先シーズンではauだけICS端末を出しませんでしたが、ほかのメーカーと同じタイミングで、4.0搭載端末を一気に揃えてきたようです。
さて、各社から発表された夏モデルの先陣を切るのがこの端末。
スペックは他の夏モデルと比べると、標準的な製品ですが、この端末には、記念すべきモデルです。
元となる海外端末、HTC ONE Sに、日本のガラパゴス機能3種類を搭載し、microSDに対応させ、バッテリーの容量を増やした日本限定の製品。
しかも、HTC初の「特定の国専用」の端末。
SONYに例えると、Xperia acroのようなものです。
ではさっそく開封していきましょう。
HTCの外箱は相変わらずシンプルです。白地ですっきりしています。
もう中身はケースに入れて、フィルムを張ってしまった後ですが、中身はこんな感じ。
説明書類とイヤホン+ケース(中にイヤーパッド入り)、本体に入っている8GBのSDカードが付属品です。
私は予約した通り、赤を購入しました。ワインレッドの色が鮮やかですね。ケースに入れてしまったので、無駄になってしまいますが。
前に使っていたメイン端末は数代黒が続いていますから、
久しぶりに違う色を選ぶと、新鮮ですね。
まあ、Android以外の端末では、白や緑などを選んでいるのですが。
ふたを開けるとこんな感じ。バッテリーの矢印の上にはSIMカード(普通のサイズです)、カメラのレンズの右にはmicroSDのスロットがあります。
ちなみに、余談ですが、このふたはかなり固いので、取り外しには注意が必要です。
外すとこんな感じです。やっぱりsimカードスロットがあったほうが最終的には便利です。
さて、今度は前のメイン端末、Photon君と比べてみることにします。
スペック上はCPUのスペックがかなり向上している以外はほぼ同じ。液晶に関ては、解像度は同じですが、HTC Jは有機EL、PhotonはLCDなのに加え、表示できる色が全く違うので、前者のほうがかなりきれいに見えます。
また、大きさもかなりすっきりしている印象を受けますが、縦の長さはその分大きくなっています。
こうやって比べると、Photonがかなりごつい印象を受けます。横にして持つと、この機種の薄さが、というよりも、Photonがどれだけ厚いかがよくわかります。
使っているケースが耐衝撃性に優れたものだからということもあるかもしれません。
次に、実際のスペックの差を図るために、ベンチマークで測定してみたいと思います。
Android業界ではおなじみの、2つのソフトを使います。
<測定環境>
比較ソフトにはQuadrant Standard EditionとAntutu Benchmarkの2つのソフトを使用。
両者とも、起動直後、タスクをすべて終了させてから測定。
ベンチマークは3回実行し、一番いい値をスコアとする。
2つの端末の違いは主にCPUのクロック&世代と、Android OSのバージョンの違いになります。
Photonは2.3.4、HTC Jは4.0.3となっています。
実際にこのスコアから比較してみますと、総合スコアではAntutuでは3割増し、Quadrantでは倍以上のスコアをHTC Jがたたき出しています。
どちらのスコアも、CPUとメモリーの性能で大きな差がついているようです。
Quadrantの2Dベンチマークの例外はあるものの、上記以外のものはそこまで差が出ませんでした。
グラフィックの3D性能はほぼ同格とみるのがいいかもしれません。
2Dはおそらく、Android 4.0から対応した、GPUでの2D描画が有効になっているからだと思います。
さて、実際に使ってみた感想ですが、まずはじめに感じるのは、やはり持った時の薄さ。上のスペック比較から見ても、こんなにスリムな端末に、今まで以上のスペックが詰め込まれているのはすごいの一言です。そのうえ、バッテリーの容量も約1割増し。日本向けの機能を搭載し、1万円くらいのイヤホンつき。HTCの本気度がわかる一品となっています。
ただ、もちろん使っている段階で、ん? と思う部分もあります。
1.ハードウェアのボタンが特殊
キーの配列が、
左→戻るキー
真ん中→ホームキー
右→タスクキー
となっていて、メニューキーが存在しません。
