クリヤ・マコト。以前から何度かご紹介している鬼才。ジャズやゴスペルといった黒人系の音楽を基調としながらも、J-POPなど幅広いジャンルのアーティストへの楽曲提供や映画音楽、CMや商品プロモーションタイアップ楽曲
などでも活躍する。
そんな彼がアニメなどのサブカルチャーが今後の日本を表すものになる、と感じるようになったのは新世紀エヴァンゲリオンの音楽担当になり、その曲を外国で演奏したりしたときの反応だという。彼のHPに詳しいが、ナイル川のクルーズで自身のエヴァの音楽を聴いて驚き、ジャカルタでエヴァを弾いて大歓声を得たとか、パリで会った南米チリ出身の少年がエヴァを識っていたとか...
本作はそんな彼の2枚目のアニソンアルバム。以前ご紹介したTV番組主題歌集
はアトムのようなアニメソングのほかに、11PMなどアニメ以外もあったが本作は「フル」アニソンアルバム。1枚目のフルアニソンアルバム“ANTITHESIS”はエヴァ直後のものであり、ジャズミュージシャンがアニソンを手がける、というのは冒険だった。その後環境が整い、ジャズアレンジのアニソンは広く流通している。
本作はアニソンを「ジャズ化する」ことにこだわるのではなく、曲によってはジャズフレーバーのJ-POPという程度のジャジィさだが、肩の力が抜けた作品となっている。
「いつも何度でも」は宮崎アニメの不思議なノスタルジーと異国情緒のただよう映画「千と千尋の神隠し」から。以前ご紹介した打ち込みのジャズ風アレンジのアルバム
にも収められていたが、クリヤのジャジィなピアノはもちろん、弦とフレットのアタリがバシバシ聞こえるウッドベースを加藤登紀子のサポートやヴァイオリンの中西俊博
との活動で識られる早川哲也が、ブラシ主体の表現力豊かなドラムスをロックから演歌まで好き嫌いなく残さず食べるw‘わか’こと村上広樹が担当し、とても表情豊かなインスト。
「創聖のアクエリオン」はジャズボーカリスト紗理をフィーチャリングした曲。ジャジィなコード展開、紗理の軽やかな声が心地よい。ただ元曲の行進曲風?wの元気良さ(時にサビの部分)は払拭し切れていなくて、ジャズ風アレンジJ-POPという風情だがとても聴きやすい.....と!思っていたら!!ナンデスかあの間奏部分のテンションとタッチの強いローズソロわっっっ!!サンプリングではなく、まごう事なきローズの音がレスリー風の音像処理で頭の中を駆け回る。
「空色デイズ」はジャズアレンジガールズブラバン、東京ブラススタイルでも取り上げられた「天元突破グレンラガン」の曲。ここでもクリヤ+早川+村上のトリオで、相変わらず指板にバシバシ当たっているランニングベースとリムショットを上手く使った4ビートでドライヴされるこのアレンジはジャズっぽい。でも途中のBメロ部分では変拍子風のシンコペーション進行。クリヤのオルガンのコロコロさもキモチイイ。
プログラミングなども一部使ってはいるんだけれど、やっぱり人のグルーヴって気持ちよい。
ジャズ度はさほどには高くないけれど、楽しい音楽。ジャズ好きの人もアニソン好きの人も両方受け入れることができそうな懐の深さが感じられます。あ、あとcybercat的には10年以上前、30人も入れば一杯になる生演奏が聴けるジャズバーでプレイしていたベーシスト、納浩一サンのプレイがまた聴けたのがうれしかったり。
【収録曲】
1. 魂のルフラン (新世紀エヴァンゲリオン)
2. いつも何度でも (千と千尋の神隠し)
3. 創聖のアクエリオン
4. ブルーウォーター (ふしぎの海のナディア)
5. 次回予告 (新世紀エヴァンゲリオン)
6. For フルーツバスケット
7. 空色デイズ (天元突破グレンラガン)
8. ライオン (マクロスフロンティア)
9. 風の谷のナウシカ
10. 2EM20_KK_A09_KURIYA (ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破)
11. God knows... (涼宮ハルヒの憂鬱)
「創聖のアクエリオン」
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購入金額
2,500円
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購入日
2013年04月25日
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購入場所
TOWER RECORDS
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