レビューメディア「ジグソー」

生で聴いたら良かった

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。CD、レコード、最近ではダウンロードデータ...アーティストがリスナーに音楽を届ける方法は多々あれど、ライヴやコンサートの生中継でもない限り、それは「静的」なものであって、生きた音楽ではない。いや生中継であっても、その会場にいるオーディエンスにとっては自らの反応がアーティストに影響し、アーティストのプレイでまた新たな刺激を受ける、というキャッチボールをしていますが、TVやモニター、ラジオ越しのリスナーは一方通行の音楽であり、一瞬前に「静的な」音楽になったものの写し絵を見ている(聴いている)に過ぎません。生で聞くことによって印象が好転した作品をご紹介します。
相変わらず美人だな。さすが「アジアで最も美しいサックス奏者」
相変わらず美人だな。さすが「アジアで最も美しいサックス奏者」
小林香織。以前“美人すぎるサキソフォニスト”シリーズで取り上げたフュージョン畑のサックス吹き。2005年のプロデビュー以降8年で8枚の作品を出し、特にアジア圏で絶対的な人気を誇る。デビュー当時はあまり技巧に走ることなく、明解なメロディとポジティヴなアレンジ、そしてタレント性のあるステージングで人気を博したが、前作“7th”からセルフプロデュースに移行、様々なフィールドで活躍するメンメン(津軽三味線奏者やガールズロックバンドなど)といろんな曲調の曲に挑戦したのに対して、今回はかなり絞っている。打ち込みバックに香織サンひとりのプレイ(もう既に香織、というよりは香織サンと呼びたくなるような立ち振る舞いw)。以前から何度か書いているけど、ジャズと打ち込みは合わない。基本、奏者達の押して引いての駆け引きや、タメや突っ込みで少しゆれ目のビートがグルーヴになる。ポップスやテクノの様に打ち込みならでは、の世界もあるれど、ジャズはそこから最も遠い分野。フュージョンであれば成り立つけれど、それでもかなりの力量(プレイもアレンジもソングライティングも)を要求される。

今回のアルバムを最初に聴いたとき、なかなか「入って」いけなかった。

しかし、生で聴いて少し印象が変わった。

先日このアルバムの曲のいくつかを生で聴く機会があった。と言ってもコンサートではない。大手レコード/CDショップである購入店の本店はときどきイベントとして購入者限定のミニライヴを催す。これは店にとっては関連商品の販促活動でもあり、アーティストにとってもプロモーションの機会。直前まで催されていた全国ツアーではCDとは異なり生のバックバンドと演奏したという本アルバム。ただ今回のミニライヴは彼女ひとりであったので、CDと同じように打ち込みのトラックをバックに彼女が演奏を行った。

出だしは「最もこのアルバムを象徴する曲」と紹介された「Time」。EXILEの曲を手がけるNOBU-Kがバックトラックメイク。粘る打ち込みのリズムの上で香織サンのサックスが流れる。CDでは温度が感じられなかったが、生は濃くてイイ感じ。

つづいて「Back Street」。喧噪や車のブレーキ音のシティーノイズから始まるこの曲は、彼女曰く「ワルそうな曲」。R&B系のアーティストのアルバムに入れられている曲のイメージ。ハネ切らないバスドラムのリズムと打ち鳴らされるハンドクラップのリズムによって繰り出されるR&Bの薫り。サックスもダブリングして低音を使ったややダーティな音色でプレイ。CDではちょっと彼女のキャラクターである流麗でキラキラしたプレイとのギャップがあってノリ切れなかったが、生で聴くと気迫コミでよいかな。

定番となっているカバーチューン、Minnie Ripertonの「Lovin’ You」とEarth, Wind & Fire(EWF)

「September」を挟んで(つか元々はアースの「September」でオシマイのハズだったんだけど)最後は「インストアライブで初の」というアンコールがかかり、「City Lights」。このアルバムのラストの曲だが、少し毛色が異なる。いつもの彼女らしい明るさ。16ビートの軽快なリズムに乗せて明解なメロディが流れる。「全く不意打ちで用意していなかった」という彼女が会場からの求めに応じて演奏した曲。

生で聴く前は「冷たい」印象を受けたが、会場の暖かい声援とシンクロして盛り上がる香織サンのプレイを聴くと結構グルーヴィ。彼女としては初セルフプロデュースで色々なゲストを呼んで、「小林香織の全部見せます」的なバラエティに富んだ作風となった前作に対して、「ひとりR&B」とアルバムコンセプトを定めて挑んだ作品。でも会場からのアンコールの求めが、このアルバム中最も異端の「City Lights」だった、ということからはファンはいつもの彼女を期待していたのかな。直前まで行われていたツアーの中で演奏されたという、本アルバムの楽曲のバンドバージョンも聴いて見たかったなぁ...

...と言うことでサイン入りになりました!(そ~ゆ~オチかい(^^ゞ
サインしていただきました(画像は加工しています)
サインしていただきました(画像は加工しています)
【収録曲】
<CD>
1. Prayer
2. Time
3. Dream Market
4. Gotta Go to School (Interlude)
5. Gotta Go to School
6. Solitude
7. Cats & Dog
8. Tears
9. Sultry Nights
10. Back Street
11. Lovin’ You
12. September
13. City Lights

<DVD>
1. Kira-Kira
2. Airflow
3. Shiny
4. Solar
5. PRECIOUS
該当アルバムiTunesプレビューページ
小林香織オフィシャルサイト
  • 購入金額

    3,600円

  • 購入日

    2013年03月13日

  • 購入場所

    山野楽器

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