JAZZ EXPRESS。以前The Rolling Stonesを取り上げた盤
を紹介したが、海外有名ミュージシャンに万人受けするスタンダードを演らせて売っちまおう、というコンセプトのアルバムのために?集められたバンド。ストーンズのころからメンツは変わり、キーボードはNeil Larsen、フルートとサックスはMicheal Pauloのままだが、ドラムスがHarvey Mason、ベースがNathan Eastという布陣になった。フュージョンテイストの濃いAORをやったLARSEN|FEITEN BAND
を中心とした前回のラインアップに比べると、その片割れ、ロックな方向に引っ張っていたBuzzyが欠けている。
今回取り上げたのはQueen。伝説の...ではあるが現役のバンドでもある。元々ヴォーカルFreddie Mercury、ギターBrian May、ドラムスRoger Taylor、ベースJohn Deaconの4人によるブリティッシュロックバンドで、まだデジタルダビングなどない時代にコーラスの多重録音とギターのオーバーダビングでギターオーケストレーションとも言われる当時のロックにしては厚い音の音作りと、傑出した声のパワーを持つFreddieのヴォーカルによって名声を博した。現在Freddieが死去、Johnが引退と、残るはBrianとRogerのみだが、新メンバーを迎えいれるでなく、ふたりでQueenを名乗り、活動時には「Queen+××(××はゲストヴォーカリストの名)」 の名称を使用する。活動のピークは1970年代から1980年代の初期で、数々のヒットを飛ばした。そのあと若干の停滞を経て1991年最後の作品を出した直後にFreddieがHIVの合併症で死去。その後も残存メンバーがゲストヴォーカリストを加えて活動をしているが、さすがにかつての輝きはない。
本作は日本でも人気が高かったQueenの曲を凄腕フュージョン系ミュージシャンが演奏したインストアルバム。曲としてはFreddie存命時の有名どころが並ぶが、3rdアルバム“Sheer Heart Attack”からFreddie存命時のラストアルバム“Innuendo”まで、曲の作者もFreddie中心とはなるが他の3人の作品も広く収められた。
しかしその分やや統一感に欠けた仕上がりだ。
初っ端の「Bohemian Rhapsody」は元曲はFreddieの美しい声とピアノ中心に盛り上げるロッカバラードである前半~BrianのRed Special(Brianのハンドメイドギター)が唸る中間部~メンバーのオペラ調のコーラスでシンフォニックな展開部~ロックバラードに戻って終焉、とドラマチックな構成の組曲風のものだが...う~んカ・ル・イorz。Nathan+Harveyの跳ねるリズムにMichealの流れるサックス、Neilのエレピ風音のジャジィに崩したソロ、とかっこいい...かっこいいんだけど..ね。あのドラマチックさはかけらもなく(展開部などは省略されているし)エネルギーを感じないんだよね。
「Killer Queen」もシンドラなどを使ってカルイアレンジだが「Bohemian Rhapsody」ほどの違和感はない。ただ、ギターレスって言うのが致命的で、シンセソロに置き換えられているが、元曲のダビングによって重ねられたギターのガツンとした濃い味はない。音色としては悪くないんだけれど、あまり加工されていないRed Specialのダビングによるひとりオーケストラの存在感にはかなわない。
「I Want To Break Free」はソコソコのできだが、元曲自体がJohnの曲でややポップで正統派の曲のつくり、インスト化してもあまり破綻がないものだから。元曲より遙かにハネたリズムにギター風サウンドでメロディがとられる。ただこの曲は女装したメンバーによるキョーレツなQueenのPVを知っているので眉毛のこゆいFreddieメイドの印象を覆すほどではないけど。
良く聴くとサスガのメンツで結構キラリと光るプレイやフレーズが各所にあるンだけど、QueenにはFreddieの声の存在感と唯一無二なRed Specialの音の説得力にはアクとコクがあって、それが渾然一体になって良質なスープになっていた。それがないこの作品は耳に心地よいBGMに過ぎない感じもあって...
JAZZ EXPRESSとしてはQueenを手がけるにはBuzzyが欠けたのがキツかった、と思います。【収録曲】
1. Bohemian Rhapsody
2. Killer Queen
3. The Show Must Go On
4. Crazy Little Thing Called Love(愛という名の欲望)
5. I Want to Break Free(自由への旅立ち)
6. Radio Ga Ga
7. Under Pressure
8. We Are the Champions(伝説のチャンピオン)
iTunes 作品紹介ページ
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購入金額
2,800円
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購入日
1993年頃
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購入場所
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