インテル Haswell世代の Core i7シリーズが発表になった時、デスクトップPC用に、Core i7 4770Rという、Intel Iris Pro 5200を搭載したCPUが気になっていました。
Iris Pro 5200は、Haswell世代最強のグラフィックスですが、主としてノートPC用CPUに多用されたラインアップでした。
ノートPCにディスクリートのGPUを搭載すると、パフォーマンスが上がりますが、消費電力とスペースを食ってしまうため、高性能ノートPC用として Iris Pro 5200が使われています。
デスクトップ用では、Core i7 4770RとCore i5 4570Rいう名称でリリースされたのですが、残念なことにソケット1150ではなく、BGA(CPU-Zでは、Socket 1364 BGAと表示されます)タイプのため、ベアボーンかメーカーのオールインワンタイプのPCにしか搭載される可能性がなく残念な思いをしていました。
そんな中、GIGABYTEから、BRIX Proというシリーズ名で、Iris Pro 5200を搭載したCore i7とCore i5を搭載した小型ベアボーンが発売されましたが、小型が故に負荷を掛けると(発熱すると)冷却ファンが半端なく煩いという情報があり、購入を躊躇していました。
その後、ZOTACからもCore i7 4770R及びCore i5 4570Rを搭載した小型ベアボーンが発売されました。
このベアボーンは、CPUクロックの上限に制限を掛けることで発熱を抑え、静かなベアボーンになっているとのことです。
発売から約半年待っても、好みのベアボーンが出てこないので、このベアボーンキットを購入してみました。
べアボーンキットに次のものを搭載しました。
起動ドライブ Samsung 840EVO mSATA 250GB SSD
データドライブ Crucial M500 2.5inch 960GB SSD
メモリ CFD DDR3L-1600 8GBx2
OS Windows 8.1 Pro Update 64bit DSP版
フットプリントはCDジャケットよりも小さなベアボーンですが、とてもハイパフォーマンスなベアボーンキットです。
CPUも、クロックこそ低いですが、Core i7 4770RはパワフルなCPUです。
BRIX Pro GB-BXi7-4770Rは、111.4x114.4x62mmというとてもコンパクトなベアボーンキットです。
天板には電源スイッチがあるだけです。写真は出荷時に貼ってあった保護シートは付いたままです。電源スイッチは、通電中ブルーLEDで電源マークが表示されます。
フロントパネルには、USB 3.0ポートx2とヘッドフォン/SPDIFジャックがあります。
通電中は、ヘッドフォンジャックの奥から赤色LEDが表示されます。
ベアボーンキットの付属品に、このヘッドフォンジャックの栓が付属しています。
バックパネルには、USB 3.0x2,ギガビットイーサネットコネクター,mini DisplayPort,HDMI,ACアダプターコネクター,ケンジントンロックコネクターがあります。
端子群の上部は、CPUクーラー(ブロアー)から熱風が出る排気口となっています。
端子群の下部は、2.5inch SSD/HDD,mSATAの排熱用(自然排気)のメッシュパネルとなっています。
基本的には、フロント/サイドのメッシュから吸気し背面に排熱されます。
メモリ2枚,mSATA SSD,2.5inch SSDをセットした状態で、966gでした。
底面のゴム足4箇所の中心部にネジがあり、底面からベアボーン内部にアクセスできます。
標準で IEEE 802.11 a/b/g/n/ac Wi-Fi / Bluetooth 4.0 Mini-PCIe用カードが搭載されています。
アンテナは、天板裏に貼られています。
mSATA SSDとメモリを搭載した状態です。mSATA SSD固定用ネジも付属していました。
外した底面パネルの裏には、2.5inch SSD/HDDを搭載できるフォルダーがあります。
マザーボードは、2本のネジでケースに固定されています。
Wi-Fiカードのアンテナとネジを外すとマザーボードを外すことができます。
メモリソケットの裏面は、CPUクーラーを冷やすブロアーが大半を占めます。
ブロアーを外すと、CPUクーラーが見えます。
CPUとチップセットを冷やす厚手の銅製CPUクーラーです。
ブロアーの位置関係を見ると、ブロアーの吸い込み口が、CPUの真上になるようにセットされています。
CPUクーラーは、4本のネジで、マザーボードに固定されています。
CPUクーラーを外すと、CPUとチップセットが現れます。
グリスはダイヤモンドグリスのようなグレーのグリスが塗られていましたが、最新の高性能ダイヤモンドグリスを塗布しました。
