PowerVRは英VideoLogic(現Imagination Technologies)により設計され、第1世代のSeries1はPC向けの3D専用チップとして、第2世代のSeries2ではPC向けビデオカードも一応発売されたものの、日本ではほぼSEGAのドリームキャスト専用チップとして、それぞれリリースされていました。
Seires1のPowerVR PCX1を搭載したNEC PC 3D Engineはまだ手元にありますのでそのうち取り上げるかもしれませんが、今回取り上げるHercules 3D Prophet 4500はそれらの後継となるPowerVR Series3 KYROの強化版となる、KYRO2を搭載したビデオカードです。
初代のSeries1では、専用のグラフィックライブラリとなるSGLとDirect 3Dのみをサポート(但しDirect 3Dは極めて低性能)していて、Series2になった段階で2D描画機能が付加されるようになったという、3dfxのVoodooシリーズと似た変遷をたどりますが、Series3となるKYROはごく普通の2D/3Dサポートのビデオカード向けチップでした。
当時NVIDIAが積極的に推進していたハードウェアT&Lはサポートせず、製造プロセスや動作クロックなどもそれほど高い水準ではなかったこの製品ですが、速度性能は意外なほど良好でした。当時KYRO2の出来に慌てたNVIDIAが、ネガティブキャンペーン展開用の内部資料まで作成していたという話もあるほどです。ATI RADEON VEと共に当時の大ヒット作GeForce2 MXシリーズの強力なライバルといえました。
ただ、残念ながら商業的にはそれほど大きなヒットとはならなかったようで、このKYRO2を最後にPowerVRシリーズはPC向けのチップから撤退してしまい、モバイル向けのIPコアへ転換していくことになります。現在でもスマートフォン等で使われるSoCの中にPowerVRコアが利用されている例は少なからずあり、実は多くのユーザーがPowerVRをそれと知らずに使い続けている状況です。
この3D Prophet 4500はKYRO2を搭載したビデオカードの中でも、実質的にリファレンスとして扱われた定番商品でした。私も一時期サブマシンで常用していて、画質に難のあったGeForce2 MXを比べれば、満足度は遙かに高かった記憶があります。
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購入金額
0円
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購入日
不明
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購入場所
けんこうさんさん
2012/08/24
>KYRO2を最後にPowerVRシリーズはPC向けのチップから撤退してしまい
INTELさんのATOMやATOM用の統合チップセットにも入っていますね!
問題は・・・INTELのdriverが不出来で、使えるようになるまで時間が掛かる!
GMA 3650・・・早く64Bitに対応してくれ~!
jive9821さん
2012/08/25
確かにGMA500やGMA3650などはPowerVR系といわれていますね。Neon250は一度秋葉原で見かけたのですが、意外に高くて買い逃してしまったのが悔やまれます。
実は海外在住の方に頼んでKYRO搭載の3D Prophet 4000 XT PCIを入手しようとしていた時期があったのですが、手配が遅れて製造打ち切りになってしまい、結局入手できなかったりと、PowerVR系には何かと思い出があります。