安達久美。ロックギタリスト。彼女の音楽はCDショップの分類では「フュージョン」のカテゴリーにある(し、置き所がないので自分もこのアルバムのzigsowでのカテゴリを「音楽 > CD > ジャズ > フュージョン」としたが)。しかし中身はヘヴィで熱いロック。単にボーカルレスのギター主体の作品、というだけ。
ドラムという様な見るからに体力使いそうな楽器であっても優秀な女性プレイヤーが出てきたが、
なぜだかギターという楽器、特にロック分野には女性プレイヤーがほとんどいなかった。いても「女性主体のバンドのギタリスト」としてであり、ギターの腕一本でロックギタリストとしてたてるような人材はなぜかいなかった。
しかし久美はそのプレイが高く評価され、スゴ腕ギタリストの集ったコンピレーションアルバム“TIME MACHINE”
でも招聘された。多くの他のロック系の女性ギタリストが「女性バンドの一員」と言う立場を超えられない中、彼女の場合はベテラン男性プレイヤーを束ねた自身のバンドで作品を発表もしている。
そのバンドが「安達久美 クラブパンゲア」。もともとT-SQUAREの元ドラマー、則竹裕之が久美のプレイに惚れ込んで声を掛けたのがきっかけらしい。脇を固めるのがNANIWA EXPのベーシスト清水興とT-SQUAREの現役キーボーディスト河野啓三。現在このバンドで3枚の作品を発表しているが、いずれもフュージョン系のトップバンドでならすスゴ腕野郎どもを束ねた、久美の熱いプレイが聴ける作品となっている。
「Delusion」はのっけからアメリカンなインストハードロック。途中にある展開部はちょっとカントリーっぽい味もある。moog
ほどの音の太さじゃないけれど、音色・奏法ともに懐かしい感じのシンセサイザーっぽさあふれる河野のソロがイイ感じ。久美のソロはテクニックをひけらかすソロではなく、ワウ等で表情をつけた感性豊かなモノ。
「Europe」はSantanaのいわゆる「哀愁のヨーロッパ」。誰しも?識る「あの」出だしの泣きの名曲。こういうベタな曲でも則竹のプレイは端正w途中にスローな16ビートを挟みながら4つ打ちに近いルードなハーフオープンハイハットのリズムもすべてオンビート。ラストの徐々にヒートアップして加速していくところは清水のベースが歌う歌う。
久美の代表曲のひとつでもある「Winners!」はハイスピードなロック。途中のリズムブレイク部分での音場構成が河野の感性かな?後半になって久美と河野のソロも内容はロック!!カーレースをイメージしたというこの曲はソロの掛け合いが熱い!延々続く長いフィルイン、といった感じの則竹のソロもマシンガンのよう!女性ロックギタリストが「女性であること」が特別なことでなくなる時代。そんな時代は必ず来る、そう確信できる作品です。
【収録曲】
1. Delusion
2. Europe
3. All One
4. X-Wing Fighter
5. Peaceful Time
6. Catch Ball
7. Tribe Drive
8. Touch Me Gently
9. Winners!
(ライヴですが..)「Winners!」
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購入金額
2,625円
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購入日
2013年02月10日
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購入場所
TOWER RECORDS
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