巨大CDショップ...渋谷に建つ地下1階、地上8階までの上から下までビル丸ごとのCDショップ(いわゆる「売り場」は地上1~7階)。在庫数80万枚という音楽好きの猫には天国のような場所だが、なかなか行く機会がない。先日ここで催されたイベント
に参加したので、その後3時間以上そこに残り試聴機に入っているのを片っ端から聴いていた。その時購入したうちの一つ。
ヴァイオリン、という表現力豊かな楽器。オーケストラに溶けこみ、静かに和音を構成することもあれば、ソロで歌いかけることもある。特にソロ楽器としては使われる分野もクラシックは言うに及ばず、情熱的なタンゴやハードなプログレから癒やしのニューエイジまで。そして、ジャズ~フュージョン系でも。
そんなジャズヴァイオリンのアルバム。日本人ヴァイオリニスト、Sarina Suno。須能沙里奈という本名よりも「サリナ」という方が通りが良いか。“Introducing Sarina Suno”とデビューアルバムっぽいタイトルとはなっているが、実は彼女既にこれ以前に3枚のアルバムをリリースしている。
しかしどちらかと言えばその3作はエレキヴァイオリンを用いたダンス系の曲であり、ハウスやヒップホップのテイストを入れた↑↑(アゲアゲ)系の作品。cybercatのアンテナに引っかかることはなかった。そんな彼女が2007年にアメリカでジャズアルバムを出している。それが、これ。奇をてらうことなく情熱的なヴァイオリンで押している。そしてゲストプレイヤーが、ギターのMike SternとドラムスのDave Wecklというクロウト好きするテクニック派のプレイヤー。アメリカンでスリリングな華やかなジャズとなっている。
「Alabamy Bound」。ちょっと中西俊博
のような明るさがある、カントリーフレーバーがある陽気なジャズ。ハイスピードなランニングベース、シンバル全体が鳴っているような音のリズムリード。中間部にはライヴのようなソロ回しがあり、最後のドラムソロが終わってテーマに戻るときには口笛を含んだヤンヤの喝采が聞こえるような気がするほどの愉しさに溢れた曲。
「Bernie's Tune」はDaveの怒濤のドラムに合わせ、他楽器のオールユニゾンで始まるスリリングな曲。曲に入ると8小節ごとにころころ曲の速さが変わるようなトリッキーな曲。スケールアウトしまくるギターソロに続いて、Sarinaのヴァイオリンソロ。速弾きを交え、こちらも限界に近い高音域を使って攻撃的なソロ。最後にテーマに戻ると、長いフィルイン、という感じのDaveのオンビートソロだが...う~みゅ、すごすぎる...
「Spain」はChick Coreaの名曲だが、このアレンジではたっぷり1コーラスもあるRodrigoのアランフェス協奏曲のもの悲しい旋律で始まり、あの有名なテーマに移行。そしてもはや体育会系のノリでの超高速ユニゾン!曲の屋台骨を支えるのはDaveの千手観音ドラムス!
他にもMikeの速弾き主体のジャジィなソロも聴かれ、結構いい仕上がり。テクニカルであっても曲はPOPで通りが良いし、とっつきやすい。なぜ5年前のCDが試聴機にかかっていたのかそれは不明。その後の新譜も途絶えているよう。あのとき、あのイベントに行かなければ彼女のことはきっと識らないまま。
こんな突然の出会いがあるから、やめられないんだよな。CDショップ巡り。
【収録曲】
1. Alabamy Bound
2. Bernie's Tune (featuring Dave Weckl)
3. Meditation
4. Misty
5. All of me
6. Spain (featuring Dave Weckl)
7. Sarina's Ballad (featuring Mike Stern)
8. It don't mean a thing (featuring Mike Stern)
The official website of the electric violin sensation Sarina Suno
iTunes該当アルバムページ
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購入金額
1,980円
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購入日
2013年02月10日
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購入場所
TOWER RECORDS
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