New York Voicesは1980年代後半から現在も続くジャズ~フュージョンコーラスグループ。
コーラスグループの場合、最近富にブラック系の薫りが入っている場合も多いが、彼らはあまりそれを感じさせない、洗練されたハーモニー。粘るリズムやうねるハーモニーと言ったゴスペル調の訴えではなく、インテリ的な仕上がり。このときのメンツはリーダーでテノール兼サックスのDarmon Meader、バリトン兼キーボードのPeter Eldridge、リードソプラノKim Nazarian、セカンドソプラノCaprice FoxにアルトのSara Kriegerの5人組。今はCapriceとSaraが抜け、アルト担当がLauren Kinhanに替わり4人構成となっているが、この時期は5人ならではの厚いコーラスが聴ける。
“Hearts of Fire”は、すでに四半世紀を超える活動暦ながら、7作しかオリジナルアルバムを残していない寡作な彼らの2ndアルバム。1991年の作だが、当時所属していたgrpレコードならではの華やかな仕上がり。曲としてはフュージョンからジャズ、ソウルと広く散らされているが、曲調の違いを声のパワーが覆い隠しており、あまりとっ散らかった感じはしない。
「That's The Way Of The World」はEW&F
がオリジナルのソウルナンバー。打ち込みながらハイハットの細かい刻みで引っ張るドラムと前のめりのベースパターンでグイグイ前に行く。日本人では到底このリズム感は出せないが、黒人とも違うスピーディさ。ラストのKimの超音波wフェイクがスゴイ!
「Giant Steps」は一転、John Coltraneの名曲。これにKimとPeterが詞を書いたもの。ヴォイスベースと4ビートでリードするドラムで始まり、Art Blakeyのグループにいた名手、故Mulgrew Millerがキレたピアノを聴かせるスリリングな仕上がり。Coltraneのアドリブを模したDarmonのスキャットソロと、Mulgrewのピアノソロは圧巻。
Stevie Wonderがオリジナルの「Too High」は、シンセベースのモジュレーションがグルーヴィ。このアルバム全体的に女声が優位にある曲はソウル調になっているが、これは意図したことか、持ち味か。ミュートトランペットのような音色のDarmonのEWIが味がある。
他にもOliver NelsonやDuke Ellingtonの手になるジャズスタンダードと彼らのオリジナルがバランスよくちりばめられてとてもゴージャス。粋、というのはこういうのを言うのだろう、と感じさせる仕上がりです。【収録曲】
1. That's The Way Of The World
2. Giant Steps
3. Too High
4. Now That The Love Is Over
5. Stolen Moments
6. Sign Of Spring
7. Sweet Delay
8. Sassy Samba
9. Cotton Tail
10. Soon One Day
「That's The Way Of The World」
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購入金額
2,500円
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購入日
1991年頃
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購入場所
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