その影響は大きく、ワンタッチで設定画面に入れない、ほかのホームアプリを入れると、画面下部、キーの上にメニューを呼び出す領域ができてしまい、せっかくの画面の広さがもったいなくなってしまいます。それに、常に存在しているので気になりますし。
私にはなぜ、今までの端末のような配置にしなかったのか、意味が分かりません。
それならば左からメニュー、戻る、ホームの順にしてくれたほうが、非常に扱いやすく、いい端末になったのではないかと思います。
2.本体の裏ぶたがあまりにも固い
外すのに一苦労です。それならば、せめて防水も付けてくれればよかったのに、と思います。
せっかくUSBコネクターもイヤホンジャックもふたを付けているのですから。
まあ、それを付けると、起動が大変遅くなるのが欠点になってしまいますが。
3.イヤホンがないと、ワンセグが視聴できない
これはサイズの弊害といえるかもしれません。ラジオと同じように、イヤホンをアンテナにしているわけです。
個人的にはこれはかなり痛いと思います。
これよりも薄い機種でワンセグのアンテナを搭載している機種はあるので、できなかったということはなかったはずです。
それに、アンテナの先の形状をSH-03Cという機種のようにしてくれれば、きれいになったのではないかと思います。
4.液晶ガラスの端っこが丸くなっていて、フィルムの端がくっつかない
前の機種、Photonもそうでしたが、こういった機種は、フィルムのくっついていない部分にほこりが付きます。
しかし、まだPhotonのほうがましでした。これは曲がっている面積が多く、触れない面積も多いです。
5.壁紙の変更が面倒
従来のAndroid端末では、ホーム画面の何もないところを長押しすると、ウィジェットやアイコンの配置、そして壁紙の変更ができます。
しかし、その操作をしても壁紙は変えられず、先述の通り、メニューキーがないため、そこでの設定もできず、結局設定画面に行き、そこから個人設定→壁紙と変更しなければなりません。
頻繁に変える方には、非常に面倒です。
5.なぜ乃木坂46を使った?
これは不満というよりも、ただのツッコミですね。
auのイメージキャラである、剛力彩芽や星飛雄馬を使えばいいだけなのに、なぜそこだけ?
まあ、ドコモのAKBに対抗してだとは思いますが。
悪いところだけ出すのもHTCに悪いので、私がいいと思った点も一緒に書いておきます。
1.製品イメージは悪くないと思う
シンプルなデザインというのは、総じて空きにくいです。奇抜なものは飽きた時には変えたくなります。
過去の経験から、私はシンプルな端末が大好きです。
適度な薄さもポイントです。
それに、横よりも高さがあるので、比較的持ちやすいかもしれません。
2.有機ELはやっぱりきれい
発色がきれいだし、ガラス面に液晶パネルをくっつけることができるので、発色のよさと操作性につながる、というのは、初代Galaxy Sが国内で発売された時のポイントとして挙げられたところです。
ほかのTFT液晶タイプのものもきれいになりましたが、やはり私は有機ELのほうが好きです。
3.国内端末よりも安めな設定
イヤホンが1万円ということを考えると、本体自体の価格は4万円前後。
Photonが約7万だったので、これはかなり安いと思います。
このぐらいの価格が、やはり一番買いやすいです。
本当は昔みたいに、一括の価格が3万円くらいで出してくれれば一番うれしいのですが、おそらく無理でしょう。
4.スマートフォンのコアなユーザーだけではなく、比較的ライトな層も意識している
ワンセグや赤外線、おさいふケータイは国内では使う人には非常に便利な機能なので、これがついているだけでもかなり違うと思います。
また、初期でskypeやtwitterが入っているので、よほど気に入ったアプリがない限りはそのまま使うのが吉でしょう。
ただ、本当に初心者向けとしては、まだまだ練る部分はあったのではないかと思います。
5.カメラの起動・撮影が高速
これは非常に便利。さすがにウリにするだけはあります。
Photonに比べても、明らかに速く、瞬間的なものを撮影したいときには非常に有効です。
気になる方は、ぜひ試してみてください。
6.Android 4.0搭載
