クリヤ・マコトは何度かご紹介している鬼才。
ジャズを基本としながらも、車のプロモーションの異種格闘技的セッションに関わったり、アニメのジャズ化を推進したり、Youtubeでアドリブコンテストをやったりと結構多彩で多才。
そんな幅ひろ~い彼の守備範囲のなかではどちらかというと「王道」の作品。構成はピアノトリオ。クリヤがピアノかRhodes(電気ピアノ)を弾き、ウッドベースの早川哲也とドラムスの大坂昌彦がリズムで支える構成。ここでのクリヤのプレイは著名ミュージカルの有名でかつキャッチーなテーマを得て、それを分解し、発展させ、崩したジャズに引きずり込んだイイ感じのカオス。
躍動的な「メモリー」は、日本でも大ロングランを続けるミュージカル“CATS”の最も代表的な曲。2014年現在8000公演を大幅に超えてまだ記録更新中。クリヤの駆け回るピアノとアタックの強い早川のガット弦ベースの躍動感、スキマがあれば音を入れてくる大坂の饒舌なプレイがスピード感満点。クリヤのソロは「ピアノは打楽器」というのが実感できるもので、大坂のオンビートソロとの対比が良い。
ヴィクトル・ユーゴーの原作を下敷きにした“レ・ミゼラブル”はこのアルバムで唯一複数回取り上げられるが、ピアノの低音弦を使ったグルーヴィなリフと、フュージョン~ロックタッチにバックビートが効いたドラムスで華やかな出来は「民衆の歌」。途中のベースソロは奏法的に奇をてらわないフレーズを大切にしたものだが、周りが一気に静かになり引き込まれる。この曲のエンディングのBlues Funk系の音取りがクリヤのアメリカ的感性だ。
ディスニー映画で有名な「美女と野獣」は「あの」テーマ。ブラシのドラムスと低めの音中心に独特のガット弦のアタックで支えるベースの上でビアノがたゆたう。ベースソロのあとのピアノの装飾は積極的に88鍵最高キーのあたりまで使って華麗にまとめる。ベルとビーストのダンスが蘇るようだ。
持っているのは当然CDだけれど、なぜかAmazonのページは「形式:CD」ながらmp3販売ページにつがってる。でも試聴ファイルがなかなかないアルバムなので、それも良いかと。有名な曲達、識っている曲がどう料理されたか...一聴あれ!
【収録曲】
1. 夢やぶれて (レ・ミゼラブル)
2. オン・マイ・オウン (レ・ミゼラブル)
3. 私だけに (エリザベート)
4. メモリー (キャッツ)
5. アイヴ・シーン・イット・オール (ダンサー・イン・ザ・ダーク)
6. ロキシー (シカゴ)
7. 民衆の歌 (レ・ミゼラブル)
8. サークル・オブ・ライフ (ライオンキング)
9. ダンシング・クイーン (マンマ・ミーア!)
10. ドリームガールズ (ドリームガールズ)
11. ザ・ポイント・オブ・ノー・リターン (オペラ座の怪人)
12. 美女と野獣 (美女と野獣)
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購入金額
2,520円
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購入日
2013年11月頃
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購入場所
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