今年4月、Parhelia故障により、ついにメインPCを変態的なCore2Duo&AGP構成から一般的なCore Z68(i7 2700K)構成に入れ替えるハメになった。
しかしAGPという枷が無くなった以上、別方面で「変」な構成を目指したい。2700KとZ68は素晴らしいが普通すぎる。何より2700Kは元々使っていたゲーム用PCに戻したい。
と、言うわけで2700K環境への換装直後から既に次の環境への移行をあれこれ検討していた。そして最終的に白羽の矢が立ったのが更なる上位のX79&CPU。
画像加工用としてみると、メモリスロットの本数やクアッドチャンネルメモリが魅力的だ。何よりこんなハイエンドにParheliaAPVeという性能台無しグラボを挿すと考えただけでゾクゾクする。
まずマザーボードはRAMディスクソフトとPCIスロットを考慮した結果、ASRock Extreme6に落ち着く事になる。
しかしCPUが高い。マザーこそ2万円弱で入手の目処がたつものの、CPUが高いったら高い。
4コアのi7 3820もあるがどうせX79なら6コアの3930Kだろう…って47000円?ムリムリ。MATROXのM9XXX買えちゃうじゃん。
そもそも私のオンボロケースの排熱能力を考えるとTDP130Wは厳しいし、何よりCore2Duo前提で購入した350W電源がぶっ飛んじまうのでそれらも変更してたら合計何万円かかるか判った物じゃない。300W電源で動くXeon E3-1260Lじゃないんだから。
Xeon?そうだモデルラインナップが細かいXeonなら何かある…ってありましたよE5-2620。6コア12スレッドでありながら3930Kより1万円以上安い。とはいえ35000円と我が家最高価格更新CPUなのだが。
更に2700Kに対して大幅にクロックは低下するし倍率も固定だが、そのTDPは95Wと2700Kと同等だ。オンボロケースでもどうにかなる。
もちろんクアッドチャンネルメモリによる恩恵は受けられるし、メモリを買い足さなくとも上手くいけば家の4GBモジュールを押し込んで32GB環境が実現できる可能性もある。
こんな微妙どころのCPUを狙う人も少ないだろうし、X79で使えば変態だー…ってプレミアムレビューで大量導入されていたのと同じモデルじゃねえかくそうくそう。
まずはスペックをおさらいしてみよう。
小さいのでクリックで拡大してみてもらう形になるが、最近手持ちで使用したIntelCPUに、以前同じPCで使用していたCore2Duo E7600、更に比較用として3930K&.3770Kのi7コンビも追加した。
こうして見ると E5-2620のクロックが圧倒的に低い事が判る。ターボブーストが効いても2.5GHz…このクロックでさえ値段が1/10のG540の定格クロックなのだ。
同じくXeonの名を冠するクアッドコアモデルE3-1260Lがターボブースト時では3.3GHzと強気な設定だったのとは対照的。1コア当たりの処理能力ははっきりいって1155&2011CPUの中でも最低クラスに位置しそうな勢いだ。
またIvy世代やSandyEのi7が1600メモリを正式サポートするのに対して2620は1333までが正式対応と、Sandy準拠。L3キャッシュ容量こそ3930Kを上回り、VT-d等のテクノロジーサポートも付加されているとはいえ典型的なサーバー・ワークステーション向けマルチスレッド特化CPUというのが伺える。
LGA2011にはCPUクーラーが付属しないので、以前購入した655Kのような薄型パッケージ。ほんとクーラー無しで35000円とかさすがハイエンドだわ。
それにしてもでかい。LGA775CPUがミニチュアサイズに見えてしまう。
しかしPentium3(spcket370)と比べると実は大差無い?端子の密度が恐ろしい差ですけど。
CPUクーラーはこんな事もあろうかと2700Kの内から買っておいたステルスさん。しっかり2011に対応しているのだ。
1155等と大きく異なるのがクーラーの固定方法だ。CPUソケットの枠自体にねじ穴が切ってあり、直接マウンタを固定するというもの。今回のナイトホークのようなタイプなら、メンテナンスホールの無いケースでもクーラーマウンタごと表側から着脱可能だ。
マザーレビューと内容が重複するが、ひとまずメモリは2700Kからそのまま流用したGeiL4枚組みで動作確認。
先述の通りXeon E5-2620はDDR3 1333までが正式対応で1600動作はオーバークロック扱い。更に元々X79環境での8枚挿しはシビアだと聞いていたので、このままでいいかなーと思ったが…
G.skillのスナイパーSR2のデュアルチャンネルキットが2セットあるので一応4枚ある。ダメもとで1333指定をしてみるとあっさり起動。更にメモリタイミングを(遅い方の)ブラックドラゴン準拠に固定して1600に挑戦したところこれまた何とか動いてしまった。
想定外の8枚挿し成功で、2台のPCからメモリが奪われて起動不能になったがまあいずれ補充すればいいだろう。というか2700Kをゲーム用として復旧させる筈だったのにメモリ無くちゃ意味ねえじゃん!
