レビューメディア「ジグソー」

爽快感のある戦闘は○、月額料金と世界観を受け入れられるかどうかが鍵か

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2014.8.10 地脈に流れるオーラを使い、特定の場所を行き来する龍脈移動の動画をup


 

 

MMORPG「Blade & Soul」レビュー

 

ブレイドアンドソウルは、NCsoftが発表した韓国産MMORPGである。

日本においては、2014年5月20日にサービスが開始されたばかりの新タイトルだが、韓国では2012年にサービスを開始しており、既に2年程の運営実績がある。

 

本作のジャンルは、武侠アクションMMORPG。

NCsoftによると、「最新のグラフィック技術で描かれた『東洋風の世界観』、『武侠の世界』が溶け込んでいる多彩な物語、そしてこれまでのオンラインゲームでは表現できなかった『究極のアクション性』は、プレイヤーたちを新たな世界へ導いていきます。」とのことだ。

 

制作費に総額50億円もの費用が投じられているらしく、プレー料金は、月額3,000円という強気な料金設定。1アカウントにつき、3体のキャラクターを作ることができ、そのいずれか1キャラクターがレベル15を超えるまでは無料でプレイすることができる。

 

50億円もの巨額な開発費が投じられた超大作MMOといわれれば、MMO好きとしては気になるところなので、レベル15まで体験プレイしてみることにした。

 



 

細部まで設定できるキャラクタークリエーション

キャラクター作成はかなり自由度が高い。髪型や顔の表情はもちろんのこと、体の各部位まで細かく作り込むことができる。時間をかけてキャラクターを作れば、より愛着が沸くというものだ。

 

細部まで作り込むことができるキャラクタークリエーションは本作の売りの1つである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

種族は4種類、職業は6種類ある。種族によって就ける職業が決まっている。

種族と職業の種類は公式サイトを参照していただきたい。

 

種族:ジン族、ゴン族、リン族、クン族

職業:剣術士、拳闘士、魔道士、滅砕士、暗殺者、召喚士

 

 

ジン族

 

 

ゴン族

 

 

リン族

 

 

 クン族

 

 

今回は、ジン族、剣術士の組み合わせを選択してみた。

剣術士は攻撃を防ぐことを得意としており、攻撃のバリエーションも豊富な攻守のバランスの取れた、剣を扱うのに長けた職業とのこと。タンク職に向いていそうな職業だ。

サーバーは、4つあるうちの中から、第一サーバーである「牡丹」を選択した。

 

 

剣術士でレベル15までプレーしてみて

総合的な評価としては、まずまずというところだ。

数多くの韓国産MMORPGがある中で、他作との差別化が図られている点としては、「初心者でもスピーディーで爽快感のある戦闘を可能とする戦闘システム」、「東洋風の世界観」という部分だろう。

 

剣術士でレベル15までプレーして感じた各項目の評価は、以下のとおりである。

 

 

■グラフィックス

ゲーム内のグラフィックスは及第点といったところだ。

最高画質でプレーしているが、装備品の質感を細部まで描写するというレベルにまでには至っていない。太陽光や霞の表現にやや不自然な描写が見られる。

 

自然描写をやや強調しているような印象がある

 

 

 

また、ストーリー背景が武狭物であるため、武器や衣装が馴染みのない形状をしている。ここに抵抗を感じる人もいるだろう。

 

必要とされるマシンスペックについてだが、GTX670、Core i7-2600Kを搭載したPCでソロプレー時であれば、最高画質でも70~120fps出ていたので、要求されるグラフィックス性能はそれ程は高くないといえそうだ。ただし、数十人にも上る大規模戦闘でも十分なのかといえば、未経験なので確証はないが、ある程度のグラフィックス調整を要するように思われる。

 

 

■サウンド

東洋風の曲もあれば、西洋風ファンタジーを感じさせる曲もあり、両方が適度にミックスされている。

音楽は映画「レッドクリフ」「殺人の追憶」、ゲーム「鬼武者2」などで知られる日本人作曲家の岩代太郎が担当している。

 


■操作性

近年主流になりつつあるノンターゲット方式を採用しており、マウスを左右に振ることで視界移動、WASDで移動、左右クリックで攻撃という標準的な操作方法である。

UIは伝統的な作りをしており、インベントリやクエストヘルパーなどの基本的なUIを感覚的に操作することができた。その点からしても、まずまずの操作性といえるだろう。

また、標準でUIの配置替えをサポートしている点は評価できる。

 

 