TDP65WのCPUなので、大型ノートPC並のACアダプターが付属しています。19V 7.1Aなので135WのACアダプターです。
他には、VESAマウントとドライバーDVD,取扱説明書,2.5inch SSD/HDD固定用ネジ,ヘッドフォンジャックキャップが付属しています。
この画面は。BIOSのバージョン,RJ-45のMACアドレス,搭載メモリ量とクロック及びマネージメントエンジンのバージョンが確認できます。
ハードウェア設定のトップ画面です。
CPUの情報と設定画面です。
SATAポートに接続されている機器の一覧と、SATAモードの変更ができます。
この設定画面から想像すると、mSATAポートに繋いだSSDとSATAポートに繋いだSSDでRAIDドライブが構成できるようです。
搭載されているチップセットがHM87 Expressなので、6Gbpsのポートが最大4ポートでRAID 0/1/5/10をサポートしているようですが、SATAポートが2つしか搭載されていないので、RAID 0/1の対応となります。
ハードウェアモニター画面です。システムの温度,CPU温度,CPUファンの回転数がリアルタイムに確認できます。
インテル ラピッド スタート テクノロジーの設定ができます。
インテル ラピッド スタート テクノロジーの設定をEnableにすると、詳細設定画面が表示されます。
インテル スマート コネクトテクノロジーの設定ができます。
インテル アンチ セフト テクノロジーの設定ができます。
システムのタイマーを使って起動時間を指定できます。
オンボードデバイスの設定ができます。
BIOSの設定画面では、メモリは DDR3L-2133まで対応しているようです。
ブートの優先順位を設定できます。ポータブルBlu-RayドライブをUSBに接続した際には、UEFI対応ドライブとして表示されました。
一般的なBIOSパスワード設定とともに、セキュアブートの設定画面もあります。
設定変更の保存とブートドライブの設定ができます。
搭載されているCPUが固定なので、BIOS設定でできることは少ないですが、一通りのことは設定できます。
BRIX-Proは、Windows 8.1 Pro Update DSP版をインストールしました。
TDP65Wで、最大3.9GHzまでのターボブーストに対応しています。
メモリは、1.35Vの定電圧タイプでDDR3L-1600として動作しています。
HD4600と比較すると、ダイサイズは177平方mmから264平方mmと大きくサイズアップしています。
ROPs/TMUsもHD4600が、2/4ユニットだったのに対して、8/32ユニットと大幅増です。シェーダーユニットも40と倍増しています。
今回用意できたメモリが、DDR3L-1600なので、高速なOCメモリを搭載できれば、もう少しパフォーマンスが上がると思います。
Win Score Shareをみても、小型ベアボーンとは思えないハイパフォーマンスです。
トータルスコアを見ると、Core i7 4770K+DDR3-2400 32GBのシステムに肉薄するスコアがでます。
OpenGLのスコアは、倍近いスコアがでています。メモリがDDR3L-1600でもこのスコアなので、OCメモリを搭載すると更なるハイパフォーマンスが期待できます。
このマシンは、当初HD動画エンコード専用として考えていたのですが、Photoshopなども、HD4600を搭載しているCore i7 4790Kより快適に動作するかもしれません。
最後に3DMARKのベンチマークですが、HD4600と比較すると、圧倒的なパフォーマンスアップです。
これだけのスコアが出るのであれば、オンラインゲームもそこそここなせるのではないかと思います。
BRIX Proのデバイスマネージャーの一覧ですが、DisplayPort / HDMIのデュアルモニターでも、両方に音声出力もできるようですし、WiDiにも対応しています。
これだけの機能とパフォーマンスは、小型ベアボーンには勿体ない気がします。
第5世代のデスクトップ用CPUでは、ソケットタイプとして登場することを期待したいと思います。
このベアボーンを購入した目的自体が、Iris Pro 5200を使ったQuick Video Syncのパフォーマンスを知りたいと思ったことですから、動画エンコードを試してみたいと思います。
Pegasys TMPGEnc Video Mastering Works 5を使って、HD動画のエンコードをしてみました。
ソースは、MPEG-2エンコードされた、12.4MbpsのHD動画、12.3GBを使いました。
この動画を、スマホ用にフルHDでMPEG-4 AVC 4Mbpsの動画にトランスコードしました。
