し具体的且つ詳細にいこうと手に入れたもの。
開発ストーリーにおけるコダワリや方向性に共感できれば、車に対する愛着も湧くし。
この「すべて本」はドライビング・インプレッションやライバル車比較インプレッション、使い勝手徹底チェックといったインプレ関係、開発ストーリーやデザイナーインタビューといった薀蓄系知識欲を満たす記事、メカニズム詳密解説やアクセサリー&ドレスアップパーツガイドといったカタログ詳細版というものが合体した感じのつくり。
日本乗用車のディーゼル比率を高めたといわれるビッグヒット=CX-5から始まり、このアテンザ⇒アクセラ⇒新型デミオとつづく「魂動デザイン」は近年のマツダを象徴するものだが、その原点ともいえるのはコンセプトカー「 靭(SHINARI)」。このアテンザ(セダン)の原型ともいえる4ドア4シータースポーツクーペをより具現化した「雄(TAKERI)」は以前参加したThe 42nd Tokyo Motor Show 2011で実車を見て、「これがそのまま市販されるはずないよなー」と思ったくらい凝ったつくりだったが、アテンザの靭⇒雄につづくデザインラインの再現性はなかなかのもの。これらの変遷を詳説した部分があったり、かなりデザインが完成に近くなってから、プロトタイプカーでのリアサスの動きが「普通」で「感動を呼ぶレベル」ではないと、リアサスの取り付け部分をたった「3mm」動かすために行った取締役会も含んだ社内の説得など、新しいマツダの顔たる車種の開発にかけた開発陣の熱意がわかる。
ま、なにより2~3ドアの小型車や商用車の廉価グレード以外でMTが用意される、というのはもはや奇跡以外何物でもないので、この時点で購入への加点はかなり高まっていたのだがw。もともと完全アウト・オヴ・ガンチューだったディーゼルエンジンも機構を知ると、さすが技術オタク、マツダ!(←褒め言葉)といえるつくり込みで、ますます気に入ったわけ。そんな「大物購入」に向けて自分の気持ちを確かめるには、このシリーズは大変良い資料です。
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購入金額
480円
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購入日
2013年頃
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購入場所
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