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あの超スリムATXケースが帰ってきた!(但しB級品1980円

※光るファンは後付け
※光るファンは後付け


全幅10cmという超スリムサイズながら、ATX基盤と電源を納められる変則配置のスリムケース。
基盤こそロープロファイルに限られるものの、ATXケースとしては最小クラスの容積である事は間違いない上に、3.5インチHDDと5インチ光学ドライブを1台づつ搭載可能。


その小さい容積である程度の冷却性を持たせるべく、サイドパネルには通気口が3つ、更に上下に8cmファンを2個づつ搭載可能(ATXマザーの場合は上面のみ)とマザー周りの通気性は良い。搭載可能クーラーの高さも限られるが、リテールクーラーなら問題無いだろう。
代償として静音PCには不向きなのと、HDD周りの冷却は全く考えられていないのが難点だ。

基本は縦置きで折りたたみ式の脚が装着されている。
基本は縦置きで折りたたみ式の脚が装着されている。


そして注意するべきは電源ユニットのチョイス。大前提として電源ユニットの長さが140mmが実質的限界で、ケース内の余裕も無いのでケーブルが多い電源ユニットは余ったケーブルの取り回しが難しい。一方プラグイン式ならケーブル量を減らせるもののマザーボード側との干渉の恐れがある。

元々ケーブルが少ない小容量電源やBTO向け電源、電源自体が短い特殊サイズATX電源等がベストという事になるが「安いケースを使ってサブPCを作るのに高い電源を買いなおした」では本末転倒なので見栄えは悪いが無理やりケーブルを押し込むのもアリだ。ちなみに電源ユニット自体は底面排気・ストレート排気どちらでも使用可能だが、吸気口の大きさが限られるのでストレートの方が向いている。

もちろん前方に縦置きという超変則配置なので、ケースに内蔵されたL字コネクタケーブルを介して電源を取ることになる。電源側のコネクタ向きによっては専用のケーブルの取り回しが難しい。

写真の電源はストレート排気モデルだが、ケーブルとは逆方向にコネクタがついているのでUターンさせないと装着できないが、購入時のママでは長さが足りない。
マザー裏側
マザー裏側

マザー裏を通る電源ケーブルを一旦取り外し、最短距離を通すようにすればUターンしての接続も可能になる。

光学ドライブもカバータイプなのでベゼル色は問わないのだが、あまり長いものを使用するとマザーボードと干渉する。特に幅の広いマザーの場合、24pin電源コネクタやメモリスロットとの干渉がシビア。直下に配置されるHDD共々L字型電源コネクタ&SATAコネクタは必須だと思って良い(むしろIDEフラットケーブルなら奥行きがシビアでもくっついたりするが)。

廉価な本体価格、流用が容易な3.5インチHDDにベゼル色を選ばない光学ドライブ、ある程度の制限はあれどATX電源を搭載可能…以上の特徴とを踏まえれば「余ったATX基盤&パーツを流用したサブPC」という用途がベストという答えが見えてくるのだが、とにかく干渉に苦労させられることが多いテクニカルなケースだ。
余ったパーツで安くすませるつもりが、ケーブル類の追加購入で予想外の出費になることもある。そしてHDD冷却不足と静音性能の低さも先述の通りなので、決して扱いやすいケースとはいえない。

だからといって最初からこのケースにあうようにパーツを買い揃える程の価値があるケースかと言われれば難しい。確かにコンパクトで容積は少ないが、それだったら最初からM-ATXやITXのスリム・キューブ型ケースをベースに組んだほうが断然コンパクトだからだ。
確かにATXの拡張スロット数は魅力だが、ロープロファイルカードを大量に使う場面なんて早々無い。余ったATXマザーでコンパクトPCの製作に「チャレンジする」くらいの気持ちで行った方がいいかもしれない。


…さて、これらの内容、自分で書いていてすっごいデジャヴを感じるのだが、前身となる「SARA2」を使用しているからだ。


何で同じようなケースの2個目買ったんだって?だってSARA2がなかなか気に入ってる所にB級アウトレット品とはいえ1980円でドンと置いてあったらついお持ち帰りしちゃうじゃん!

