今まで、cybercatの使用するSSDと言えばIntel Smart Response Technology(ISRT)用のキャッシュ用小容量SSDとスレートPC用やNUC用のmSATA接続SSDというような特殊用途用以外はすべてIntel製SSDを使用してきた。
これは「データ」に比べると再現することが不可能ではないとは言うものの、ライセンス情報などを含み、容易に再現ができないシステムドライブには信頼性を重視して安心の「Intelブランド」を選んでいるからだ。
もともとSSDは「明らかな寿命がある製品」として世に現れ、実際に初期にはよく突然死が報告されていた。いまではSSDを手掛けるメーカーも多く、選択肢も幅広いが、世間で聞く故障率などを勘案するとやはり信頼の「Intelブランド」という選択をしてきたわけだ。
ただ、どのような産業でも部品分業が進んでいる現在において、いかなIntelであろうとも主要部品すべてが内製、というわけではない。NANDフラッシュはすべて自社製だが、コントローラーは必ずしもそうではなかった。
今回コンシューマー用として久しぶりに自社製コントローラーを採用した高性能SSD、Intel SSD730を使用してPCを組み、性能を評価してみた。
BOX品だが、付属品は最低限で、本体に加えてインストレーションガイドのCDとSATAケーブル、取付ネジとステッカーというもの。
添付品はバルクと大差ない。
ただその本体の印象は結構異なる。今までIntelのSSDは9mm厚がスタンダードのごとく、7mmの厚さのSSDにも黒い枠のスペーサーをつけていたのが本品は7mm厚であるのにそれがない。いや、なにより今まで型番やシリアルが書かれていたスペースには髑髏の絵が。そして型番などのラベルは裏面に移動となっている。
いままで、髑髏マークといえばIntel製のM/Bでゲーマー向けの高性能版につけられていたアイコンだ。デスクトップマザーボード事業から撤退した現在においては「懐かしい」感じもするが、それだけ本品の、「内製SSD」への意気込みがうかがえる。
実際どれほどの性能なのだろうか。
インテルはSSD黎明期からこのパーツに取り組んでいるので、そのすべてを使ったことがあるわけではないが、この730で「cybercatの使用経験があるもの」としても4シリーズ目に当たる。SSDは同一シリーズでも容量によって性能がことなるので、自分が所持する容量で4シリーズを比較してみた。にお以下のCrystalDiskMarkの値は、公平な比較ではない。SSD320とSSD520は同一の環境だが、他は環境もOSも異なる。参考程度に見ていただきたい。
SSDというものを最初に使ったのがSSD320だが、比較対象がHDDであった頃は爆速と感じたその速度も、接続規格がSATA2.0のため、他の3種に比べると見劣りするのは致し方ないところか。
SSD320はコントローラーがインテル内製だったが、SSD520と335はSandForceのSF-2281を採用する。ベンチマークと実使用の性能の差が言われていたが、少なくともベンチマークにおいては未だに優秀だ。特にSSD730が不得手とするWrite系はランダムアクセスNCQ以外はすべてSSD335が上回る。ただ、インテル内製コントローラーは旧タイプのSSD320採用のもの(PC29AS21BA0)でもNCQ機能による性能向上が大きく、ここが一番大きく体感に効くと言われているので、実使用が楽しみな感じだ。
同一環境においてどれほどの差があるのかを検証した。SSD335は検証に使える空きがないため、SSD730が事実上の後継となるSSD530の旧タイプ、SSD520との比較とした。一般的にSSDは容量が大きい方が高速動作するため、120GBのSSD520と240GBのSSD730では公平な比較ではないが、逆に2年前となるSSD520からランクアップしようと考えた場合、容量的にも購入対象となりうると思われるので、その観点で見ていただきたい。
検証環境は以下の通り。
CPU:Intel Core i7-5960X Processor Extreme Edition
(Haswell-E、8C16T、定格3.0GHz、TB時最大3.5GHz、L3キャッシュ20MB)
CPUクーラー:CORSAIR H100i (簡易水冷)
M/B:ASUS X99-A (OC Socket-LGA2011-v3互換-、X99チップセット)
メモリ:Crucial CT8G4DFD8213 ✕ 8 (PC4-17000(DDR4-2133)、8GB、合計64GB)
ビデオカード:ASUS STRIX-GTX750TI-OC-2GD5
(NVIDIA GeForce GTX 750 Ti、ビデオメモリGDDR5SDRAM2GB)
