グインサーガ(GUIN SAGA)。日本一、いや単一の著者によるものとしては世界一長い大河物語。SF、ヒロイックファンタジー、ホラー、神話、恋愛物語....様々なジャンルを内包しながら30年以上にわたり、正伝130巻を数えるまで続いたが、作者栗本薫女史の逝去によって未完に終わった。
壮大なスケール、張り巡らされた伏線、怪しげな魔道といった話の本筋、庶民の生活から文化まで隅々まで設計された世界観とともに、登場人物の魅力が物語を支えた。
このイメージアルバムはそんな大河物語が人気絶頂だった頃に企画された。特に初期のヒロイックファンタージー色が強い頃の企画で、以前ご紹介した-辺境編-
を含む3枚のイメージアルバムのあとに来た作品。先行3枚がいわゆるサントラ仕立てで、物語の筋に沿ってその時のイベントや情景にピッタリの曲が呈示されたのに対して、本作は登場人物に捧げられた曲。魅力的で多彩な曲が、同じテーマを繰り返す数小節のブリッジ曲を挟んで走馬燈のように巡り来る。
「ナリス、闇と炎の王子」。意外に明るいロックギターで始まる。リフを繰り返したあと明確なメロディーで、テーマが奏でられるが、10小節刻みであることと、Bメロに入るとテンションノートが増えることでこの人物の多面性、闇と炎を表しているのだろう。怜悧な貴公子でありながら他国に侵略されたときには解放軍を率いたり、アムブラの市井の学生たちとともに議論し、貧しくも有能な学生を引き上げたりしつつも弾圧を行ったり、幼少時から女性遍歴を重ねていながら自分の妻となるリンダに手を出さないなどこの人の複雑な性格を表現している。ただ後に拷問により足を切断されながら、国を憂い反逆の旗印となることを肯い、魔にとりつかれたイシュトヴァーンに攻められて体力を消耗し、若い命を散らすという後半生の暗さは、この曲にはまだない。
「アムネリス、復讐の女神」。そのナリスに謀られ、征服者の娘姫でありながら後に隣国の王の愛妾にまで墜ちたアムネリスのテーマは、叫ぶディストーションギター、唸るハモンドでヘヴィなスローシャッフルロックに仕立てられている。激しい彼女の気性を表してかハモンドソロは弾きまくり!
「イシュトヴァーンの夢」はブラスフュージョン。16ビートに二つ打ちで32分音符の装飾がつけられるハイハットから入り、ブラス⇒パーカッション⇒チョッパーベースと加わりながらテーマへ。まるでMALTA
の様な爽やかなラインのアルトサックスを吹くのはなんとあの土岐英史。後にゴーラの僭王となるイシュトの闇い後半生のイメージではなく、沿海州の陽気な酒場でバクチを打っている「紅の傭兵」のイメージか。物語とともに劇中人物も成長し、その後ここに収められた音楽とは必ずしも合わなくなっていったけれども、若き日の主要人物のテーマソングとしては懐かしい、作品です。
【収録曲】
1. 吟遊詩人マリウス
2. ナリス、闇と炎の王子
3. スカール、草原の狼
4. レムスのパッサカリア
5. アムネリス、復讐の女神
6. リンダ讃歌
7. イシュトヴァーンの夢
8. 豹頭王グイン
試聴ファイルのある再発廉価盤につないでいますが、自分の所持するのは初出盤です。
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購入金額
2,500円
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購入日
1993年頃
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購入場所
退会したユーザーさん
2012/10/02
1~10くらいまでは正統派ヒロイックファンタジィだったのが
最後のほうは腐女子向けだったとか(w
かなり長く読んでましたが途中で挫折しました(w
cybercatさん
2012/10/02
>1~10くらいまでは正統派ヒロイックファンタジィだったのが
>最後のほうは腐女子向けだったとか(w
辺境篇のコナンにも通じる正統派ファンタジー、パロ篇で陰謀渦巻く宮廷物語、ケイロニア篇で昼メロ的展開...さらに魔界水滸伝のような魑魅魍魎世界、ロケットが出てきてSFチックに...と様々な曲面を見せた物語。
正伝130巻、外伝21巻、ハンドブック4巻、フルフルで持ってますよ。
こんど、本の蟲ででも...と言いながら、明日公開予定の記事で長丁場のシリーズを始めちゃうので、そのうちにw
yookano794さん
2012/10/03
しかも、グイン・サーガだし。
リアルタイムで追っかけていましたが、1985年頃挫折。←貸してくれる友人と、ホイホイ会えなくなったため。
そのうちの登録を楽しみにしています。
cybercatさん
2012/10/03
>しかも、グイン・サーガだし。
ww
「三桁で効かない蔵書」のうちの幾ばくかはこいつらのせいですww
>そのうちの登録を楽しみにしています。
今日別の長いの始めちゃいましたのでそのうちに...(^^)v