大橋勇武(イサム)による、1993年版
に続く、フジテレビF1BGM集。1994年と言えば1990~91年連続チャンピオンのAyrton Sennaが、その翌年からWilliams RenaultのNigel Mansell、Alain Prostに連続してチャンピオンを持って行かれたのち、勝ち逃げしたProstの後釜に座り、悲願のRenaultエンジンを得た年。前年チャンピオン不在のチャンピオンチームのため、Sennaがカーナンバー「2」、セカンドドライバーのDamon Hillが「0」をつけ、カーナンバー「1」不在で戦われた。
世代がMansell、Prost、SennaやNelson Piquetといった1980年代のドライバーたちから、Hillや“皇帝”Michael Schumacherらの1990年代ヒーローに変わろうとする過渡期。そんなF1を支えた音楽。ハードロック調のインストナンバーと、異国情緒溢れるお洒落な曲が並ぶ。
「Battle and Chase」。T-SQUARE系の明解なメロディーを持つインストチューン。曲を書いたのは是方博邦。
激しく、そしてマイナー気味のこの曲は、よく解説シーンで使われていたな。後半のダブリングされたギターがイイナァ。
「Pole Position」はアレンジが安藤正容(まさひろ)のため、さらにT-SQUAREっぽい。予選結果の紹介の曲だったかな。番組では当然途中でフェードアウトだが、この曲、盛り上がりは後半にある。ギターのリフをバックにした大坪俊明のキーボードソロ、短いギターのブリッジに続いて、ブレイク!オルガンのグリスで復調してその後頭を駆け回るパンニングとアームを使ったキレたギターソロ~~って感じ。
ビートは効いているのだがなめらかに?始まるのは「Jozen Mizu no Gotoshi ~ 上善如水 ~」。ピッキングの強い太い音で朗々とメロが取られる爽やかな?曲。当時のT-SQUAREのドラマー、則竹裕之の凝ったリズムが前のめり気味の躍動感!ハイハットは4つ打ち(4分音符)なのにスネアとバスドラが16分音符刻みで喰っているというおもしろいつくり。さすが則竹。大橋のギターソロに続く大坪のコードを多用したキーボードソロはT-SQUAREみたい。続いてディストーションを効かしたw故青木智仁
のベースソロ、則竹のドラムソロとソロ回しが続き、バンドっぽさを出している。
他の曲では伊東たけし、和泉宏隆といった他T-SQUAREのメンツの参加もあり、ロック系インストフュージョンとして結構高品位。
この年のF1の方は前年までのWilliamsの圧倒的アドバンテージ、アクティブサスペンションの使用禁止というルールの変更があった。そのマイナスを空力的に攻め込んだ仕様でカバーしようとした車FW16がSennaをもってしても操るのが難しいほどセンシティヴになってしまい、2戦連続リタイアで迎えた第三戦San Marinoで悲劇が起こる。
この日、前日の渾身の走りでポールポジションを得たSennaは、若き才能Schumacherを抑えつつトップを走行中にコースアウト。コクピットに座ったまま、ピクリとも動かないSennaの姿に、中継とはいえそれを見ていた自分も祈らずにはいられなかったが....祈り届かず彼は天に召された。そんなわけで、ココに収められた曲は激しい曲調のわりに、寂しげな印象があります。
それは、その事故の印象が強かったからかも知れません。
F1というモータースポーツにおいて、1994年という年はドライバーが腕っぷしでタイマンで渡り合う古き佳き時代から、計算された戦略とチーム力で戦う現代戦への転換の時期であった、そんな感傷もあるのかも、知れません。
【収録曲】
1. Battle and Chase
2. Naked Heart
3. Pole Position
4. Ferias do Campeao
5. Jozen Mizu no Gotoshi ~ 上善如水 ~
6. Truth 2000
7. Victory Shower
8. Latchkey Children
「Pole Position」
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購入金額
2,800円
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購入日
1994年頃
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購入場所
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