■戦闘システム

画面左上に表示される3本のゲージは、赤がヒットポイント、青が内力、緑がダッシュなどに必要なスタミナを示している。

戦闘時、通常攻撃をヒットさせると内力ゲージが蓄積されていく。内力ゲージを消費することで、スキル(武功)を発動することができるようになっている。

通常攻撃で内力を蓄積しつつ、戦況に応じてスキルを発動する。消費した内力ゲージを再度蓄積するという動作を繰り返して戦闘を進めていくのだ。

常に内力ゲージを満たしておくことが戦闘時の重要なポイントとなる。

 

 

 

 

 

敵をターゲットする方法は、ノンターゲット方式を採用しており、TPSやFPSのように画面中央に表示されるプレイヤーの視線に見立てた十字型の照準を敵に合わせて攻撃する。

 

FPSをプレイしたことがある人であれば理解できることなのだが、実は敵に照準を合わせて攻撃するということ自体に相応のプレイヤースキルが必要であったりするのだ。

 

しかし、本作の場合、マウスを振って照準を敵に近づけると自動的にターゲットとして選択される「オートターゲット方式」が取り入れられている。

プレイヤーは厳格にターゲットする操作をしなくても、敵のいる方向へマウスを振るだけでスムーズに攻撃対象を移していくことができるのだ。

 

白色の十字型マーカーがプレイヤーの視線に見立てた照準

 

 

 

マーカーを敵に近づけると、吸い寄せられるように自動的にターゲットされる

 

 

 

また、1つのキーに対して複数のスキルが割り当てられており、自分と敵の状態に応じてスキルが自動的に切り替わるため、少ない数のキーで多くのことができるようになっている。これにより、複雑な操作をしなくても、スピード感のあるコンボ攻撃を行うことができるのだ。

初心者であっても、スピーディーで爽快感のある戦闘を楽しめるように考え込まれた良システムである。いうばれば、格闘ゲームの要素が詰め込まれたMMORPGという感じである。

 

1つのキーに複数のスキルが割り当てられている

 

 

 

・衣装(アバター)システム

一般的なMMORPGでは防具を身に付けることで防御力や回避力などのステータスを強化するが、本作には防具というものが存在しない。

キャラクターが身に付ける衣服には防御力がなく、外観が変わるだけのおしゃれ装備である。

防御力等のステータスを向上させる防具の代わりとなるアイテムが宝貝(パオペイ)である。

プレイヤーは、複数の宝貝を組み合わせて身に付けることで、キャラクターにステータスを付していく。

これにより、好きな外観を保ちつつ、ステータスをカスタマイズすることができる。

 

ただ、一方でゲーム序盤ですら大量の宝貝にインベントリが圧迫されて煩わしさを感じることが度々あり、ストーリが進むほどに宝貝の管理が煩雑になりそうで、一概に良いシステムともいえない気がしている。

 

宝貝(パオペイ)には様々なステータスが付されている。インベントリが圧迫される点が辛くもある

 

 

 

・アイテム強化

武器やアクセサリ類はアイテム同士を掛け合わせることで強化していくことができるが、強化システム自体が複雑で非常に分かりにくい。もっとシンプルな設計にすべきであっただろう。

 

ステータスには表示項目が多く、見た目にも複雑。強化手段も含めシンプルな設計が望ましい

 

 


■世界観・ストーリー

有力な武術の一派であるホン門派に弟子入りしようと修行に励む主人公。師匠から正式に弟子入りが認められた日、濁気を纏うジン・ヴァレルらの襲撃にあい、師匠は殺害されて一派は壊滅してしまう。

九死に一生を得た主人公は、ジン・ヴァレルを追う旅に出る、というのがストーリーのプロローグである。

 

ドラマチックなオープニングでストーリが始まるが、惜しむべきは、公式サイトにストーリーを補強するともいうべき世界観に関しての記載がない点である。

MMOにとって、プレイヤーをゲームにより深く引き込む役割を果しているのが、世界観なのである。

ストーリーの背景となる世界観を知ることで、ストーリーをより深く理解することができるようになるのだ。そういう意味において、MMORPGにとって世界観はとても重要な要素といえる。

 

本作をより楽しんでいただくために、本作の世界観を詳細に説明しているサイトを紹介しておこう。

 

(む)ぶろぐ ー Blade&Soul 世界観  Blade&Soulとは?

