世の中ハイブリッドが全盛ですね。私も最近よく気づくと背後にプリ○スが忍び寄っています。PCパーツにもハイブリッドってのがあります。それがこのSeagateのSSHD。
HDDに8GBのMLCを搭載し、それをキャッシュとして使うという、いわばSSDとHDDのハイブリッド種。とはいえSSD分は少ないのでHDDをベースに高速化を試みたものといった表現が的確だろう。
同じような発想の技術としては、SSDとHDDを特殊なRAID状態にして高速化を図る「ISRT」や、それに近い機能を外部で実装するベイアクセサリ(SST-HDDBOOST)もあった。しかしISRTは動かせるチップセットが限られるしドライブを2台用意する必要がある。
一方このSSHDは単体のドライブで特に設定の必要がなく、環境を問わず普通のHDDとしてポンと付けられるのがメリット。ストレージが1台となる大半のノートPCにおいて、容量と速度を兼ね備える性能を持たせられるSSHDシリーズの存在は無視できず、目立たないながらもSSD黎明期からこのハイブリッドモデルはSeagateがリリースしている。
…で、これは初?の3.5インチモデル。デスクトップ用です。しかし3.5インチドライブを搭載可能なデスクトップPCってドライブが複数台搭載可能なものが多いのでノート用の2.5インチシリーズに比べると中途半端な存在。システムや一部アプリケーションをSSDに、残りをHDDに突っ込む2ドライブ構成をとっている人も少なくないだろう。
なんかこの前フリを冷静に書いていると存在意義が謎な気がしてくるが、とにかく現品を。
1TB 7200rpm 64MBキャッシュのHDDに8GBのMLCを組み合わせたモデル。見た目はごくごく普通の3.5インチHDD。
いやむしろHDDにしても1TBでプラッタが少ないせいか薄めで軽量な本体。
基盤も別に大きかったりはしない。外観からの判別はほぼ不可能。逆を言えば今までのHDDと全く同じ感覚で装着可能。
早速ベンチマークをとってみるが、あくまでベンチで出てくるのはHDDとしての性能+α程度。HDDとして見ると十分すぎるレベルで、WD Blackなどのハイパフォーマンスモデルにひけをとらない。
じゃあこの8GBのSSD部分は何に影響するのかというと、OSやアプリケーションの起動速度など。高速化処理はドライブ側が全てやってくれるので使用者は全く意識する必要は無い。むしろ普段の使用を繰り返して学習させるのが吉。実はその関係でベンチ取得をするたびにスコアが変わる事もあるとか。ちなみに私の場合2回目は下がった(オイ
やはり一番わかり易いのはPCの起動速度。最初は他のHDDと大差ないが、何度か使っていると眼に見えて起動速度が速くなるのだ。
何日か使用した状態での起動速度はWindows7デスクトップ画面まで32秒。うち12秒がOS起動前のUEFIなので、OS自体は20秒で起動している計算になる。またデスクトップ画面になった後の細かい常駐ソフトやガジェットの起動時の挙動も、SSDのそれに近くパパっと出てくる。
以前同じPCにHGSTの1TBプラッタHDDを搭載した時は50秒ほど(但し若干PC構成が違うので参考)だったので、通常のHDDと比較すれば高速化の効果は確実にあると言う事だろう。
システム以外にも起動に時間のかかるゲームソフトでも効果は大きい。ロードに時間がかかるソフトは大抵データ量も多く、小容量SSDにはいれにくく、OSと混在させるには難しいのだが、コイツは1TBなのでその辺は考える必要がない。
そして同じゲームを何度もやっていると最適化がされるようで、TERAなんかは何回か起動・プレイを繰り返した状態で、クライアント起動→キャラクター選択までの時間が36秒、マップロード時間は9秒だ。
TERAのバージョン等が異なるのでやはり純粋な比較ではないのだが、システムとは別に搭載したWD Black4TB&HGST 1TBプラッタモデルがそれぞれクライアント起動に52秒、マップロードに14秒という計測結果だったので、所要時間は2/3になっている。これはプレイ中の体感に明らかに効果があり、ゲーム中の細かいロード何かも更にアップしている。恐らく複数回読み込む細かいファイルを中心にキャッシュしていると思われる。
