レビューメディア「ジグソー」

省エネ多機能なインテル謹製ITX(あの音もでる)

なんか色々とおかしい3570Kレビューで使った最後の良心?インテルマザー「DH77DF」。


くみたてちゅう
くみたてちゅう

こちらは純粋にマザー単体の内容となるので、実際組んだPCについては↑の3570Kレビューをご覧いただければと。まあ致命的に何かがおかしいPCですが。

当初このPCの中では地味な存在かと思っていたが…


しかし「あの音」のおかげでカオス度がアップしている。UEFI起動時に音が出ているのが判るかと。OS依存ではなく、正真正銘マザーの音だ。詳細は後述。

このマザーを使用した事によりCPU・SSD・マザーボードのインテル固めを達成したのだが、レビューではあまり出番が無かった。とはいえむしろこのマザーが安定していたからこそ他の部分で思う存分遊べたのだから功労者。後述のメモリ電圧以外はレビュー中問題らしい問題が発生しなかったのだ。


前置きオシマイ
前置きオシマイ


実はコレPC DIY EXPO2012にて行われていたスタンプラリーガラガラの4等景品。

この手のくじ運は決して良くない方なのだが、その前の傘といいIntelとの相性はいいのだろうか。

オレンジ
オレンジ

と言うわけでタダで手に入ったという色眼鏡で見てしまう事になるが、現物を見ていこう。若干箱傷みがあるとはいえ当然中身は新品。
内容物
内容物

付属品はごくごくシンプルだが、関心させられるのがマザーの配列シール。特にITXは基板上の記述が小さかったり判り難かったりするので、この明解な図解はとてもありがたい。組み立て中咄嗟に向きや場所がわからなくなったときも、マニュアルをパラパラとあさる必要が無い訳だ。うーん親切。
そしてマニュアル自体も1枚ペラで、カラーイラストを多用したもの。言語こそ英語のみだが、こちらもわかり易い。まるでレゴブロックの説明書だ。

裏面にあります
裏面にあります

更に代理店テックウインドによる別添えで、わかりやすい日本語自作マニュアルが付属している。
インテル純正マザーというと自作経験が既にあるユーザー向けというイメージが強かったのだが、これは内容が非常に丁寧で。基盤の裏の「とげ」の危なさまで写真で紹介しているとは(要はハンダの突起で手をケガしないようにねって内容)。確かにこのマザーはトゲトゲ感強いけど!

Windows7のインストール手順まできっちり紹介してあり、更に専用のURLから最新版マニュアルのダウンロードが可能ととにかく丁寧。ここ最近見た「自作マニュアル」の中でも屈指の判りやすさ。今度初自作の人の手伝いするときはこのマニュアル持ってくか(オイ


基盤全景
基盤全景

基盤レイアウトはITXとしては標準的なPCIex16脇にソケットがあるタイプ。それまで使用していたH67-S B3が特異だったので、入れ替えに辺り配線は結構変化する事になったが。



USB3.0とUSB2.0とフロントパネルとSATAとIEE1394の密集地帯
USB3.0とUSB2.0とフロントパネルとSATAとIEE1394の密集地帯

倍率変更こそできないものの、一通りの機能を備えたH77チップと、それに準じたSATA3*2ポート+SATA2*2+eSATAとストレージ周りも十分、更にDVI-IにHDMIにDisplayPortと充実した出力に、IEEE1394まで装備。
バックパネル
バックパネル

有線LANはIntelだけに82579V GbEを搭載。IntelLANに拘る人なら拡張性の低いITXにおいてIntelLANがオンボードされている価値はかなり大きいだろう。
面白いのは向かって左端にちょうど1列分くらいの空きスペースがある事。恐らく無線LAN搭載モデルとの共通設計で、搭載時はココにアンテナ端子が来るようになっているのだろう。パネルにもそれらしき丸いパターンが残っている。
ちなみにパネルは廉価マザーと比べると厚みがありがっちりしている。心なしかUSBコネクタ等もしっかりカチっと機器が入る気がする。少なくともチープさはまるで無い。
24pinとUSB2.0(黄)とMiniCard
24pinとUSB2.0(黄)とMiniCard