 

こちらのサイトにある情報を基に想像するに、

 

主人公の師匠であるホン門派の長 ホン・ドウゲンは、仙界の神託を受けて世界を支える四つの柱に濁気を封印した者のうちの1人、もしくはその関係者なのではないか。

 

ジン・ヴァレルは濁気を利用して強力な魔力を手に入れた人外の者なのではないか。

 

濁気の発生源は魔界であることから、現世と魔界との境界が曖昧になりつつあるのではないか。今後は魔族を相手にするストーリー展開がなされるのではないか。

 

ジン・ヴァレルを追い求めるうちに、主人公は濁気を封印する使命を負うことになるのではないか。その場合、ホン・ドウゲンのような特別な力を得ることになるかもしれない。

 

というように、今後のストーリー展開を想像しながらプレーすると、よりゲームの世界を深く理解しつつ楽しむことができるだろう。

 

 

■クエスト

クエストの構成は、ジン・ヴァレルを追っていくというストーリーの本流であるエピッククエストと旅の途中で出会う人々からの依頼をこなすサブクエストに分けられる。

ゲーム序盤であるレベル15までのプレーにおいては、クエストは単調であり、クエストのテーマが日本人には理解しがたい内容のものもあるので、全体的に盛り上がりにかける感がある。

今後のストーリー展開に期待したいところである。

 

 

プレイ動画

剣術士の序盤プレイ動画をUPしてみた。ブレイドアンドソウルの戦闘方式を大まかにご理解いただけるだろう。

 

 

南海艦隊前哨基地 

 

 

 

秘密加工所 


 

 

湖畔の貯蔵庫 鬼炎サソリをソロ討伐

 

 

 

地脈に流れるオーラを使い、特定の場所を行き来する龍脈移動シーン

 

 

 

 

剣術士の戦闘スタイルは・・・

まず、クラスロール(職の役割)について触れておこう。ブレイブアンドソウルには、タンクやヒーラーといった固定されたロールがない。全職がダメージディーラーであり、多くの職がタンクとしてのロールを担えるようにクラス設計されている。

 

その中でも、剣術士はタンクを十分にこなすことができるスキルを持ち合わせている。

タンクの役割とは、敵の攻撃を引き受けながら戦線を維持することにある。

 

剣術士の防御と回避のスキルをうまく使えば、敵からのダメージを軽減・無効化することができる。また、ダウン・気絶など敵に状態異常を引き起こすスキルも豊富に持っている。

 

敵のヘイトを集め、標的になり続けることもタンクの重要な役割である。

そのためには、高火力で敵にダメージを与え続けることが必要となる。

高火力を維持するには、スキルを発動し続けなければならない。

スキルを発動し続けるためには、内力ゲージを維持しなければならない。

 

スキルの中には、発動成功時に内力を回復する効果があるものもある。

それらのスキルをコンボの中に取り入れることで、常に内力ゲージを蓄積しておくことが可能になるのだ。

スキルには内力を消費するものと蓄積するものの2種類があり、効率的に使い分ける。それが高火力を維持するためには肝心なのである。

 

 内力を回復する効果があるスキルもある

 

 

 

剣術士の戦闘スタイルについてまとめると、

  • 高火力で攻撃することでヘイトトップを維持する。そのためには、内力ゲージの消費と回復を意識しながら効率的にスキルを使用する。
  • 防御・回避・状態異常スキルを使いこなすことでダメージを軽減しつつ、敵をキープする。

 

 

総合評価 爽快感のある戦闘は○、月額料金と世界観を受け入れられるかどうかが鍵か

MMORPGでありながら格闘ゲームのスピーディーで爽快感のある戦闘を、複雑な操作をすることなく実現した戦闘システムを高く評価したい。

格闘ゲームに馴染みのないプレイヤーであっても、簡単にコンボ攻撃を繰り出し、軽快に敵を倒していくことができることだろう。

 

やはり最大のネックは、月額3,000円のプレー料金だろう。

フリープレーが標準となりつつあるPCゲーム業界において、あまりにも高額である。

個人的には1,500円程度が妥当であると感じている。

 

月額料金の高さが影響しているのだろう。第一サーバーを選択したのにも関わらず、同一レベル帯のプレイヤーがまばらであった点が気になった。

日本においては、サービスを開始してから2ヵ月程度しか経っていないのだが、新規プレイヤーがかなり少ないように感じれらた。

 

また、MMORPGにおいては、西洋ファンタジーの世界を題材にしたものが主流である。その中において、武侠の世界観を抵抗感なく受け入れられるかどうか。その点は、プレイヤーの感性によるところではある。

  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2014年07月21日

  • 購入場所

    NC JAPAN

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