なかなか腰をすえて音楽が聴けないので(つかある程度の音量を出して聴ける時間に帰れない、というかw)普段はカスタムIEM
をメインに聴いているのだが、他にも数多く特色あるイヤホンを持っているので、音楽の志向や気分、周りの環境に合わせてとっかえひっかえ聴いている。
周りの環境が許すならば、音モレは激しいがオープンな音場とその開放感からは想像のつかないふくよかな重低音をもつ多関節インイヤーイヤホンA8
の他にない音色・音場を聴きたくなるし、ヴォーカルやサックスの濡れたプレイを聴きたければ、中域にゾクゾクするような色気のあるTITTA
が適している。上を省みなければ下をガシガシ出すトランスなイヤホン
あり~の、繊細な高音と明晰な中域を聴かせるアコースティックがおいしいイヤホン
あり~の...と、「音」という一次軸で評価できないものを耳に届けるデバイスは美味しいところがそれぞれ違う。
まあ、内容の「濃さ」としては圧倒的にカスタムIEMで、その解像度といい、情報量といい、他の追随は許さないのだが、cybercatの耳道がやや下向きであるからか、特に乾燥する季節は緩衝材を使わないカスタムIEMでは耳との密着性がやや悪く、低音がカットされる傾向にある。一方シリコンなどのイヤーチップを介する一般的なイヤホンはそれが“充填材”となるため耳の穴との密着性は悪くなく、カスタムIEMよりもむしろ低音が出ていたりする。カスタムIEMの表現力で低域がしっかりと出てはいるがブーミーではない、というのが理想ではあるのだが、なかなかそんなおいしい話は転がっていない。
そんななか「ユニバーサル」IEMとでもいえるイヤーモニターを提供しているSHUREより、低音重視のチューニングを受けた機種が発売されたということでイヤホンの東の聖地、e-イヤホン 秋葉原店で試聴、良かったので購入したのが本機。
1万円でおつりが来る、この沼のとば口に過ぎない(SHUREでは「エントリーモデル(HP記載より)」となる)シングルドライバーのイヤホンはベストセラー機「SE215」の「Special Edition」、「SE215SPE-A」。
ノーマルとの違いとしては、ドライバーは(おそらく)同じ「強化された低域を~再現するダイナミック型ドライバー」を搭載するも、「新しいチューニングを施したアコースティックネットワークが、より厚みのある低域を実現」ということで、より低音重視の設計となっている。実際周波数特性もノーマルの22 Hz~17.5 KHzに対して、21 Hz~17.5 KHzとわずかながら下に伸びている(感度とインピーダンスは同等)。
機能的な点の差としてはケーブルが162 cmから116 cmへと短くされ、ポケットに入れた本体へ接続する、というシチュエーションではより適した長さになった。
外見的にもノーマルのクリアーあるいはトランスルーセントブラック という無彩色系の装いから、さわやかなトランスルーセントブルーをまとう。
そのケーブルと本体との接合は金メッキ処理されたスナップ・ロック式のMMCXコネクターであり、交換も可能。絡み防止のスライダーがちょっと無骨だけれど、まぁ、及第点かな。
イヤチップ(SHUREではイヤパッドと呼ぶ)は3つの大きさで2種の素材が用意される。ウレタン製の「ソフト・フォーム・イヤパッド」とシリコン系の「ソフト・フレックス・イヤパッド」。後者も以前SHUREにあった「フレックス・イヤパッド」よりははるかに柔らかく耳の穴の形に対する追随性がよいのだが、ウレタンのフォーム系にはかなわない。以前、
フォーム系の遮音性のよさは実感していたので、今回もそちらを選択。サイズをSサイズに付け替えた...
が。これが「めちゃくちゃ硬い」。本当にチップが破損するかと思われるくらいの力で抜かなければ抜けないし、はめるときもチップが変形して元に戻らないのでは?と心配しなければならないような力で押し込む必要がある。
何とかはめ込み70時間のエージング後、試聴。・・・エージングは例によってP8
に繋いで箱の中に入れてドラム部屋に放置プレイw
低音重視チューニングというが、そこまでブーミーではなく、こもってもいない。また、シングルドライバーなので、晴れわたる高域、とまでは行かずに中域中心のサウンド。しかしシングルドライバーならではのまとまりと、ダイナミック型ならではのガッツがある音で、ポップスやAOR、ライトロックには最適。「ソフト・フォーム・イヤパッド」の密閉性とあいまって、イイカンジの没入感が獲られる。アイドル曲やアニソンみたいにビートが効いているものも、エネルギー感とスピード感があって、楽しい音。
10,000円というと、「音が出ればよい」レベルではなくて、「プラスα」が必要な領域。このイヤホンは交換できる(別売りもある)イヤーチップと汎用性のあるコネクタでリケーブルの楽しみも残しながら、スタイリッシュなクールなカラーと、短いケーブル長で、「外で聴く」ことを追求したイヤホン。カスタムIEMのような独特の「SHUREがけ(ケーブルを耳の上を通す)」が必要なので、その部分は慣れが必要だけれど、iPodやWalkmanの標準添付イヤホンより「上」に挑みたいならば、ぜひぜひお勧めの機種。
まぁ、沼のほとりですがw
【仕様】
スピーカータイプ:シングルダイナミック型MicroDriver
感度:107 dB SPL/mW
インピーダンス:20 Ω
再生周波数帯域:21 Hz~17.5 KHz
ケーブル長:116 cm
色:トランスルーセントブルー
付属品:キャリングケース、ソフト・フォーム・イヤパッド (S/M/L)、ソフト・フレックス・イヤパッド (S/M/L)
オーディオなんちゃってマニア道
あまり上は澄んではいない。必要なだけはあるが、値段を考えるともう一声か。
高域には華がない。これが5000円なら十分合格点。ただ通常1万円クラスと考えると、もう少し上はホシイ。
スピード感のあるエネルギッシュな中音域で楽しい。
中域は聴き取りやすく明るい。スピード感も十分。音圧高めの録音の新しめの曲だとゴキゲン←死語
エネルギー感のあるガッツのある音。ブーミーではないのによく「出て」いる。
イヤーチップの効能もあるのか、しっかりと量もあり、反応も速い。モコモコとはしておらず、さりとてブーミーでもない。ガツンとくる。
広さよりも塊感、詳細表現より押し出し感を重視。
塊感がある音なので、ヘッドルームは広くない。各楽器を個別に描き出す、というよりはガツン、と塊で聴かせるタイプ。
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購入金額
8,980円
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購入日
2013年11月頃
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購入場所
harmankardonさん
2014/02/14
沼のほとりの散歩ですね.
cybercatさん
2014/02/14
supatinさん
2015/03/29
(*・ω・)*_ _)ペコリ
小口径のダイナミック型もきになります~
(*´ω`*)
cybercatさん
2015/03/29
シングルドライバーなのでまとまりも良いし。
ただ高域が澄んでいるアコースティック曲なんかはイマイチ。
ちょっと曲を選ぶけれどSHUREがけも経験できるので、安売りしていれば一つぜひどぞ。