レビューメディア「ジグソー」

和製George Winston?

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。ピアノという楽器は不思議な楽器です。やさしい音、激しい音、哀しい音、愉しい音....現在の呼び名の元となった名称=“Gravicembalo col piano e forte(音の強弱をつけられるチェンバロ)”の通り、やさしい小さな音(piano)から力強い音(forte)まで幅広い表現力を持った楽器...そんな楽器を奏でる音楽家の作品をご紹介します。

ピアニスト村松健。ジャンルとしては分類不能。デビューはバンド構成のフュージョンピアノ、その後日本的な旋律をピアノと少数のアコースティックな楽器で奏でる音楽に。そのあとオンな録音のちょっとクラシカルな旋律を持つ作品に。再びニューエイジ系のソロピアノに戻った後は、旋律がややはっきりとしないヒーリング系に。そのあとは幻想的なピアノソロと三線と響きあう情感豊かなアジアンヒーリングとを両立しながら活動している。

本作はソロピアノ集。ニューエイジ系の色が濃かった時代の作品で、当時「George Winston」のよう、と呼ばれたこともある。

プレイ的にはダンパーを踏んで音を切れ目なく伸ばし、流れるように響きあう音に包まれるような録り方。

「夢の扉」は18分超の大曲。4楽章に分かれていて、Ⅰはダンパーをいっぱいに踏んで、何かが始まるような予感を感じさせる響きをつなげている。Ⅱの村松らしいロマンチックな展開が美しい。途中にやや厳しい和音を挟んでアクセントをつけながら、最後の盛り上がりは軽やか。Ⅲは拍もスピードも一定でないフリースタイルで不安定な「転」。Ⅳはまたロマンチックな旋律に戻り、強いタッチで迫る。どことなく日本的なイメージの旋律が混ぜられるのが彼らしい。

「春の野を行く」は彼の代表曲のひとつで何度も再演再録されている曲だが、このアルバムのバージョンではダンパーを踏んで響きを広げ、少しゆっくり目にプレイ。中間の左手の分散和音が他のバージョンに比べるとやさしいタッチ。

「MY BELLS~突然の告白~」は唯一の?リズミカルな曲。初期を髣髴とさせるライトフュージョンタッチで流れるような演奏。ただ速い曲なので少し残響が邪魔。もう少しダンパー踏まずにはっきりくっきりの方が良いような気がするけれども。

ピアノの残響・響きを大切にした作品。そのやさしい響きが聴く人をやさしく包む。ただ、ちょっとそれに埋もれてしまった感がある。バックに流すには心地よいけれど、ガッツリ聴きたい向きには薄幕がかかったような....

楽器の音をリアルに聴きたい猫にとってはそこがちょっと不満なポイントです。
ジャケットも癒し系?
ジャケットも癒し系?
【収録曲】
1. 夢の扉:
 Ⅰ)夢の扉を開けるとき
 Ⅱ)神様の秘めごと
 Ⅲ)ラビリンス
 Ⅳ)心の鐘が鳴る
2. MAY SONG~風光る時~
3. 夢で逢った人
4. 春の野を行く
5. ~like a sleeping flower~
6. 森のピアノ~Voice in the wood~
7. MY BELLS~突然の告白~
8. そぼ降る夕べ

「春の野を行く」(夢の扉 ver.)

  • 購入金額

    2,800円

  • 購入日

    1994年頃

  • 購入場所

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