と言うわけでオンボロケースにぶちこみ完了。Pentium4時代から使っているだけあって、今の目で見ると内部スペースや放熱に余裕のあるケースではないが、マザー自体はCPUのでかさとメモリスロット8本のインパクトに反してATXサイズに収まっている。
Z68への移行時に時代錯誤なパーツや変換基盤類を撤去していたので、配線類も大して弄らずにセットアップ完了。OSも再インストール無しでドライバ類の入れなおしとライセンス認証だけで済んだ。また組み替えにあわせてバックアップ用のHDDを1台追加した。
CPU-Zのスクリーンショットがコレ。アイドル時は1.2GHz、実際の負荷動作時は(6コア全て使う場面が少ないのもあって)定格より少し高い2.3GHzで動作する事が多い。
ステッピングは現在販売されている2011CPUのご他聞に漏れず、C2となる。初期のX79マザーはC2ステッピング対応UEFIに更新しないと動作しない可能性があるので、購入時は注意したい。今回のX79 Xtreme6も1.20となっており、公式にはギリギリC2に対応しているUEFIだが、そのままではメモリクロックが上がらない、一部項目が表示されない等の不都合が出たのでUEFI更新は必須事項と言える。
とりあえずWEIを取得してみよう。
2700K時代がプロセッサスコア7.8だったので見事に下がった。実はこのWEI、クロックの依存が大きいようで、Xeon E3-1260LとCore2Quadが同じスコアを出したりするのだ。だからこれは想定の範囲内。しかしさすが我らがParhelia、台無しの総合スコア1.0だ。
では実際フォトショップのフィルタ処理に関してはどうなるのか、やはり普段やらないような大解像度画像の極端なフィルタ処理をかけてみる。
2700Kはえええええ!2700Kさんマジぱねえっす!最高っす!!
ごまかすなって?ハイごめんなさい。E5-2620も6コア12スレッド動いてはいるものの負荷が10割まで行っていない。あれだ、使ったフォトショのバージョンが古いんでマルチスレッドに最適化されてなかったとかそういう感じで。
しかしそれを考慮しても定格2GHzはダテじゃないって訳で1260Lと同等でi5にもまけてんじゃねえkげふんげふん。
しかし高負荷時はともかくフォトショップ他普段使いの細かい処理に関してはむしろ体感速度が上昇している面もある。プラシーボとか言い訳ではなくマジだ。
メモリ周りのベンチスコアは上昇しているし、エクスペリエンスインデックスも7.9を叩き出している。そして容量も余裕が出来たのでXFastRAM を使用したRAMディスクを各種ソフトのキャッシュにおおっぴらに使っている…CPU性能云々よりもここが速度に影響しているようだ。
そして6コアによる並列処理の余裕がバックグラウンド処理等の影響を減らし結果として総合的な体感速度アップに繋がっていると考えられる。
まあそんな事よりこのタスクマネージャをみてくれよ。1260L導入時の8スレッドにも感動したがこの12個並ぶグラフ、タマラナイネ!
そして驚いたのが消費電力と発熱だ。見るからにでかいLGA2011。低クロックに抑えているとはいえ6コア12スレッドのバケモノだ。相応に消費電力は増えると思っていたのだが…
※換装前後共、実用状態での計測なので電圧やオンボードデバイスをいじっている点に注意
なんと負荷時は2700K定格に対して明らかに低下している。先述のフィルタ処理時は更に差が大きくなっていた。…まああのフィルタ処理速度差が出た上に消費電力まで上がってたら目もあてられないのだが。
アイドル消費電力は、換装前後で殆ど差は無いように見えるのだが、今回の換装にあわせてバックアップ用HDDを1台にメモリを4枚、光まくるメモリクーラーを1個増設しているので、恐らくE5-2620側に6W程度上乗せされている筈だ。
つまり2700K環境比で負荷時は15W近く、アイドル時でも5Wは低くなっているだろう。
そして発熱。これがまた意外な程に低い。今回のナイトホーク自体、12cmファンクラスとしては薄型でヒートシンク面積も極端に大きなものではない。更にケースは古い設計で排熱効率もよろしくないし、そもそもケースファンの類はCore2Duo時代のママ。結果2700K相手では負荷時は即CPUファン回転数がップする。
…が、E5-2620はアイドル時はマザー取得温度が40度前後。だいたい室温+10度に収まっている。この時のファン回転数は1300rpm程度だ。
Prime95をぶん回しても、45秒過ぎにやっと50度を突破し、CPUファン回転数がアップしだす。ファン回転数が上がりきった頃にはその後何分経とうが53度安定だ。
この発熱の低さを見る限り、設定を調整できるマザーならターボブーストの継続時間や許容TDPをアップさせればより性能がアップしそうな気がする。今回は初期設定のままだがいずれいじってみたいものだ。
