レビューメディア「ジグソー」

CDとアナログの狭間で

これは所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメントです。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な想いです。今はUSBメモリや配信と言った音楽ソースを届ける他の方法が確立されたため、既に「CD販売」というのは音楽を売る、という商売においては「古典的な」手法です。ただ、CD=コンパクトディスクが世に出てきてから30年しか経っていません。現在も高品位配信があるのはすべての楽曲ではないように、当時アナログディスク(レコード)がメインだった市場において「CDを売る」というのは、かなりパワーが要ることでした。その時代変遷の狭間でレア盤となってしまっている作品をご紹介します。

NANIWA EXPRESS(浪花エキスプレス)。1980年前後隆盛を極めたフュージョンの西の雄。関西を中心として活動した彼等は、CASIOPEA

よりもエネルギッシュで、T(HE)-SQUARE

よりもジャズテイストが強く、スマートで頭脳派な東の両グループと比べて異彩を放っていた。

やや通好み?という立ち位置が不利に働いたのか、まだCDがアナログレコードより高い時代(アナログレコードが2800円程度に対して3500~3800円)、2ndはCDの発売があったが

続く3rdは発売されなかった。4th以降はCDの製造原価も下がり、流通量も増えたのでアナログとCDが同時発売されることの方が多くなったし、5th

に至ってはCDの方が曲数が多い豪華盤。アナログと同時発売ではなかったが、彼等の代表曲「BELIEVIN'」や「高野サンバ」が入っている1stがあとからCDが追加されたので、割りを食ったのがこの3rd。実はセールス的には一番売れた作品らしくナゼCD化されないのか、いやきっとそのうちされるだろう...と待つことしばし...CD化される以前に解散してしまったorz

解散記念?CDリリースがあるほどにはメジャーでなかったので、3rdのみアナログのまま。cybercatとしても会社に入ってアパートが手狭になって、アナログプレイヤーを処分していたので、この3rdは唯一「(ダビングしておいた)カセットテープでしか聴けない」作品となっていた。

それが解散後10年以上も経ってから、CDリリースされた。それも当時所属していたCBS/SONY(ソニー)ではなく、子会社のVillage Recordsから。ソニーとしてはT-SQUAREの所属するVillage Recordsをフュージョンミュージックレーベルに育て上げよう、という事だったのかも知れないが、所属するめぼしいフュージョン系アーティストがT-SQUAREのみでプライベートレーベルの様相を呈していたのと、21世紀になってから出たBOXセット

がまたソニー直売だったので、なんかこの盤(と同時発売のベスト盤など)だけ変な感じ。

その後本盤は廃盤になり、前述のBOXセットに含まれるもの以外単発の再発はないので、またしてもレア盤に。

「JASMIN」。ファンの間でも、彼らの1stに収められていた代表曲「BELIEVIN'」と並んで人気の高い曲。エレピ調の音の速いイントロに中村建治の浮遊感のあるシンセの効果音がかぶさり、怪獣(東原力哉)のタムがドカドカ入ってきて、清水興のスラップベースのパターンと絡み合いながら複雑なリズムを形成していく。ダブリングしたカズボン(岩見和彦)の物悲しくもキャッチーなメロディと、このころにはすでにサックスより比重が高くなってきた青柳誠のローズソロが魅せる。さわやか系のフュージョンミュージック界においてこういったどマイナー(短調)の曲が支持される、というのが彼らの面白い立ち位置だ。

「MANHATTAN EXPRESS」は♪トトン、トトン♪とサンバ調のバスドラムが刻むハイスピードチューン。普通なら二つ打ちの速さだが、怪獣は「ワシは(バスドラの)二つ打ちはやらん!」と断言していたので、きっとシングル。めちゃ速いんですけどww

「SHOCK LAND」は1stのころから続く、おどろしげで符割も複雑で、怪獣の変態パターンにアグレッシヴなラインのギターやサックスが乗って弾きまくるという風情の曲。途中4ビートっぽい展開もあったり、シンセの効果音も入ったりして、前衛ジャズっぽくもある。このあたりのテイストの「フュージョングループ」って他になかった。1st、2ndに比べるとリズムは野獣だが、展開は都会っぽい。

曲調としては1stの衝撃、怒涛の2ndというエネルギーの塊のような初期のプレイとCOOLで都会的な4th、大御所日野皓正のコルネットが吠えるキャッチーな5thといった構成や編曲のレベルが上がった後期のちょうど良いクロスポイントで、飼いならされていない野性的なプレイが楽しめる名盤。結局アルバムリリース時には一番売れた、という本作はアナログ⇒CDの変遷の時代のワリを食って1度CD化された後は再発はない。現在もソニーオーダーメイドファクトリーで彼らのアルバム中トップで2ndステージまで進むも再発ラインはまだ越えず。
左下に見慣れぬVillage Recordsのロゴが入るスリムタイプジャケットだった。
左下に見慣れぬVillage Recordsのロゴが入るスリムタイプジャケットだった。
今はmoraで高音質と言われるAAC-LC 320kbpsでの配信(前述のBOXの内容の1つとして配信)もあるので、それでいいという向きは多いでしょうが、一時期10倍以上のプレミアがついていたというこのレア盤を持っていながらBlu-specCDでの復刻があるといいなぁと思ってしまうねこはやっぱり「モノ」好き?ww

【収録曲】
1. JASMIN
2. MANHATTAN EXPRESS
3. FAR AWAY
4. SHOCK LAND
5. MIL'MAMA
6. BACK LASH
7. SEVEN TASTE CIGAR
8. OLINO
9. MISSING MOMENTS

「MIL'MAMA」

  • 購入金額

    1,700円

  • 購入日

    1998年頃

  • 購入場所

18人がこのレビューをCOOLしました!

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