レビューメディア「ジグソー」

GIGABYTEがグラボに押し込んだロマン

自分は悩んでいた。お気に入りのXFXのRadeonHD7770が遂に本格的に不調になってきたのだ。

微妙に調子が悪いのに買い替えず、手持ちに750Tiがあるのにも関わらずこれを付け続けてきたのはずばり見た目。ハデなドラゴン柄ケースの側面から見える2枚のHD7770。7が6個でなんかすごい。そしてちょっと定番とは外れたXFX製というのもポイントが高かった。

他のパーツも実用性より面白さ重視でパーツをチョイスしていった趣味の塊みたいなPCなので、満足いくものを搭載したい。

 

ただ一応ゲームに使うPCだけに、現在の性能をこえる性能はほしい。HD7770のCFXなんて現行品だとミドルレンジで越えられる。まあそこそこカッコイイミドルレンジVGAでも導入しようか、750Tiを別PCから奪い取ろうかそんな中ふいに思い出した。

 

…そうだ、3年くらい前にイベントで見たアレがあったじゃないか!

アレがほしいアレが!!

アレ(SLI)
イベントで見たアレ(SLI)

そいつのチップが何だったかすら覚えてない。ただ覚えているのは異質すぎるファン配置。とりあえず型番を知るために検索窓へ「GIGABYTE 5連ファン」と入力した。

 

GV-N680SO-2GD…間違いない。「WINDFORCE5X」と名付けられたオリジナル冷却機構を搭載。側面に小型ファンを5個搭載した異常なスタイル。イベントで見た当時はカッコイイけどハイエンドだし電源ユニットとかから揃えないといかんしなあ…とあまり調べずにあきらめたアレ。

型落ちハイエンドというと熱くて消費電力バカ食いというイメージがあったが元々GTX680は比較的扱いやすい範囲に収まっていて、マイナーチェンジ版がGTX770として発売されたくらいだ。

 

電源に極端な負荷はかからず実用的、それでいて見た目のインパクトが大きく、所有する満足感を得られる唯一無二の5連ファン。こいつならXFXHD7770同様当分買い替える気にならないだろう。出費が重なって痛い時期だがオークションに都合よく中古が流れていたので買ってしまった。

 

現品は付属品はない本体のみ。しかし開封動画等を見る限り元々あまり付属品は多くなかったようだ。というか本体と緩衝材だけで宅配便の80サイズだよ。

出力端子はHDMI・DP・DVIx2とハイエンドとしては普通。しかし3スロットの姿は只者じゃない。

もちろん性能の方も

通常クロック1.006GHz→1.137GHz

ブーストクロック1.058GHz→1.202GHz

メモリクロック6.008GHz→6.200GHz

と通常のGTX680をOCしたモデルでそのOC幅は通常流通したGTX680の中では最高クラス。

まあ見た目で買ったんですが。

更新: 2015/10/07
デザイン性

重戦車のような威容

自室に到着したソイツは覚悟していた通りデカかった。最早グラフィック「ボード」と言っていいのかという代物。ましてやコイツをビデオ「カード」とは言いたくない。グラフィックユニットとかそういうノリだよコレ。

一応同じジャンルの製品であるGeForce210と比べると笑いが出てくるサイズ。

天面はファンが無く若干の通気口がある以外はカバーされており、大きなロゴが入る。しかし黒一色だしロゴもグレーであまりド派手なデザインではないので意外とおとなしく見える。ここだけ見れば同時期にASUSが出していた3スロット版GTX680の方が赤も入ってて派手に見える。

が、この側面だ。5つ並んだ小口径ファンが異常すぎる。

4つは外側のフレームで連結されているが、ファン自体は普通の4㎝ファンの形状のようだ。これらは排気ファンとして動作する。つまりマザーボード側から吸気するというトップフローCPUクーラーとは逆の方向。

残り1つは若干奥まった位置にある。その脇には8pinx2の補助電源。通常の680は6pinx2なので余裕を持たせている。コネクタの取り回しを考えて1個だけ奥まった位置なのだろう。まあ残り4つのファンは丸々本来のカードからはみ出ているのでこの奥まった1個が本来の幅なのだが。

カード後方には4pinのコネクタがあるが用途は不明。

 

ブラケット背面側はカバーがあるもののスペースがあいている。SLI時にハードタイプのブリッジを使っても大丈夫になっている。奥には後述のBIOS切り替えスイッチ。

 

