“Tomb Raider”は、トレジャーハンター ララ・クラフトを主人公としたサバイバルアクションゲームのシリーズ作品である。初作は1997年に発表され、これまでに10タイトル以上が発売されている。
そんな伝統あるシリーズ名と同じタイトル名である本作は、2013年に発売され、シリーズの原点回帰、いわば“新生Tomb Raider”として位置付けられており、若き頃のララ・クラフトがトレジャーハンターとなるきっかけとなった初めてのサバイバルを描いた作品である。
以前から気になっていたタイトルだったので、Steamのセール期間中にダウンロード購入してみた。Tomb Raiderシリーズは1作目(1997年)、2作目(1998年)をプレーしたことがあり、高難易度なアクション、難解な謎解きに苦労しながらクリアした記憶から、サバイバルアクションゲームの名作という印象を持っていた。
Tomb Raiderシリーズをプレーするのは2作目以来、実に17年ぶりのことであったが、当時からは様々な点が変化しており、プレー感はかなり異なるものになっていた。
旧作は、アクションのタイミングがシビアで、ジャンプのタイミングを少しでも外せば落下死ということが頻繁にあったし、ステージ内を探索しまくって難解なパズル解きをするという非常にハードなゲームであった。しかし、本作では、タイミングを計らずとも軽快に操作できるように大幅に操作性が改善されており、謎解きにおいては、新たに導入された“インスティンクト”という機能を使うと攻略に役立つオブジェクトがハイライトで表示されるので、それをヒントにして迷うことなく進めていくことができた。難し過ぎず易し過ぎずという具合にうまく難易度を調整している。
インスティンクトを使うと攻略に役立つオブジェクトがハイライトされる
かつてのハードなゲームという印象は全くなく、全体的にカジュアルなゲームに変わってしまったものの、シリーズの特長ともいえる“ジャンプ、崖にしがみつく、よじ登る”といったアクションは健在。高低差のある立体的なステージが多く、断崖絶壁に跳び付きながらの移動など、高さで恐怖感を煽る手法はTomb Raiderシリーズの基本ともいえる演出だ。さらに足元が崩れる、落下する、滑り落ちるといった要素にムービーシーン、スローモーション演出を組み合わせて危機的なシーンを劇的に仕立てることでストーリーを盛り立てているあたりは演出の上手さを感じる。(スローモーション演出はCoDの影響を感じずにはいられないが…。)
落下シーンからパラシュート脱出
Tomb Raiderシリーズの魅力の1つといえば、遺跡調査を行い、古代文明の秘密を解き明かしていくストーリーにある。本作の舞台は、“日本の邪馬台国”がモチーフになっているのだが、歴史考証の酷さが目に付いてしまい、どうしてもストーリーに感情移入させられなかった。海外デベロッパーが日本の歴史アドベンチャーゲームを作るとこうなってしまうのかという感じで、悪い冗談としか思えない。このストーリー設定の荒さがシリーズ特有の魅力を奪ってしまっていて、ここは大きなマイナス点といわざるを得ない。
アクションゲームとしては佳作だが、Tomb Raiderに求めていた楽しさとは違った
旧作から抱いていた硬派なサバイバルアクションゲームからカジュアルなゲームへ変貌しており、これがTomb Raiderなのかと思ったが、これはこれで十分に楽しめたので、方向性としてはありといえるのだろう。ただ、謎解き要素が影を潜めたことで、途中で詰まることなくあまりにあっさりとクリアできてしまったことを思うと、Tomb Raiderに期待していた楽しさとは違うなというのが正直な感想である。様々な要素が高水準でまとまっており、アクションゲームとしては佳作といえるのだが、アサシンクリードなど他の同一ジャンルのゲームに勝っている点はと聞かれると、うまく答えられない。やはり旧作ファンとしては、20年近く続くタイトルである“Tomb Raider”には尖った部分があってほしいと思うし、うまく類似のゲームと差別化を図り、埋もれないように頑張ってもらいたい。
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購入金額
540円
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購入日
2015年11月28日
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購入場所
Steam
タコシーさん
2015/12/20
昔のTombRaiderはそのあたり動物を使ったり、架空キャラを出したり
人間vs人間というのが少なかったですね
確かに時代考証もいい加減ですが、”邪馬台国”って出ましたっけ?
難破船辺りからよくわからなかったですが....江戸時代だったか?
外国人もゲームをするのでパフォーマンスでサービス歴史公証だったのか...
昔のTRも時々やりますが、TRⅢ途中で詰まりました WIN10にしたので
ゲーム履歴が消えました...
yachさん
2015/12/20
コメントありがとうございます。
ゴア表現がきつめなシーンは結構ありますね。
ストーリーとしては、“邪馬台国”がメインテーマなんですよ。
ただ、江戸時代を思わせる要素も確かにあります。
歴史的背景は適当で、いろいろな時代が混ざり合っている感じです。
架空の歴史話を扱った方が中途半端にならずに済んだと思います。
その点は残念なところです。