という訳で消費電力が低減しつつ、処理自体は向き不向きこそあるもののメモリ周りの性能が強化され体感速度はアップ、更にCPUクーラーが唸らなくなった。2700Kでは少々心配だった350W電源と、古い安物ケースもこれなら維持できる。
350W電源搭載、1980円旧型ケースのX79デスクトップなんてアホすぎるが、HDD増設したのに2700Kより余裕が出るくらいだから換装の必要は無さそうだ。
そして何より12スレッドの高級CPUをParheliaで台無しにする満足感(オイ
自分としては素晴らしい換装結果となったわけだが…やっぱり割高感が否めない。いや、いいものが高いのは当たり前だ。1155CPUのコストパフォーマンスの良さがチート級なのだ。一般的な用途ならやはりクロックに優れる2700Kの方が有利だし、安い。2600Kなら更に安い。そしてIvyBridgeなら更なる性能上昇を示しているし、どちらも内蔵GPUによるQSV等が使用可能と、アドバンテージがある。
X79のメリットの1つである帯域の多さも、ブリッジチップを搭載した1155ハイエンドマザーならリカバーできる場合もあり、メモリ周りをとにかく強化したい、もしくはとにかく並列処理性能をアップさせたい、値段なんてどうでもいいから高性能を!という極端な用途でなければ、1155系の方が総合的に見て無難といえる。
また、X79を狙う人なら相応の電源・冷却装置も持っているだろうし、+10000円で倍率可変&大幅な高クロックを備えるi7 3930Kがあるのでそちらを狙った方が性能は価格差以上にアップすると思われる。
逆に-10000円で4コア8スレッドながら、やはり高クロックなi7 3820がある。2700Kとの比較を見る限り、やはりE5-2620の実クロックの低さはフォローしきれないのだ。
ただi7 3820を狙う場合、やはりライバルは2700K&3770Kだ。帯域がブリッジチップでフォローされたマザーを使えば最早アドバンテージはメモリスロットの量とクアッドチャンネルのみ。そこまでして使うのかと言われたら…ならがんばって6コアi7買っておけってことになる。
このE5-2620にしてもi7 3820にしても、どうせX79を導入するなら…という目で見ると結局有力な選択肢になりきれないのが事実だろう。もちろん噛み合えばどれも心強いCPU達なのだが。
そんな訳で、比較的発熱が低く冷却周りはお手軽。消費電力が低く、クアッドコア1155CPUを動かせる電源で十分。一番手ごろな価格で12スレッドのグラフが見れる、じゃなかった12スレッドを実現できる。但しクロックは低く瞬発力では値段が半分以下のCPUにも劣る。
あくまでデスクトップではなく、長時間動作を見据えたサーバー&ワークステーション向けCPU、それがこのXeon E5-2620だ。
/だから箱にそう書いといただろ!!\
それにしても、初自作では他の部分を削ってまで当初予定してたPen4 3.0GHzから3.2GHzに変更するわ、2台目の自作ではCore2Quadを買える価格でCore2DuoのE8400買うわ、1156マザー入手した日には655KをOCして遊んでたりと、シングルスレッド性能至上主義みたいな傾向あったのに、Xeon E3 1260L買ってからいきなり低消費&多重スレッドCPU狙いにシフトしちゃったなあ。というかこれで常用2台が両方ともXeonか…
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購入金額
35,000円
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購入日
2012年09月頃
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購入場所
daiyanさん
2012/09/18
ES品なら安いですよwww
下小川さん
2012/09/18
製品版は鬼価格ですけど…
ってこれで満足したんだ私は!したんだってば!
まあこれでメモリ容量とかCPUとか更なる拡張性が出てしまったわけで…無限ループこえええ!
harmankardonさん
2012/09/18
12スレッドが実際に動いているのは,気持ちいいでしょうね.
下小川さん
2012/09/18
まだ古いケースでも高級なものなら釣り合いがとれるのでしょうが…
クロックが低いので瞬間的な速さはないんですが、バックアップソフトだのセキュリティソフトだの負荷が重なってもフォトショップがグリグリです。でもまだこれ生かすほど使えてない!
Vossさん
2012/09/19
しかし、この板結構良いなあ。9欲しくなっちゃうじゃないか。
下小川さん
2012/09/19
Extreme6でもUEFIの設定とか一通り揃ってるんで(X79としてみれば)コスパはかなりいい方かと。後見た目がカックイイ…ってFatal1ty X79 Champion持ちじゃないですか!!