比較対象として、Core i7 4790K,Core i7 4770Kでも同様のトランスコードを行ってみました。
Core i7 4770Kのシステムと比較して4.6%程短時間でエンコードが終了しました。
比較表にも記載しましたが、比較対象の他のシステムはデスクトップPCで、メモリも高速なものを搭載しています。
僅差ではありますが、メモリのハンディキャップを乗り越えて、Core i7 4790Kのシステムよりも短時間でエンコードを終えることができました。
もう少し差が出ることを期待していたのですが、十分なパフォーマンスだと思います。
BRIX Proは、デスクトップPCに引けを取らないパフォーマンスを持った小型ベアボーンキットですが、万人にお勧めできるものではありません。
小型が故に、拡張性が殆どありません。
今回は、起動ディスクとして、Samsung 840EVO mSATA 250GB SSD,データドライブ用にCrucial M500 960GB SSD,メモリは、DDR3L-1600 8GBx2,OSとしてWindows 8.1Pro 64bitをインストールしましたが、ベアボーンキットを含む全ての商品の購入金額合計が、165,876円(税込)でした。
これだけの金額を出せば、もっと高性能なデスクトップPCが下手をするとモニター付きで購入できると思います。
また、ベアボーン内に余っている拡張端子もありませんので、USB 3.0経由での拡張以外にシステムを拡張することはできません。
それでも、CDジャケットより狭いフットプリントで、デスクトップPCと対等に処理が可能なシステムとして面白いシステムではあります。
また、消費電力も少なく、動画エンコード時でも65W程度の消費電力です。
僅か966gなので、VESAマウントを使ってモニターの背面に取り付ければ、とても省スペースなPCが出来上がります。
BRIX Proは、発売当初から、煩いベアボーンとして色々書かれてきましたが、確かに動画のエンコードを行うとブロアーが5,000rpm程で回りますので、結構気になります。CPUの温度も100℃位になりますので、同じパッケージ内のSSDも熱で煽られます。
HD動画のトランスコードを行った際のHWMonitorでは、CPUはほぼ100℃,GPU-ZでもIris Proが92℃まで上がりました。
そこで、BRIX Proをケースから出して、ブロアーを外して、Silent8という8cmファンをCPUクーラーの上においてエンコードを行ってみました。
すると、ファン自体が低速回転であることもあり、動画エンコード時もとても静かで、気にならなくなりました。
また、CPUの温度も20℃ほど下がりましたので、十分に許容できる範囲ではないかと思います。
どうも、ブロアーファンがシステムの完成度を台無しにしているようなので、今後色々清音化を試してみたいと考えています。
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購入金額
73,410円
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購入日
2014年09月15日
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購入場所
DOSPARA パーツ館
jakeさん
2014/09/23
やはり騒音が問題になりますね。
CPUから熱を吸い込む構造だからだとおもいますが、回転数を落とすと冷却性能がてきめんに落ちます。
吹き付ける形にすれば少しはマシだと思うんですが、それだと面積を食い過ぎるんですよね。
コンパクト&ハイパワーはロマンですが、なかなか難易度が高いとおもいますね。
Picardさん
2014/09/23
ブロアーは煩いですね。
薄い冷却ファンとか幾つか購入して試してみようと思っています。
天板をくりぬいて12cmファンを付ければ、直ぐに静かになるのですが、できれば小型フォルムを守ったまま清音化できればと考えています。
まあ、時間をかけて色々遊んでみたいと思います。
daiyanさん
2014/09/23
Picardさん
2014/09/23
確かに、そうですね。
GB-BXi5G-760は、CPUがTDP47WのCore i5 4200Hなので、CPU自体の発熱は少なそうですが、GeForce GTX 760がどんだけ発熱するかですね。
構造がどうなっているか知りませんが、CPUとGPUが独立した冷却なのか同一なのかによって変わってくるかもしれませんね。
多分熱いと思います。
sakさん
2014/09/23
Picardさん
2014/09/24
GIGABYTEも、EFIになってから、AMIに変わった気がします。
GA-Z87X-UD5HもAMIでした。