中途半端にパーツを箱に投げ込むよりこれにPC1台組んだ方がコンパクトに収納できるくらいなんですよ。

今回のSARA3は文字通りSARA2の後継という位置づけで基本構造やレイアウトは完全に共通なのでここまでの内容はSARA2にも言える内容となる。ココから先はSARA2からの変更点を中心に見ていこう。

まず最大の変更点がサイドパネルをはじめとした外装材質だ。SARA2のサイドパネルの弱さときたらもう…端を持ってパタパタ仰いだらベコンベコン言い出すレベル。
我が家の廉価ケース四天王(-1) ※この後まとめて曲げられる。
我が家の廉価ケース四天王(-1) ※この後まとめて曲げられる。


安物ケースを結構使っている私でさえSARA2のやわから戦車っぷりには驚いたくらいだ。たぶん女性の方でも素手で曲げられる。
いくら5000円クラスの廉価ケースとはいえそれはマズイと思ったのか、今回は厚手の材質に切り替えられ、廉価ケースとして見れば十分な硬さになっている…というか↑の廉価ケース軍団の中では間違いなく最強。
元々シャーシフレーム自体はさほどヤワい造りではなかったので、一気に(廉価ケースの中では)頑丈で共振等に強いケースに進化した。一度負けた最初の四天王が肉体改造でパワーアップして帰ってくるとかそんな感じ(それ負けフラグだろ)。

(その代償なのか、今回1980円アウトレットで購入できた理由がサイドパネルのチリがあわずに、張り出し&開閉が硬くなったB級品という扱い。変な話SARA2やわからパネルならこの程度のチリ違い使ってるうちに曲がってあわさったかもしれないのだが)
上:トップファン 下:サイドパネル通気口
上:トップファン 下:サイドパネル通気口

しかし材質を厚くした分加工コストが上がったのか、SARA2にあったフィルター類はオミットされ、開口部も丸が基本になり開口部の面積は少なくなっている。まあこの開口部の少なさも剛性アップにつながっているのかもしれないが。

内部構造はほぼ共通だが全体的に強度がアップされ、光学&HDDマウントレールがネジ不要のタイプに変更されている。




そして見かけ上大きく変わったのがフロントパネルのデザインだ。SARA2では光沢ブラック処理に、シルバーの縦ラインが入り、イジェクトボタンやスイッチにメッキパーツを使うなど廉価なりに凝ったデザインだったのだが、SARA3ではマットブラック一色で地味。というか塗装してないのかこれ。

代わりに追加されたのがインジゲータLCDだが、90年代のミニコンポを思わせるカラフルなLCDなので好みが分かれるだろう(私は大好物だが)。ちなみにLCDの機能は温度・ファン回転数・フロントオーディオを使用した際の音量インジゲータ。ちなみにこの音量インジゲータ、音声信号が無い時はランダムにアニメーションするというやっぱり90年代ミニコンポチックな機能がついていたりする。

そして温度連動のファンコン機能も内蔵されている。
このファンコン機能、3pinコネクタファン一つをコントロールする事ができるのだが、少々存在意義が謎。何せこのSARA3、トップに8cmファン*2、M-ATX時のみだがボトムに8cmファン*2とどちらも2個セットで配置される。だからといって3pinなのでCPUクーラーに使うわけにも行かない。…一体お前は何をコントロールする気なんだ。



また電源スイッチは中央からオフセットに、大型の深いタイプのスイッチから小型のクリック感のあるスイッチに変更されている。実はこれ、パネル裏の電源ケーブル取り回しの際に大きなメリットとなっている。SARA2の電源スイッチはド真ん中にしかも奥行きのあるスイッチが付いていたので、電源ユニットとケーブルの組みあわせ次第ではスイッチとケーブルが干渉してフロントパネルがしまらない事があったのだ。
電源排気口
電源排気口