auでは初、というのは先述の通りですが、特に珍しいというわけではありません。
夏モデルはみんな搭載していますから。
ただ、何より一番素晴らしいのは、いらないアプリを、システムに関連するものでない限りは、凍結することができるという点。
消すことはもちろんできませんが、これだけでも、わざわざこれをするためにroot権限を取る、という作業をしなくてもいいので、そこは楽です。
私はこの端末では、rootを取らないと思います。
7.simカード搭載
私みたいにしょっちゅう入れ替えるユーザーにはこれは非常にうれしいです。
この端末はauのICカードロックはかかっていないため、カードを交換するだけで使えます。
何より、買い替える時に面倒ではなくなります。
ただし、simフリーではありません。
<付属ヘッドフォンの実力を探る>
この端末の大きな売りの一つに、イヤホンの付属があります。
買うと1万円するというのは先述のとおりですが、はたしてそれだけの実力があるのかどうかをはかりたいところ。
私の手持ちのイヤホンと聞き比べてみたいと思います。
聞き比べる製品は上の4つ。
左から、
1.iPhone 4S 付属イヤホン
形が安っぽいのの代表格ということで。音量調節ができるのがポイント。iPhoneだけですが。
2.Victor HA-FXC71-B
今までの普段使いのイヤホンです。密閉性に優れているので、電車の中などで音が漏れにくく、重宝しています。購入時の価格は約6000円。
3.SONY MDR-EX510SL/B
こちらは室内用。音が漏れるので、それを利用して、外の音が聞こえるように、と使っています。購入時の価格は約5000円。
4.本製品付属イヤホン
今回の主役です。製品の色のせいなのか、コードの色が赤いので、ものすごく派手。Beats Audio製。
音に関しては、私は初心者もいいところなので、ほとんど表現もできませんが、私なりに同じ曲を聴いてみた感想でも書いてみます。
1→まあ、これは製品の性質上なのですが、音が素直に聞こえてきません。ただ、正直、1000円程度のものよりはいいと思います。特に高めの出力が違います。ただ、私は持っているイヤホンから、2.3.4のようなもの、いわゆるカナル型というのが好みなので、あまり好みではないですね。
2→かなり素直に音を出してくれます。飾っている感じがありません。ゴムが耳に接触しているせいか、しっかりと低温が響いてきます。高めも、1のものと比べると、歪みが少なく感じます。まあ、5000円オーバーですから、これくらいはやってくれないと、存在価値がなくなってしまいますからね。
オールラウンドでなんでもこなしてくれそうです。
3→2の製品よりも、低音強め、高音を多少弱めに振った感じといえばいいでしょうか。ベースの音が2よりもはっきりと聞こえます。バンド系の音楽や、ジャズなどに比較的に合っているかもしれません。
4→低めの音が2.3よりもはるかに強いです。かといって、高めもよく聞こえてくれます。同じ音量で聞いているのに、2よりは2段階、3よりも1段階くらいボリュームが上がったイメージです。ただ、これはまだ入手したばかりだからなのかわかりませんが、音がこもるイメージがあります。ボリュームを絞ればそれも弱くなるので、いつも聞く音量よりも少しだけ小さめに設定してやると、ちょうどいいかもしれません。全体的なバランスは3よりも低音を強くしたような感じですね。さすが1ランク上の製品、と思いました。
<まとめ>
音楽やワンセグなどの用途にも、インターネットやWimaxルーターとしての通信用途など、非常に幅広い用途で使用できる、万能な機種だと感じました。しかし、ほかの夏モデルと比べると、標準的なスペックであり、そのうえ少し癖がある端末なので、Android系端末2台目など、ある程度慣れた人向けの端末です。Androidに初めて触れる、操作方法がまるで分らない人にはあまりお勧めしたくはありません。まあ、すぐに吸収できる人には何の問題もないのでしょうが。
-
購入金額
52,920円
-
購入日
2012年05月26日
-
購入場所
ノジマ
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。