この製品は普及型のMMカートリッジ、500シリーズのローエンドモデルで、オルトフォンとしてもかなり格安な製品でした。確か当時の希望小売価格は14,800円程度ではなかったかと思います。
この製品以前のオルトフォンは、単純なMM型ではなく、VMSと呼ばれる構造の製品をシリーズ化していて、それらの製品が販売を完了した後に発売されたのがこのシリーズでした。500シリーズには520/530/540という製品があり、ボディー部分は共通でしたが針先の形状が異なっていて、価格も大きく差がつけられていました。シリーズ最上位の540では針先にカッターヘッドとの相似形状が売り文句となっていた「フリッツ・ガイガー TypeII」が採用され、価格もほぼ2倍の29,800円だったと記憶しています。520はごく普通の楕円針です。
ちなみに当時は厳密にはさらに下位の300シリーズが存在していて、こちらは1万円以下から展開されていたお買い得モデルでした。300シリーズは「T4P」と呼ばれる共通取り付け規格に準拠していて、対応プレイヤーでは調整無しに取り付けるだけで使うことができました。付属の変換アダプターを利用して通常のアームに取り付けることもでき、私も使ったことがあります。
500シリーズも300シリーズと極めて近い構造ではありましたが、こちらは通常のアームへの取り付けが前提となっていて、300シリーズに変換アダプターを装着した状態のようなボディーを採用していました。
実は300シリーズの中位モデル、310Uが思ったよりも良かったので520を買ってみたのですが、300シリーズの透明感が感じられない音質とは異なり、520は比較的スッキリとして高域方向の抜けが随分良くなっていました。針先はそれほど良いものではなかったようで、ヴォーカルのサ行の濁りなどはありましたが、バランスの良い音で使いやすい製品という印象です。
なお、後にマイナーチェンジを受け520IIという製品が発売されていましたが、針のカバー部に書かれている型番の印刷以外に違いがわかりません。
当時は1万円前後でも色々と面白いカートリッジは手に入れることが出来たのですが、今となってはこの価格帯であればそれだけで素晴らしいコストパフォーマンスと賞賛されている水準の出来です。間違いなくお買い得な製品の一つといえるでしょう。
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購入金額
0円
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購入日
不明
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購入場所
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