反対側はずらりと並んだフィン。とにかくフィン。Scytheのオロチを思い出す。

その特異な形状故側面で立てる。お前やっぱりカードじゃねえよ。

 

底面側(装着時上側)は重量に耐えるためか分厚いプレートが装着されている。ヒートスプレッダも兼ねているのか動作中は結構暖かくなる。

この背面プレートは当然上のスロットの一部に入り込むようなサイズなので、カバー付サウンドカードのようにめいっぱい高さを使うカードは上のスロットに装着できない点に注意。

プレートは一部に穴が開いており、基板上にLEDが実装されている。このLEDは8つあり、8フェーズの電源がどこまで稼動しているのかを見せるインジゲータ。

負荷に応じて数が変化するのはわかり易くて楽しい。ただ光物分はこれだけ。リファレンスに光物分が含まれた後継カードのような光る派手さはないが、まあこのビジュアルならどうってことない。

実際装着してみるとPCを上下分断する壁というか建造物。

マザーボードがE-ATXだったり光るメモリだったりほかのパーツもかなり濃いのだがそれらに負けない存在感だ。

更新: 2015/10/07
導入難度

大きさはもちろん重さにも注意

スペック通りあまりに巨大な本体。

派手にヒートパイプがはみ出たクーラーよりは張り出しは少ないかもしれないが、当然排気を出さなければならないのでケース幅は十分なものか通気口があるものが必須。

そして前後30cmオーバーの長さも当然化け物だ。今回使用したLianLi PC-P50Rはフル5インチベイを持つ特殊ケースなのだが、一部入り込んでいる。

 

大艦巨砲(多砲?)主義の結果産まれたこのグラフィックユニットはその重量もハンパない。

なんと実測1.6kg。

これ、かつて化け物CPUクーラーとしてリリースされたScytheスサノヲが1.55kgだったのでそれより重い。まああちらはヒートシンクとファンだけでその重量なのだからぶっ飛んでるが。

 

ブラケット部は3スロット分あるので3か所でネジ止めできるが、スロット共々あくまで固定できるのはケース後方のみ。ケース前方側の重量がモロにかかり、前が下がってきてしまう。その力は入手したときすでにブラケットがひしゃげてた程。

 

そのままつかうと貴重な本体はもちろんマザーボードのスロットがガバガバになったり破壊されかねないので、なんとか前方の重量を逃がす工夫がほしい。

 

今回は5インチベイに一部突っ込んでいる事を利用して、グラボ直下の高さに頑丈なDVDドライブをもってきて、その間に緩衝材を挟んで重量を逃がしてみた。奇しくもフル5インチベイで前後にあまり余裕がないケースがむしろ役に立った結果だ。

 

またこの特異な形状のおかげで、ボード部はフルカバーで露出しているファンもない。つかみやすいし周囲のケーブルを巻き込む心配がないという僅かなメリットもあるっちゃある。

更新: 2015/10/07
性能

型落ちでもハイエンドはハイエンド 消費電力効率も高め

性能に関してはすでに登場してから期間も経っているし情報も出そろっているだろうからサックリ。GTX680+OCの性能をたたき出すボードなのだが、今回はPentiumG3258というお手頃CPU(4.6GHzOC)を使っているので、そちらがボトルネックになっているであろうベンチも多い。まあGPUにだけ金をかけたらどうなるのかの参考にはなる。

 

またケースや他カード・ドライブとの物理干渉の関係で、PCIexpress x16スロットに挿すにはかなりの分解が必須だったので、今回のベンチスコアはGTX680のみx8スロットで行っている。但しPCIexpress3.0の場合x16とx8のベンチスコアに有意な差は見られない(750Tiで実験済み)ので影響はないはず。

 

手持ち最高性能のVGAが750Ti(複数枚ならHD7770x2CFX)と今までハイエンドにあまり手を出してこなかっただけあってGTX680の性能は衝撃的。

特に負荷の大きいゲームやベンチでその威力を発揮してくれる。ただもともと性能の間に合っていたネトゲや古いベンチなんかはそこまで伸びない。CPUがPentiumGなのでそこがボトルネックになった可能性もある(なんでそれに挿した)。

 

一方システム全体の消費電力はコチラ。

750Tiですら結構高めな点から判るとおり色々なパーツをつけているので素の状態で高い。

ただアイドルはしっかり抑えており、560Ti比+4Wに収まっている。恐らくこれOC設定&5連ファンというハンデもあるんでGTX680自体のアイドルは優秀な部類だろう。

 

