FOUR of a KIND。凄腕ミュージシャンの集ったフュージョンユニット。メンバーはOrquesta De La Luz(オルケスタ・デ・ラ・ルス)でのパーカッシヴで情熱的なピアノで知られる塩谷哲、ビッグバンドからエレクトリックまでその卓越したテクニックでカバーする元T-SQUAREのハイパーサキソフォニスト本田雅人、THEATRE BROOK
のような泥臭いファンクから、大黒摩季やYUIのような女性ボーカルのバック、Robben Fordとの活動などあらゆる音楽シーンに首を突っこんでいる「日本で一番忙しいドラマー」沼澤尚、そして角松敏生
のプロデューサーとしての最大の功績?とも言われる角松バンド出身のベースの職人、青木智仁。
1枚目はそんな彼等の力が、主張が、音楽性がぶつかり合った混沌とした魅力に溢れていた。
全員が40歳前後の脂ののりきった頃、テクニックと表現力に溢れ、息もつかせぬ作品だったが、「誰が作った曲か」が明確に判る状態で...つまりグループとしてのカラーはまだできていなかった。
その鮮烈な登場から2年後に届けられた2ndが本作。あきらかにバンドのカラーが出てきている。パッと聴き1stより地味。でもファンキーな路線からインプロビゼ-ション主体のジャズ、タイトなリズムとゴージャスなコードワーク..いろんなものを内包するこのバンドの熟成が見える。
出だしの「GET UP 'N GO」はCOOLな(熱くない)ファンキーフュージョン。このノリ、明らかにいわゆる「ジャパニーズフュージョン」じゃない。比較的デッドなリムショットと長く残るシンバルの残響で「近さ」を感じる録音。アタックがつぶれたパーカッシヴなエレピの音がCOOL。肌触りはDonald Fagen
の“The Nightfly”に近い、というと雰囲気が伝わるだろうか。
「LONG WRONG WAY」。これは4人のテクニックがぶつかり合ったハイパーテンションなチューン。ブリッブリの青木のスラップベースに塩谷のパーカッシヴで攻撃的な響きのピアノの和音がアクセントに入る。それに本田のサックスが絡む。ハイスピードに淡々と続くのでブリッジに3/4拍子が挟まれたのが、さらっと流されてしまうほどの沼澤のステディさ。超絶テクで魅せるサックスとピアノのソロのバックは、オールキメという様な複雑でタイトなリズムを構成するリズム隊の二人の職人芸!テクニシャン揃いのFOUR of a KINDの面目躍如!
「KEEP THE FAITH」。細切れのフレーズを複数のラッパで吹いているのが複合され、ひとつのラインを形作っているようなハッピーなブラスアレンジで始まる楽しい6/8拍子のジャズ。THE GADD GANG
のようなアメリカンな明るさ。Bメロの青木のベース和音弾きのラインはおもしろい。
1stに比べてパッと聴きインパクトは小さい。プレイもオレがオレがではなくて曲優先。それは長いリハーサルをかけて創られたという本作は、きっと曲の持ち寄りであったであろう1stに比べて、各人のプレイを把握した上で、「このバンドのために」書いた曲が多かったからではないだろうか。聴けば聴くほど味が出る。聴き込めば聴き込むほど新たな発見がある。そんな作品。
まさに各メンバーの衝撃の出逢いだった1stからホップ⇒ステップとつないで次作へ爆発しそうなタメ、の状態。それがベーシスト青木サンの突然の死で絶たれたのが残念でならない。「もし」彼らに3rdアルバムを創る時間が許されていたなら....そんな詮無い事を想ってしまうできあがりです。
【収録曲】
1. GET UP 'N GO
2. DUBAI
3. LONG WRONG WAY
4. BOLERO
5. UPWARD MOBILITY
6. CHOUETTE
7. SUMMER SOFT
8. SLOW EMOTION
9. KEEP THE FAITH
10. JERASH
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購入金額
3,150円
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購入日
2004年頃
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購入場所
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