更にPCI Express MiniCardコネクターも装備し、小型SSDが装着可能と、ITXといえど十分すぎる多機能っぷりを詰め込んでいる。

追いやられたボタン電池。フロントオーディオと4pinFANも見える。
追いやられたボタン電池。フロントオーディオと4pinFANも見える。

ファンコネクタは4pin*2(CPU/Front)と少ないながら双方PWM制御が可能。他にもCIRコネクタ等ピン類はみっちりしているので先ほどの配列シールは手放せない。

補助電源は4pin
補助電源は4pin

一方CPU近辺は意外とアッサリ風味。一応i7にも対応しているが、倍率可変を行わないH77チップならこれで十分なのだろうか。

メモリを挿すと壁になる
メモリを挿すと壁になる

メモリスロットは当然2本だが、Ivyにあわせて1600が正式対応となっている。今までの6Xマザー&Sandy環境でもまず1600メモリは動いていたのであまり実感はわかないが。

またIntel自ら本来は仕様外であろうXeon E3シリーズの動作確認を載せているのが面白い。実際に我が家のE3-1260Lを装着したがごくごく普通に動作した。




H77という事でUSB3.0はチップセット統合、IOパネルの2ポートに加えピンヘッダを2ポート分備える。但しドライバはWindows7専用なので、それ以前のWindowsの場合はUSB2.0動作となる。
また背面の黄色いUSB2.0ポートと同じく黄色のUSB2.0ピンヘッダは充電向けにPCの電源が切られていても給電が可能になっており、また大目の電力を供給できるようになっている(設定でオフにすることも可能)。更に通常のUSB2.0ピンヘッダも備えるので、USB3.0が2+2、USB2.0が4+4とUSB周りはITXとして十分すぎる数まで拡張可能だ。


UEFI画面
UEFI画面

基本的には癖の無いマザーと言えるのだが、最大の特異点といえるのがUEFIの仕様だ。Intel純正マザーを利用している人にはおなじみかもしれないが、他社のUEFIや従来型BIOSとはまた別のレイアウト。

まあUEFI化で各社見た目がバラバラになったのでインテルだけが浮いているという訳でもなくなったのだが、どちらにせよASUS・ASRock等に比べると項目のわけ方や階層構造が独特だ。
黄色いやつ
黄色いやつ

またCMOSクリアージャンパピンの仕様も特殊で、1-2で通常状態、ピン無しでリセット、2-3でセットアップモード(必ずUEFI設定にいく)というもの。なのでジャンパピンもつまみやすい長いものが用意されている。

この仕様、最初は戸惑うが、普通にDel or F2キー連打でもUEFI画面には入れるし、逆にセットアップモードなら必ずUEFI画面に行ってくれるので、キー押し忘れorミスでWindowsの起動に行って待たされるという事もない。

ちなみに電源投入時のUEFI起動速度は特筆モノで、標準状態でも電源スイッチを押した瞬間から、Windows7起動ロゴ表示までの時間は我が家最速のASRock Z68 Pro3-M(11秒)に迫る。
しかもUEFIの「FAST BOOT」内にある3項目をEnabledにするとなんと7秒というダントツの速さ。
Fast Boot
Fast Boot

但しこれら3つの項目、それぞれ起動ロゴが表示されない・OS起動までUSBキーボードによる入力ができない(UEFI画面に行くにはジャンパ必須)になったりとデメリットもあるので使い方にあわせて調節しよう。

その上に見切れている「Startup Sound」が冒頭の動画で使った機能だ。
有効にすると起動時にインテルロゴの「あの音」がするインテルのスペシャル機能。不意打ちで笑ったけど何気に音量注意だ!チャチャチャチャン♪
もちろん初期設定ではオフなので気づいていない人も多いかもしれない。というか私も気づいていなかった。


一方CPU電圧を下げれない、今回使用したメモリは電圧を設定しても上手く適応されない等少々癖もある。


今回は1.25Vの低電圧メモリを使ったのだが、何度設定しても実働では1.56Vになってしまうか、起動さえしないのどちらかだ。一種の相性問題が発生したのだろうが、超省エネを狙えるマザーだけにここは惜しい。
付属ユーティリティの監視画面 メモリ電圧に注目
付属ユーティリティの監視画面 メモリ電圧に注目



