DIMENSION。現在パーマネントで活動を続ける日本のフュージョングループとしてはT-SQUAREと並んで最高級の評価を受ける彼ら。音楽的な変遷は多少あったが、T-SQUAREがメンバーどころか構成も大きく変わりバンド形式とユニット形式とを行き来したのに比べて、「DIMENSION」とくくられる3人は20年にわたる活動歴で一度もメンバーチェンジしていない盤石さ。そんな彼らもデビュー当時はその時点での2大ジャパニーズフュージョングループ(T-SQUAREとCASIOPEA)の影響を受けずにはいられなかった。
1993年、といえば日本のフュージョンブームは終わった後の登場。T-SQUAREは当時まだ活発だったがデビュー当初からのフロントマンであったサックスの伊東たけしから本田雅人にメンバーチェンジされ、CASIOPEAは「黄金期」と言われる時期を終え、リズム隊が代わった直後。そんな状態のフュージョン界に現れたのが彼らDIMENSION。
メンバーはギターの増崎孝司にキーボード小野塚晃、サックスの勝田一樹の3人。つまりリズムユニットレス。リズム隊はその時々によって変わる(ある程度良く声が掛けられるメンツは固定化された形ではあるが)。一時期機械を使ったビート系やリズムが不明瞭なヒーリング系へ彼らの音楽志向が変遷したことがあるが、メンバーチェンジなく切り抜けているのはこの「上物3人組」というメンバー構成がなせる技なのかも知れない。
本作はそんな彼らの1st。メンバーはその時点でも凄腕スタジオミュージシャンとしてならしたメンツなので、演奏に危なげなどはない。でもまだCASIOPEAやT-SQUAREといった当時のビッグネームの影響は大きい。まだ独自のカラー、というのが出きっていない。
「Go Up Stream」。この上物3人組みのメジャーデビューアルバム1曲目は、増崎の特徴的なギターのカッティングと青木智仁(ベース)と渡嘉敷祐一(ドラムス)という盤石リズム隊の創り出すグルーヴに支えられて歌う勝田のサックスで幕を開ける。途中の小野塚のエレピソロもヴォイシングなどはあまりテンションバリバリでもなく、でもところどころに光る緊張感がある音を入れたフュージョン王道のもの。増崎のギターソロになるとCASIOPEAっぽい端正さ。
「After Fiver」。T-SQUAREの影響も感じられるコーラス入りでマイナーの旋律を持つメロディが明確な曲。もの悲しいサックスのメロが覚えやすい。ディストーションギターとシンセの掛け合いはもう少し長く、キレてもらいたかった不完全燃焼感。
「NOIZ」はまるでF1テーマの様な緊張感あるハードでヘヴィな曲。ヴァり歪んだギターで奏でられる明解なメロディ、一瞬のブレイクからリバースサンプリングのように「ぶわっ」と入ってくるバックに載せて素早いパッセージで駆け抜けるサックスソロ、ギターのライトハンド奏法を模したようなロックキーボードはとてもキャッチー。まだ、抜けていない。
ある曲はCASIOPEA、ある曲はT-SQUAREとどちらかに近い感じ。
次の“Second Dimension”からセルフプロデュースになり、よりバンドの方向性が固まった。
そういう意味では、本作は離陸前のタキシング、ジャンプ前のタメ、とも言える作品です。
【収録曲】
1. Go Up Stream
2. Take It Easy
3. Throw Back
4. After Fiver
5. Child Of Pirate
6. Night Voices
7. Ocean Express
8. Selfcontrol
9. NOIZ
10. Rainy
11. 薫風
「NOIZ」
DIMENSION OFFICIAL WEB SITE
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購入金額
3,059円
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購入日
2006年頃
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購入場所
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