しかもTERAはOSと同じ物理ドライブに入れると起動時間がさらに延びる傾向があったのだが、そのOS兼用状態でこのロード速度をたたきだすSSHDは侮れない。
参考:WD Black 4TBのゲーム起動速度レビュー
面白いのがローディングバーの挙動で、純粋に力押しで速いSAS HDD RAID環境ではゲージがグィィィンと一気に進んだのが、SSHDはローディングバーの一部がスキップされるような感じで進んでいく。恐らくそこがキャッシュの効いているデータなのだろう。
参考:高回転なSAS RAID環境 さすがにTERAのロードはコチラが速い 但し爆音。
WD BlackやHGSTの1TBプラッタ機でさえHDDとしてはかなりの速度で、従来のHDDに比べるとロード時間は短くなっていたのだからこれは大きい。もちろん純粋にSSDにクライアントをいれたのならまた話は変わるだろうが、容量の大きさを気にせず気楽にガンガンクライアントをインストールできる高速ドライブとして自然に使える。
※ゲームソフトの起動時間については、後日条件を揃えて他HDDとの比較を行いたいと思っているので、もしかしたら追記、気合があれば動画でやるかもしれません。
また、ADSLの低速回線でファイルを長時間ダウンロードしていた時、当然ファイルは低速での書き込みが続いている筈なのに、HDDはほとんど音がしない。恐らくSSD側で間に合う書き込み速度と量でSSD側で全て完結し、HDD側はほぼ休止状態だったようだ。考えていた以上に凝った動きをしてくれているようだが、使う側は全くそんな事を意識しないでいい。
また最後に触れておきたいのが消費電力。SSDキャッシュ構造による消費電力増加は恐らく無視できるレベルのようで、他社の1TBモデルと大差ない。同じ構造を使っている2.5インチモデルも、従来のHDDと全く同じように使えるだろう。
普通のHDDに比べたら割高ではあるのだが、その差額でCPUのランクを上げるより体感速度への影響は期待できるはずだ。
実はこの現品、とっぷりんさんから譲っていただいたものでありがてぇありがてぇ。あちらでは同型を、ドライブが1台しか搭載できないメーカー製PCのパワーアップに使う予定だという。
大容量SSDやSSD+HDDのデュアルドライブ構成を買うほどではない、だけど小容量SSDだと容量が心もとないor容量管理が面倒、そしてとっぷりんさんのPCのようにドライブ搭載数が限られる場合等、意外と活躍できる部分は多い。使用感はまさに「速い1TBHDD」で余計なソフトも設定も不要。いっそのことデータドライブとして使うのもアリだ。
PCに詳しくない人でも意識せず、残り容量も安心して使えるという意味では、一見マニアックな存在ながらライトユーザー向けでもあるのではないだろうか。
もっとSeagateはこの製品の強みをアピールしてもいいと思うのだが、ベンチマークでは単なるHDD程度の数値が出る事を考えるとアピールしにくい製品なのかもしれない。
あとやっぱり2.5インチ版に比べて3.5インチ版はニッチすぎるよね!!
ドライブの性格上使っている間にまた面白い事が判るかもしれないので、その場合は適宜追加予定。
尚これを書いている途中にWDからBlack2という2.5インチHDD+120GBSSDというドライブが登場したのだが、そちらは本製品と異なりSSDとHDDが別個に動作すると言う事なので、ハイブリッドというよりは「一つのドライブのスペースにHDDとSSDをまとめて搭載した」製品ともいえそうだ。どちらにせよ試してみたいアイテムの一つ。
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購入金額
0円
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購入日
2013年11月28日
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購入場所
とっぷりんさん
2013/12/10
おいらも速くれびゅーしなくては…。
(うちはVISTAですがw)
下小川さん
2013/12/10
OSやその他ハードウェアに依存しないというのも強みの一つなので、メーカー製PCのリプレースにはなかなか威力を発揮してくれそうですよ~