レビューメディア「ジグソー」

リマスター&重量盤で聴きたかったので

70年代のロックを代表する名盤として有名な作品ですし、私自身既にCDや国内盤LPは既に所有しているのですが、敢えてRHINO発売のリマスターLPを買ってみました。

 

 

 

 

 

 

180g盤ということを表すラベルが貼付されています。RHINOレコードは日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、70~80年代のヒット作を抱えるアーティストの音源を多く所有して、高音質盤を含む復刻版などを数多くリリースしているレーベルです。

 

以前取り上げたシカゴのアルバム「Chicago XXX」もRHINOから発売されているのですが、実はこのような完全新録の作品をここがリリースするのはきわめて珍しい事例とのことです。

 

 

 

RHINOが手がけた作品のリマスターは完成度に定評がありますので、それと重量盤LPが相まったことでどのような音になるのか楽しみだったのです。

 

収録曲は以下の通りです。

 

 

1.Hotel California

2.New Kid In Town

3.Life In The First Lane

4.Wasted Time

5.Wasted Time (Reprise)

6.Victim Of Love

7.Pretty Maid All In A Row

8.Try And Love Again

9.The Last Resort

 

 

なんといっても圧倒的に有名なのはタイトル曲「Hotel California」でしょうが、他にも後のライブでの定番曲も含まれますし、1976年グラミー賞最優秀レコード賞受賞やビルボード誌アルバムチャート8週連続1位を記録するなど、Eagles最高傑作と評されている作品です。

 

更新: 2016/08/31
総評

敢えて買い直す意義はある

まずは音質についてです。

 

タイトル曲「Hotel California」は、実はSONYのハイレゾウォークマンの試聴ソースとして使われていて、店頭でFLAC 192Kをウォークマン+MDR-1Aで気軽に聴くことが出来ました。ただ、このハイレゾ音源はどうもわざとらしさを感じる音作りで、個人的にはあまりしっくりこなかったのです。特に出だしの音を聴くと、当時の演奏であそこまで重いベースが本当に鳴っていたのか疑問です。オーディオ的には抜群に綺麗な音ですが、そこからあまりリアリティを感じられないというべきでしょうか。

 

そこで同じRHINOリマスター音源でも、LP盤であればどうなるのかに注目しました。

 

すると、日本盤のLPと比べれば深い音は入っているのですが、FLACの音源のような不自然さがなく、丁度従来のLPをもう少しHi-Fi的にしたという音質となっています。まさに期待していた通りの方向性での進歩です。私が持っているCDもRHINOリマスターなのですが、これはFLACの音源を若干ナローレンジかつあっさり目にしたような傾向であり、若干わざとらしさは感じていました。現代的な音にはなっているのですが、これが本来の音かと言われると疑問に感じてしまうのです。

 

 

アルバムの内容についても少し触れておきますが、どうしてもオープニングを飾るのが「Hotel California」であり、アルバム全体のイメージをこの曲が支配していることは間違いありません。2曲目の「New Kid In Town」は割合さわやかなウエスト・コースト系のサウンドですが、「You're Only Lonely」の大ヒットを持つJ.D.サウザーの名前が作曲者としてあることを見て納得しました。曲の雰囲気が実はよく似ています。

 

ただ、それ以降の曲もほぼ全てに共通するイメージは何となく「暗い」ということです。「Take It Easy」というさわやかなカントリーの楽曲でデビューした面影は殆ど感じさせず、ギターロック系の音作りも目立ちます。「Wasted Time」や「The Last Resort」などメロディーラインの整った曲もあるのですが、総じて「闇」を感じさせる作品です。

 

 

この作品に全力を注いだ彼らは、3年後に「The Long Run」という次作を発表するのですが、この作品はビルボード誌アルバムチャート1位こそ獲得するものの完成度は本作に遠く及ばず、その後は結局事実上の解散となってしまいます。後に再結成を果たし、ライブアルバム「Hell Freezes Over」(新録4曲+MTVアンプラグド・ライブ)や「Long Lord Out Of Eden」という完全新録のアルバムを発表したものの、本年1月のリーダー、グレン・フライの死去により、グラミー賞授賞式でのパフォーマンスを最後に活動は終了ではないかといわれています。

 

実は楽曲「Hotel California」の制作過程などでいろいろと曰くはあるのですが、それでもこの楽曲がロック史に燦然と輝く名曲であることは疑う余地はありませんし、アルバムとしても名盤であることは間違いありません。

  • 購入金額

    2,222円

  • 購入日

    2016年07月11日

  • 購入場所

    ローソンHMV

13人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • フェレンギさん

    2016/08/31

    タイトルトラックで、12弦ギターが奏でるイントロが一段落した時に入るドンドン。
    あのバスドラムが自分のイメージに近づくように、SPのセッティングやフォノカートリッジ選びを楽しんだ時代が懐かしいです。

    自分がホテル・カリフォルニア用に選んだのは、オーディオテクニカのAT-15EaGでした。
    今も時々聴いてます。
  • jive9821さん

    2016/08/31

    >フェレンギ さん

    私の場合は、最初中古で買ったレコードを楽しんでいるうちは音質について何とも思わなかったのですが、FLAC 192Kのハイレゾを聴いたときに何か違和感をがあって、レコードの音の方にこだわるようになりました。

    手持ちのカートリッジだと、Ortofon MC-10Wが合いそうという感じはしているのですが、なかなか比較試聴までする余裕がありませんね…。

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