しかしSARA3のスイッチ配置&薄さなら干渉は最小限に抑えられるし、LCDの基盤も薄く抑えられているのでその辺りの自由度はかなり高くなった。また側面の電源排気口もSARA2より大きく、広くなっているので電源ユニットの排気は改善されている。
何気にフロントインターフェイス部の色分けも追加
何気にフロントインターフェイス部の色分けも追加


SARA2に対してフロントパネルデザインに好みが判れる感は否めないのだが、機能・強度に関しては着実に「変更」ではなく「改善」となっていて好印象だ。とにかく最大の弱点だった筐体強度を改善しているのは大きい。
SARA2がほぼ新品入手不能になっている今ではSARA3しか選択肢は無いのだが、もし併売されていたとしても私は自信をもってSARA3の方をオススメするだろう。


最後にちらっと今回組んだPCを見ておこう。散々言っている通りあまりモノパーツの組み合わせPCとして、Athlon64X2 3800+とASUS M3A78-EMをベースにしたのだが…



M-ATXマザーなら余裕があるだろうと油断していたらところがどっこい、M-ATXマザーは右端に24pin電源やSATAコネクタ類が追いやられているのでHDD・電源・光学ドライブとの組み合わせが超シビア。SARA2にATXマザーを突っ込んだ時よりも物理干渉に苦労するハメに。
24pinコネクタ周りギッチギチ
24pinコネクタ周りギッチギチ


特に光学ドライブは家で最も奥行きの小さいLG製ドライブをわざわざ他PCからはずして装着するハメになった。
ファン類は既存の8cm*2をはずしてオウルテック製のホワイトLEDファンに換装、更にボトムには古い青色LEDファンを装着した。

このボトム用ファン、定格回転数が高くなかなか煩いのだが、ここで存在意義が微妙だったフロントパネルのファンコンが活躍。温度が非常に高温になる780Gチップセットヒートシンクに温度センサーを押し込んで、そこの温度と連動するように装着。
吸気向きに取り付けたLEDファンが、チップセットの温度上昇にあわせて回転数を上げてチップセット周りの熱を押し出すという寸法だ。なんとなく思いつきでやったギミックだが、オンボードグラフィックに負荷がかかると一時的に回転数上昇→その後は温度にあわせて上がったり下がったりを繰り返しているので何気に意味があったようだ。
ロープロファイルに多いファンレスグラボでも同じ芸当ができるかもしれない。


今回拡張カードは780Gの冷却も考えて極短なUSB3.0基盤のみとしたのだが、これのペリフェラル4pin電源コネクタは外側に向いているのでまるで幅に余裕の無いSARAでは給電不可能。一応給電が無くともセルフパワー機器やUSBメモリ程度なら問題ないが。

とにかく普通のロープロケース以上に内部寸法に余裕がないこのケース、他にも思わぬ干渉や問題が眠っているだろう。しかしそれらを一つ一つ解消し、自分だけの超スリムATXマシンを完成させるのも、自作PCの楽しみだ。
  • 購入金額

    1,980円

  • 購入日

    2012年06月08日

  • 購入場所

    TSUKUMO12号店

コメント (2)

  • shaftさん

    2012/07/28

    こちらも、SARA3を考えたのですが
    結局、CoolerMaster Elite 361のほうになりました。
    干渉は痛いですね;w;
    AINEX D2-1504Aとかどうでしょうか
  • 下小川さん

    2012/07/28

    SARA系統はホント、何もかもがギリギリサイズで作ってあるので「組み込みがい」はあるんですが、実使用での冷却性やメンテナンス性考えるとElite 361のほうが色々とよさそうですね!

    確かに薄型か小型4pinコネクタならムリヤリUSB3.0カードに給電できなくもなさそうですね!ただ本格的にUSB3.0使うPCでもないので、気づいたら逆に他のPCにUSB3.0カード分捕られてるかもしれませんw

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