消費電力実測
消費電力実測

先ほどから省エネ省エネと連呼しているが、マザーボード自体の消費電力の低さは優秀だ。
今まで手持ちの1155マザーとしてはH67-S B3が最も消費電力が低かったのだが、下記の実測値を見るとほぼそれと同等なのだ。しかもUSB3.0など性能面ではアドバンテージがある。

●Core i5 2500T&Abee 130WACアダプター使用時のアイドル消費電力(システム全体)
Foxconn H67S B3 → 18.5W
Intel DH77DF → 19.2W

●Xeon E3 1260L&Antec EA-380 ATX電源使用時のアイドル消費電力(24+4pinのみ)
ASUS P8Z68-V PRO/GEN3 → 40W
ASRock Z68 Pro3-M → 33W
Intel DH77DF → 23W

(全てBIOSはデフォルト設定。なのでオンボードデバイスの多いマザーはその分更に多くなる。)




低消費電力なXeon E3を使ってのホームサーバー、廉価なCeleronを使ってのコスパ重視マシン、HD4000を搭載したi5をぶちこんでのライトゲームマシンまで、CPUの選択肢は幅広く、ITXだけにケースも選ばない(ガラガラになるのを気にしなければATX用ケースでもOK)。
Kシリーズを使ってのオーバークロックこそできないものの、安定して動く小さなオールラウンダーとして、地味ながら活躍してくれるマザーボードだろう。

そう、最大の難点は「地味」なところだ。確かにIntelLANをオンボードしたITXマザーというだけでその存在価値は高いのだが、普通の目で見るとどうしても地味。

ASRockやMSI等自作向けに独自の機能を盛り込んでいるマザーと比べるとどうしても地味で弄る箇所も少ない。付属アプリケーションも見た目も普通。
BIOSTARはじめ他社廉価モデルのようなインパクトのある安さも無い。スペックを考えれば決して高くもないのだが。
ASUSやGIBABYTEのように情報が溢れている訳でも無い。判らないことや確認したい事があって検索して情報が出てくる事が少ないのだ。先述の通りBIOS(UEFI)の作りは他社マザーと比べると独特なので、他社マザーの情報流用が難しい。


ちなみにUEFIアップデート画面もすごく地味な上に静止する。専用のアプリケーションをダウンロード→OS再起動でこの画面になるがあまりに地味な画面で静止するのでちょっと心配になる。気長に待とう。



しかし品質や安定感はさすがといったところ。同社X79マザーにあったらしい初期BIOSの不安定等も報告がなく、現状安心して使えるITXマザーの1枚だ。
CPU・SSD・マザーとインテル固めの鉄板構成にするのもまた一興。

そのインテル固めをとんでもねえ状態にした私が言うのも難ですが。
  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2012年06月24日

  • 購入場所

    AKIBA PC-DIY EXPO

コメント (4)

  • harmankardonさん

    2012/08/03

    お堅いIntelで固めた割には,外観が硬くない・・・という,いつもらしいレビューですね.


    手持ちのSR2も,P8Z68Vで1.25V動作してくれません.auto設定のままだと,1.55Vくらいまで盛られるか,起動しないかのどちらかでした.
  • 下小川さん

    2012/08/03

    ほんと性能的にはガチガチに固めてるハズなんですけどね!

    私の家のマザーの場合G.Skill F3-12800CL9D-8GBSR2の動作は…

    ASRock Z68-Pro3→1.25V動作OK(UEFIバージョンによる)
    ASUS P8Z68-V PRO/GEN3→1.25設定で起動するが実動1.26V
    Foxconn H67S B3 →設定不能 1333 1.5V動作

    んでこのインテルですかね。ただCPU側にメモリコントローラがあるので組み合わせるCPUによっても挙動が変わってきそうです。気難しいスナイパーだ!
  • harmankardonさん

    2012/08/03

    下小川さんのところでも,そんな感じなんですね.


    書き忘れましたが,i5-2405S時の挙動です.

    そのまま,i7-2600Kにすると,XMPなら1.25V動作してくれます.

    ほんと,気まぐれやさんなので,今はSR1と一緒に,休んでもらっています.
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