しかし、実はPCにとって一番「使う」パーツは電源だ。スイッチを入れてから電源を落とすまで、無入力・負荷なしの状況でも必ず動いているし、スリープ時も微弱に動いている。Haswellで新たに実装された超省電力スリープ、「C6/C7ステート」は「最小電流値0.05A」と微々たるものではあるがそれでも動いている。
家庭の中で一番電気を食うのは、高熱を発する電気ストーブや高温になるアイロンなどではなく、24時間365日つけっぱなしの冷蔵庫であるということを考えると、そして連続したエンコードを行うとかデモンストレーション用に高負荷なゲーム画面を半日表示し続けるというようなケースでなく、一般的な作業においては「スタンバイ状態」が一番多いことからしても、電源の変換効率が良い、というのは地味だが確実に「効く」性能といえる。そのため、その変換効率を評価する指標として「80 PLUS」という規格が定められた。
これは、電源の負荷率負荷率20%、50%、100%の原則3ポイントにおける変換効率80%以上を担保する電源に対して与えられる。2014年8月現在、80 PLUS(無印)/80 PLUS Bronze/80 PLUS Silver/80 PLUS Gold/80 PLUS Platinum/80 PLUS Titaniumの6グレードが定められている。無印⇒Titaniumに行くにつれて変換効率が上がり、同じ要求電力を供給するために必要な消費電力が下がり、無駄な発熱が減る。規格的にSilverまでは上位と下位の落差が大きいため、長時間使用するPCには80 PLUS Silver以上を使用したほうが電気代の節約となると思われる。変換効率は高いほうが良いのはもちろんだがゲーム専用/優先の「ゲーミングPC」に要求される電源性能はどんなものだろうか。まず一番に、ゲームといえば最近はグラフィック性能が要求される。CPU内臓のグラフィック性能も向上はしているが、まだ役不足だ。以前は高負荷を強いられるCPUと高速アクセス実現のための高回転HDDの消費電力も大きかったが、現在ではブラウザゲームが主流となり、要求性能がCPU<GPUとなっていることとHDDがSSDに置き換えられていくことによって、PCの最大の電力消費元はビデオカードとなっている。
低負荷時と高負荷時の要求電力の落差が大きく、最大時は高い電流を要求するビデオカードを積むゲーミングPCに対応して、+12Vを小分けにするのではなく1本にまとめてとっさの電力要求にこたえることができるのが「+12Vシングルレーン」である。
その他にも、“nVIDIA SLI”や“AMD CrossFire”を実現するための、PCI 6P(6+2P)が充実していることや、不必要なケーブルを装着しないことによってエアフローを確保しやすい構造を持つということも要求度が高い。
さらに電圧変動がない安定した電力供給や信頼性といった基礎体力はもちろんのこと、ゲームへの集中を妨げない静穏性が得られればいうことがない。
このように「ゲーミングPC」の電源ユニットに求められる性能はハイスペックだ。Sea Sonicブランドの80PLUS GOLD認証電源のSSR-650RMは、この様なハードな要求のゲーミングPC電源ユニットに適した電源といえる。まず、80 PLUS規格ではGOLDとなるため高い変換効率を持ち、発熱が抑えられている。また、25℃以下では「Silent Mode」と言われる低速回転にファンをコントロールする機構とあいまって、非常に静か。さらにセミプラグイン機構を採っており、ATX 20+4PとATX 12V 4+4P、PCI-E (6+2P)✕2以外は、必要に応じて追加できる機構だ。さらに5年間の新品交換保証(つまり減価償却なし)という破格の保証をつけた自信の一品。極めつけは最大648Wを誇る+12Vのシングルレーン。これで大電流を要求するビデオカードを積んでも安心だ。World of TanksをI-O DATA LCD-MF272CGBRのWQHD画面でプレイすると平時(ガレージ画面)で約260W、戦闘時で320W程度の消費電力。この際のファンの音が静かなことが最大のポイント。CPUファン、GUPカードファン、ケースファン、電源ファン。この中で一番静かで耳障りでない。戦闘時はともかく、平時のWorld of Tanksはヴーンと低く唸る環境音と遠くで風が吠えるような効果音に時々金属的なカンカンという音が入るようなサウンド。BGMなどはなく、戦場の不気味さを表している。そんなときこの静かさは感情移入を妨げない。
それは同じ80Plus Goldである玄人志向 KRPW-G530W/90+
を今回の構成に繋いでみたときに感じられた。ワットチェッカーでチェックしながらWindows 8.1起動⇒3DMark Fire Strike Extremed実行⇒終了後電源OFFまでを追ってみた。消費電力的には同じ80Plus Gold規格で全く同じだったが、その時のファンの音が違う。一番電力負荷の高い「Graphics Test 1」の時はどちらの電源もファンが回っているのが明確に判ったが、CPU負荷のみ高い「Physics Test」の時には、SSR-650RMのファンの音は完全にCPUファンの音にかき消された。
なお、安定性を評価すべくOCCTを試みたが、CPUのコア温度が急上昇し、危険域を超えて継続できなかった。電源側の問題ではなく、オーバークロック自体の問題で、おそらくリテールクーラーの限界と思われるので、このあたりを設定し直し、再評価したい。
電流の安定性までを評価できなかったのは残念だが、このSeasonic SSR-650RMはその静粛性と5年間新品交換保証を謳う高品質で、World of TanksをプレイするPCにぴったりな電源だ。さあ、耳を澄ませて戦場へ?
【SSR-650RM製品仕様】
定格出力:650W
DC出力3.3V,5V:+3.3V20A、+5V20A、最大出力100W
DC出力 +12V:54A 最大出力648W
DC出力 -12V,+5Vsb:-12V0.3A 5Vsb2.5A 最大出力12.5W
対応規格:ATX 12V Ver.2.3、EPS 12V Ver.2.92
製品サイズ:150(W)x160(D)x86(H)mm
搭載ファン:12cm 静音ファン x 1
入力:AC full range 100-240V 50-60Hz
コネクタ数:ATX 20+4P=1、ATX 4+4P=1、EPS 12V=1、PCIe 6+2P=4、SATA=8、ペリフェラル4P=5、FDD 4P=1
製品保証:長期5年間新品交換保証
付属品:AC電源ケーブル、モジュラーケーブルセット、ネジセット、取扱説明書兼保証書
製品紹介HP
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