レビューメディア「ジグソー」

聴きなおすとCASIOPEA王道の名盤

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。聴いた「その時」はたいしたことがないと感じた作品も時が経つとその良さを再発券することもあります。レコード会社の変更や活動の方向性の修正などがあり、バンドがバタバタしていた時に出された作品のため、最初はあまり印象に残らなかったものの、聴き返してみて良さが発見できた作品をご紹介します。

CASIOPEA。ジャパニーズフュージョングループとしてはトップグループのひとつ。NANIWA EXP(RESS)には長いブランクがあり、T(HE)-SQUAREが初期から比較的頻繁にメンバーチェンジを繰り返していたことを考えると、日本のフュージョンブームを経験した世代としてはもっとも長く安定したメンバーで活動した彼等。

現在は「CASIOPEA 3rd」として第3期であることを明確にして活動している彼等だが、そういう意味では「CASIOPEA “1st”」のラストスタジオアルバムといえるのが本作。第1期はデビューの1979年から1989年までの11年間を指すが、その中でもドラマーがー神保彰に変わった1980年以降の10年間が「黄金期」と呼ばれる(残るメンツはギター野呂一生、キーボード向谷実、ベース櫻井哲夫)。

1982年にはジャパニーズフュージョン全体としてみても屈指の名盤、ライヴ1発録りながら観客のノイズを消して、音の加工を大胆に入れて(オーバーダビング=追加録音は一切していないが)スタジオ録音並みの完成度に高めた“MINT JAMS”

を出し、頂点を極めるが、その後海外、特にアメリカへの進出をにらんで曲がポップな方向に行ったり、流行を取り入れた音造りになってテクニックよりサウンドを重視したような感じになったり、ヴォーカルを大々的にフィーチャリングするなど路線に変更が見られた。ちょうど長年在籍したアルファレコードからの移籍も重なり、なんだか迷走...と言う感じになったときに、「回帰」を謳って出されたのが本作、“EUPHONY”。

他者の曲もあり、ヴォーカル入りの曲も多かった直前のスタジオアルバム2作に対して、4人だけで創り上げた作品。音造りも過剰な装飾を排して、彼等のプレイに迫れる造りになっている。

「SUPER SONIC MOVEMENT」。タイトでデッド、グルーヴィなのにシカケいっぱい。これぞCASIOPEAのサウンド!ラストのベースソロ?のバックでギター・キーボード・ドラムの超絶ユニゾンが聴かれるが、これぞCASIOPEAのプレイ!

「BAYSIDE EXPRESS」は、その直前にCASIOPEAが探っていた方向性であるダンサブルでポップ...という方向性の薫りが残る曲。Aメロは向谷のピアノ系の音でのコード弾きのメロにはなっているが、それ自体で主旋律と言うよりはカラオケのガイドメロディっぽいところや、控えめながらオケヒットなどを使っていて、ちょっとアタラシイ...

異色なのは神保作の「SOLID SWING」。超高速のスイングジャズで、せわしないバスドラのスゥインギーな連打と「シンセブラス」という感じの音色によるメロディがかわいらしい2分足らずの小品。

初めて聴いた当初は、「回帰」が「後退」に感じられ、そのわりには完全には戻りきっていない曲調や音造りが中途半端に感じられたが、今聴くと自分たちの良さや「核」を見つめ直して、その上に改めて新しい「なにか」を積み上げようと試みた作品だとわかる。

ただ、彼等はこの作品のあとスタジオアルバムを作ることなく(ライヴアルバムは1作リリース)、上物の2人とリズム隊の2人に分裂することになる。その後ドラマーの神保だけは最終的にサポートメンバーとして戻る事になるが、ベーシストは後任のナルチョこと鳴瀬喜博の在籍が続いており、櫻井が復帰することはなかった。そして「CASIOPEA 3rd」となった後は今度はキーボードの向谷が離脱しており、黄金期メンバーでの再結成は望み薄だ。

あのとき、自分にはこのアルバムの「次」を期待する高ぶりはあまりなかったような記憶があるが、もし当時この作品を正当に評価する人が多ければ、ひょっとしたら分裂もなく、黄金メンバーによる「その次」があって、それは旧来の彼等のカラーに近年吸収したものをきちんと消化した「なにか」がちりばめられた作品となったのではないだろうか?

そんなことを久しぶりに聴き直して改めて感じた作品です。
メンバーの使用機材が詳しく書かれているスタイルが懐かしい。
メンバーの使用機材が詳しく書かれているスタイルが懐かしい。
※試聴ファイルがあるので、Amazonはユニバーサルの再発盤に繋いでいますが、所持するのはポリドールの初出盤のため「HALLE」のライヴバージョンは含みません。

【収録曲】
1. 太陽風(TAIYO-FU☆THE WIND FROM THE SUN)
2. SHADOW MAN
3. SUPER SONIC MOVEMENT
4. いにしえ(INISHIE☆OLD TIMES)
5. BAYSIDE EXPRESS
6. SENTIMENTAL AVENUE
7. SOLID SWING
8. HACKER
9. PURE GREEN
10. RED ZONE
11. 迷夢(MEI-MU☆SHALLOW DREAMS)

「SUPER SONIC MOVEMENT」

  • 購入金額

    3,300円

  • 購入日

    1988年頃

  • 購入場所

20人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • ちばとどさん

    2014/09/08

    当時、すごく聴いていました。
    今でもASAYAKE とか iPhoneに入れてます。
  • cybercatさん

    2014/09/08

    ちばとどさん、自分も“Mint Jams”はAK120

    に入ってますねー。T-SQUAREは比較的最近のが入ってるのですが、CASIOPEAは「黄金期」を聴くことがほとんどです。

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