電源:CORSAIR RM850 (850W、80PLUS GOLD)
PCケース:CORSAIR Air 540
OS:Windows 8.1 64bit
まず同一環境でのCrystalDiskMarkは以下の通りだ。
【SSD730 240GB】
Read>Writeの傾向と、ランダムアクセスNCQでの性能向上が大きい
【SSD520 120GB】
ここで大きな番狂わせが。SSD520のWrite系がふるわないのだ。Read系はSSD730とよい勝負をしていて、新品時にWindows7環境下で取った値(上記4機種比較表)と大きな差はないのだが、Writeは半分から項目によっては1/5くらいの値に落ちてしまっている。これが環境のせいなのか、1年半の使用によるものなのかは不明だが...(SSD520を積んでいたPCはサブサブ機だったので、実際の使用時間は多くはないのだが←月に数度1時間程度の使用)
ただ容量も異なるので、もともと公平な比較ではなく、1年半使った半分の容量のSSD520を倍の容量のSSD730に換える価値があるか、という観点で評価いただきたい。
これだけ差が付いてしまったが、あくまでベンチマーク。もともとSandForce系コントローラーはベンチマークと実使用での性能の差が大きいと言われていた。
そこでもう少し実運用に近い形としてPCMark8のしかもストレージ性能を測る「Storage」テストではなく、過程での実使用に近い「Home」テストを実行した。その結果は以下の通り。
【SSD730 240GB】
【SSD520 120GB】
気持ちSSD730の方がスコアがよく、詳細にチェックしても「Web Browsing - Amazonia」においてごくごくわずかにSSD520がよいほかは、すべてSSD730が勝っている。ただその差は誤差と言って良いモノがほとんどで、いずれも数%以内の差だった。
CrystalDiskMarkのスコアやデータシートと比較してあまりに差が小さかったので、実運用としてもう一つ気になる起動時間を比較した。
計測ソフトとしてBootRacerを用いて、SSD730とSSD520を各々3回測定した。結果は以下の通り。
なぜか、「Windowsブート」と「デスクトップ」の比率が異なるが、これは常にSSD730が高速だった。これははっきりと体感もできたので、SSD520 120GBをSSD730 240GBに交換する価値はあると思われる。
今回Intel内製のコントローラを久しぶりに採用したコンシューマ向けSSD、「SSD730 240GB」を検証した。以前の内製コントローラ採用SSD、SSD320とは接続規格も異なり、明らかな優位性があったが、直前まで採用していたSandForce系コントローラー採用のSSDに対する差を検証した。
ベンチマークでは必ずしも最強ではなかったが、実使用、特に起動時には体感できる差が生じた。
さらに(今回は検証できなかったが)SSD730にはデータセンター向けSSD、SSD DC S3700で培った停電時の書き込み中断事故を防ぐ、キャパシタが搭載される様な工夫もあると聴く。
それらを勘案するとSSD730は現時点では安定性を重視するなら最良の選択といえるのではないだろうか。
【SSDSC2BP240G4R5仕様】
シーケンシャル・リード:550 MB/s
シーケンシャル・ライト:270 MB/s
ランダム・リード (8GB スパン):86000 IOPS
ランダム・ライト (8GB スパン):56000 IOPS
レイテンシー - リード:50 µs
レイテンシー - ライト:60 µs
消費電力 - アクティブ時:3.8W
消費電力 - アイドル時:1.5W
動作温度範囲:0~70°C
重量:72g
耐久性評価 (書き込み上限数):50GB Writes/Day
平均故障間隔 (MTBF):2,000,000 Hours
保証 期間:5年
Intel SSD 730 (240GB, 2.5in SATA 6Gb/s, 20nm, MLC)仕様表
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購入金額
0円
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購入日
2014年10月20日
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購入場所
5 Reviews ICE Tower秘宝
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