一方高負荷がかかるFF14ベンチでは400Wオーバー記録。HD7770のCFXより100Wも高い。ただFF14ベンチでは他グラボの2倍ほどのスコアを叩き出していたので妥当というか優秀。素の状態が低いPCなら600Wクラスの電源でも十分運用可能か。

 

そして面白いのが60FPSまでいくとそれ以上の負荷がかからなくなるカスタムメイド3D2(CM3D2)。なんと560Tiより48Wも低い数値で1世代後でよりワットパフォーマンスを上昇させた750Ti比でも+20Wに収まる。

FPSにリミットがかかるゲームなら消費電力・発熱ともに抑えられるのはうれしい。自分では試していないがGeForceのユーティリティでFPSを抑える機能もあるので無駄に消費してしまうゲームでもそちらを使えば発熱・消費電力を抑えられるはず。

 

そしてBIOSは2つ搭載。

このスイッチはBIOSのモードを切り替えるスイッチで、モードによって青/赤に変化する。

青は通常モードで赤はコールドバグに強いというLN2モード。この位置だと装着後に切り替えできないんじゃないかと思ったが、手前に隙間があるので棒があれば切り替えできる。まあ普通はLN2モードを使う意味はないのだが、LN2モードは自分でOC設定をしろということなのか設定クロックがリファレンス準拠になる。一時的にリファレンスに近い状態で動かしたければこちらを使うという手もある(なので設定をしないとLN2モードのほうがベンチスコアが下がる)

 

更新: 2016/04/23
安定性

余裕の冷却力でカード自体はド安定 ソフトも最新版ならOK?

【追記】

購入時Windows10環境でソフトがぜんぜん安定しなかったのだが、2016年に入ってから改めてソフトの最新版を入れたところ各種機能は問題なく動作して下記の不安定挙動は無い。

ソフトに関しては解決済みですが当時の記述は残して起きます。

 

GTX680を市場流通カードとしては最高クラスにOCした製品とあって、安定感に不安はあったのだが(物理的な安定感はともかく)普通に使えてしまう。

 

ただ問題は制御するユーティリティ。余裕を持った冷却機構を生かして更なる高クロックを狙ったり、逆にクロックやファン回転数を抑えて静音化したりができるOC GuruIIが付属しているのだが…自分の環境でコレを入れるとふしぎなちからでしぬことになる。

 

Windows10環境のせいなのか、特種なマザーのせいなのか、個体が不調なのか、とにかくよくわからんがグラフィックドライバの応答停止を繰り返す。ベンチどころかヘタするとOS自体の描画でしぬ。

 

そもそもこのソフト、本来は電圧も制御できるはずなのに電圧操作が動作しなかった時点で相性を疑うべきだったかもしれない。アンインストールすら苦労するハメ(普通にOS起動するだけでドライバが停止する)になったが…。大きさが大きさだけに今回のPC以外で取り付けられるPCが現状無いので、Win10や他パーツとの相性なのか個体の不調等それ以外の要因なのかは結局不明。

 

最初早々にこのソフトを入れてしまい、めちゃくちゃ不安定でリファレンスクロックまで下げてやっとベンチが動いたりなんかしたんで「アチャー不調品つかんだか…」とがっくりしていたのだが、このソフトを抜いたら全くもってド安定。

ベンチ回そうがなんだろうが全くド安定。しっかりスペック通り…場合によってはそれを越えるブーストクロックの1250MHzで動作してくれる。

サイドパネルに開口部がなくフロント側は5インチベイで埋まっているケースを使っているのだけど、長時間の負荷でケース内部の温度が上昇しても力任せに冷却してくれるので安定性は高い。

更新: 2015/10/13
静音性

甲高いエキゾーストサウンド(違

その圧倒的な存在感を見せる小口径5連ファン。小型ファンらしい甲高い音が出るのだが、アイドル時は2500rpm程度(GPU42度)で動作しているので、意外と大人しい。バラックだとそれでも甲高い音が聞こえてくるが、ケース内に収まると殆ど気にならない。

特大ヒートシンクの恩恵と、高音域はケースのパネルで遮断しやすいのも要因か。

ただ負荷時はさすがに分廻る。ただ覚悟していたほど音はうるさくない。確かにゲームをしていると7000rpm(GPU70度)という高回転になり甲高いモーターのような音を出す。どっかでラジコンカー走らせてたっけ?といった感じ。

ただ周囲に熱が籠りやすい状態でもその70度の段階で落ち着くあたりさすがこの巨大冷却機構は伊達じゃない。力技で冷やしてくれる。この後ケースのエアフローを改善した結果60度台で安定するようになったのでもう少しおとなしい音になっている。

