所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。曲、あるいはアーティストの中には季節と結びついている曲/人があります。夏が過ぎ、風が涼しくなってくると聴きたくなる曲があります。そんな作品が収められているベストアルバムをご紹介します。
ふきのとう。1970~80年代に活躍した、山木康世と細坪基佳で構成されたフォークデュオ。時代は「ニューミュージック」と呼ばれる、フォークを基本としながらもポップでビート感が強い、ロックの風味が感じられる曲が大きな存在感を示してきていたが、彼らの基本はやはりフォーク。
決してビート感がある曲がないわけではなく、代表曲の「白い冬」や「春雷」はむしろバンドアレンジの激しい曲なのだが、作曲方法がたぶんギターであろうことが伺える、フォーキーなメロディラインとハーモニーを重視した楽曲が多い。
cybercatは中学時代から彼らを聴いているが、思い出したように聴くとすっぽりと胸に入ってくるような、歌が多い。
本作は4作編まれた彼らのベストアルバムの3枚目。
「柿の実色した水曜日」。山木の詞の世界が沁みる。♪覚えてるかな/逢った日の/空と山の色/柿の実色した水曜日/初めて君を見た/初めて恋をした・・・・・・♪「柿の実色」という一言で季節と情景を描き出し、それを「水曜日」という言葉につなげる独特の感性。歌詞には一切季節が触れられていないにもかかわらず、秋風吹く夕方の情景が浮かんでくる。通しで鳴らされるギターに加え、3/4拍子の2拍目、3拍目に入るリコーダーの音、マンドリンの尖った音、淡々としたブラシのドラムの音、深いピアノの音が寄り添う。秋の情景。
アルペジオ曲のお手本のような「やさしさとして想い出として」。ザ・フォークという感じのコーラスの付け方とセンチな歌詞が沁みる。♪知らないこととはいえ/短すぎた/ぼくが一年離れているうちに/あなたが/あなただけが/こんなに/変わるなんて♪ふきのとう中期の名曲だと思う。
「涙のらぶれたあ」は素直なフォーク系の曲が多かった彼らが、ニューミュージック系の洒落たアレンジに仕立てた曲(アレンジャーは彼らの後期を支えた石川鷹彦)。リバースサンプリングのような効果音を多用した、エレアコのアルペジオとストリングス、リズムマシンのような硬いリズムのAメロと、ガツンとエレキギターのリフが入るサビ導入部の対比が面白い。
「ひとりの冬なら来るな」はカントリー系フレーバーのフォークソング。ヴァイオリンのオブリのつけ方が懐かしい。この曲はCDに収められたのは3コーラスまでの曲だが、実はオリジナルは4コーラス構成。それが「ラジオで流すには長い」という理由で本来の2番が削られた。実際にコンサートで歌われるときは4コーラスで歌われたが、この失われた歌詞が山木のブログに書かれている。♪水飲みトイレでヨロリ/そのまま朝までゴロリ/何にも未練はないよ/あなたを忘れるよ/恨んでどうになる/恋の物語/届かない心を/悔やんでみるよ/眠れぬ夜なら来るな/わびしくなるから来るな/朝まで待つには長い/ひとりの夜なら来るな♪山木らしいいい詞だと思うんだけど。
ふきのとうには初夏を思わせるようなさわやかな曲も多いのだけど、やはり秋~冬が良く似合う。
聴くと懐かしさと郷愁の念が沸き起こる。
秋風吹くと聴きたくなる、そんなグループです。
【収録曲】
1. 柿の実色した水曜日
2. 青空
3. やさしさとして想い出として
4. Simple Song
5. 冬銀河
6. 成人式
7. メロディー
8. 静寂(しじま)
9. 涙のらぶれたあ
10. LOVE SONG
11. ひとりの冬なら来るな
12. 吹き過ぎる風ばかり
「やさしさとして想い出として」
フォーク色がまだ強い時期のふきのとうは落ち着ける
このころが一番ふきのとうらしいかなぁ...(自分が好きなのはもう少し前の曲だけど)
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購入金額
3,200円
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購入日
1991年頃
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購入場所
退会したユーザーさん
2013/09/05
初期のころのはよく知ってまつ(・・b
cybercatさん
2013/09/05
初期、というと「白い冬」ですか?w
退会したユーザーさん
2013/09/05
シングル「レコード」がどこかにあるはず(www
cybercatさん
2013/09/05
うちもドーナツ盤でいくつか持ってますww