 

今回使用したPCは電源ユニットやCPU水冷、各種ケースファンが負荷時に結構な音を出す代物なのでそれすら混ざっていく。一般的な大型ファン搭載ボードに比べれば静音性では不利だが、事前に覚悟していた程ではないというのが正直な感想。一昔前の高回転1スロットグラボや、小型ロープロファイルグラボに比べたらむしろおとなしく感じる程だ。

更新: 2016/04/23
満足度

これを越えるインパクトのグラボはなかなか無い

GTX680カードとしては最高クラスの性能を持っていたとはいえ、純粋な性能で言えばもっと強力なカードは登場したし、静音性では劣るし、エアフローが特殊だし。

しかしこの5連ファンのインパクトは圧倒的。より巨大な2チップカード、そして水冷ハイブリッドカード等も存在するが、今でもそれらに見劣りしないビジュアルは所有欲を確実に満たしてくれる。

また2チップ構成のようなウルトラハイエンドカードに比べるとGTX680自体は性能・消費電力のバランスが良く扱いやすいというのも好印象。

 

とにかく変わりモノのパーツを集めたかったこのPCにはピッタリで大満足。

PCパーツというのはどんどん性能が上書きされていってしまうのだけど、こういうチャレンジングな製品は例え性能で追い抜かれても、その魅力は色あせない。

今回装着した先のASRock Z87 Extreme11/acもそういう性格のパーツだし、共々長く使っていきたいというかとんでもねえ組み合わせになっちまったなおい!

でもCPUはPentiumだよ!!

 

SLIにもしたよ!!

やっぱりPentiumはかわいそうだからi5にしたよ!!

ついにねんがんの10連ファンだよ!!!

更新: 2015/10/07

覚書:UEFIブート対応BIOSへの更新

BIOS自体は初期版から更新が無いものの、UEFIブートに対応したVGABIOSがGIGABYTE公式サイトからダウンロードできる。但しいくつか謎ポイントがあるので自分用も兼ねてメモ。

 

公式サイトで配布されているBIOSは3種類。古いもの1つとUEFI対応のものが2つ。この2つは搭載メモリのメーカーで区別されているようだ。GPU-Zで搭載メモリを確認しておいて、対応するものをダウンロード。

自分の場合はHynixと表示されたのでそちらを。

 

ファイル内には専用のBIOS更新ユーティリティが入っているのでそれを使えばOK…と思いきやなぜか自分の環境では「カードとBIOSがあいません」エラーが出てしまうので別途同じページからDLできるGIGABYTE@BIOSを使用。このソフトは現在のBIOSのバックアップもできるので念のため書き出しておく。

 

@BIOSから先ほどDLしたBIOSファイルを直接指定すれば更新OK…のはずがこちらでもダメ。

よくよく見てみるとこのカードで標準搭載されていたのは「F11」。Samsung用は「F12」。Hynix用は「F3」。明らかにファイル名規則がおかしい上に、F11とF12は内部BIOSバージョンが同じなのにF3はそれすら違う。

 

試しにSamsung用UEFIバージョンのF12を当ててみたら不一致エラーも出ずあっさり動作。

なんとなくUEFIブートをしてみたかったのでF12を適用した状態になっているが、元のF11に戻したほうがいいかもしれない。ちなみに付属ソフトによる超不安定はこのBIOS更新前の話なので無関係。

 

またこのグラボ、通常モードとLN2モード2つのBIOSを持っているのでBIOSファイルも2つある。間違えて指定しても不一致で弾かれるので大した問題ではないが。

片方の更新も電源を落としてスイッチを切り替えて同じ作業をすればOKだ。

 

まあ、無理にやらないほうがいいんじゃね?

  • 購入金額

    23,900円

  • 購入日

    2015年10月頃

  • 購入場所

    個人売買

31人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (5)

  • Kvartさん

    2015/10/07

    キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

    GTX680買ったって、選んだのがコレなのはさすがですね!
  • Vossさん

    2015/10/07

    見た目のインパクトだけで、こいつを選び出すそのセンスに脱帽。
    しかし、二枚差しするとガチに真横から見たネイピア・セイバーだな(汗)
  • 下小川さん

    2015/10/07

    正直これじゃなければ自分にとってオーバースペックな680に手を出さなかったと思うw
    見た目と自己満足大事!!

    2枚挿しするとほんとソレ。
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