レビューメディア「ジグソー」

HDD大量配備向き・窒息系ケース

先日、テスト環境機を組み終えたとき、私の奥底から声が聞こえてきた。

 

「もっとだ、もっと俺に・・・縛らせろッ・・・・!」


・・・ま、一種の病気である。

私は元々、必要もないのに「頻繁にPCケースを取っ替えちゃう人」だった。

メインPCにLevel10なんてアホなもの使ってる理由とて、要は

「クソ高くて処分方法に困るケースを買えば、頻繁に買い換える悪癖も収まるはず」

などという、実に後ろ向きな理由が主だったりする。


まあ、実際にLevel10購入以降、メインPCケースの買い換えは収まったので結果オーライなのだが、ここ一年のレビュアー当選とか、メインPCの更新とか、それに伴うWHSサーバの製作などで、PCの台数は増える一方。

それでも、どうにかケースを買わずに済ませようと努力はしてきた。

だが、今回余ったパーツで検証機を組んだことで、悪癖が再発してしまったのである。


 

この奥底から響く声の赴くまま、気がつけばコイツを購入していたのだ。


一昨年より日本市場に参入してきたスウェーデンの新興メーカー「Fractal Design」が、その名を一気に知られるきっかけとなった、「Define」シリーズ。

これはその三代目にあたる”Define-R3”で、2010年度のモデルとなる。

現在は四代目の"R4"が発表され、R3は在庫限りの終息品であるが、現在においても弾数はそこそこ残っているようで、私が掴んだのもその在庫の一つ。

ちなみに、R3とR4の差異は、HDDケージの取り外し機能と、PCIブラケット専用スロットの有無で、価格はR3が実売で3000円ほど安価である。

 

 

 

本製品の特徴の一つは、何と言ってもこのシンプルなデザインだろう。

金属製のオブジェの如く、その正面には全く、何もない。

ただ、ひたすらに真っ平らなのである。

 

日本初上陸の際に発売された"R2”までは、この正面パネルがプラ製品で、樹脂特有の安っぽい出来だったが、R3以降はアルミの化粧板が付いた。

これにより、R2最大のガッカリポイントであった"チープさ”は完全に解消されている。

また、ケースを構成する鋼板の材質が変更され、剛性が段違いに良くなった。

天板部分に至っては鋼板の厚み自体が増しており、R2で問題視された天井ファンの振動問題も完璧に解消されている。

 

 

 

 この特徴的なパネルを開けることで、ドライブベイへアクセス出来る。

フロントパネルは、その裏面に少し固めのスポンジがみっちりと充填された防音タイプで、厚みは5ミリ以上と中々に凝った代物。

開閉はマグネット式でピタリと閉じる。ヒンジも頑丈で、安っぽさは微塵もない。 

 

更にハッチを開くと、正面部分の吸気ファンが姿を現す。

ハッチの固定はノッチ式で、端を押すと開く。この辺りの作りは、AntecのP18xシリーズそのまんまパクったと思われるほど檄似だ。

ただし、ファンフィルターが付いてない&取付けられないので、P18x系より劣化している。

ファンの追加や取り外しは、中の黒枠を固定しているネジを外す必要がある。

 

 

 

5インチベイのパネルは、前面から左のレバーを手前に倒すと簡単に取り外せる。

ただ、勘合が若干甘いようで、再取付の際に下から付けると固くて入らない。

上のパネルを固定してから、下のパネルを取付けると比較的ラクだ。

 

 

 

フロントアクセスは上面の前端部に付いている。

USB3.0は一カ所のみ。

フロントオーディオのノイズは少なめだが、残念なことにケーブルが少し短く、マザーボードによっては届かない可能性がある。

 

 

 

 

こちらは左サイドパネルを開けた状態。

全体の配置は、昨今の流行というか、実にオーソドックスである。

HDD搭載数が最大8基と多めなことが他製品との違いだが、

私が、このケースを購入した最大の理由はこれである。

内部は比較的広々としており、ビデオカードは29センチ長までがギリギリ入る。

 

サイドパネルにも制震対策が施されており、防振シートが全体に貼られている。

左中程の正方形の部分は表側よりネジを取り外すことで、サイドファン・ポートとして使用出来るのだが、このパネルまでも防振シート付き。

流石にここは、板だけで良かったんじゃなかろうか(笑)

パネルの勘合は比較的良好だが、少し固めなのでコツが必要。

手こずる場合は本体を横倒しすると、割と簡単に入る。 

 

 

 

次に、右サイドパネルを開けた状態。

背面配線口、CPU裏の開口部など、昨今の流行はきちんと抑えられている。

また、こちら側も抜かりなく防振シート付きである。偉い。

 

背面配線のための余裕は2センチ弱で、特にHDD周りの余裕は3センチを超える。

この数字は、一般的な背面配線方式よりも厚みがあるほうで、HDD周りはストレートのSATAコネクタや、RAID用のケーブルが余裕で収まる。

横向きのHDD搭載方式が流行の昨今、HDDコネクタを右側に寄せた場合、背面部の余裕が無く、L字SATAコネクタが必要だったりすることが多いが、本製品ではHDD搭載位置を左側板ギリギリに設定しているため、HDDの配線にかなり余裕がある。

これは、私が今回本製品を採用した理由その2である。

ただし、側板の防振シートの厚みが5ミリ程度あるので、その厚みを計算に入れて配線しないと、パネルが閉じなくなるので注意。

 

 

 

 

壮観な8連HDDベイ。

ドライブマウンタは3.5インチ、2,5インチ兼用だが、2.5インチドライブを固定すると「金属面とドライブが直接接触する」ため、2.5インチHDDを利用する場合はワッシャーなどを挟んで嵩上げする必要がある。(SSDならそのまんま固定してOK)

少し鉄板が薄めだが、プラ製よりは壊れにくいだろう。

3.5インチHDDはシリコングロメットを貫通して下側から固定する方式で、これもどこかで見たような方式であるが、気にしたら負けだ。

 

ちなみに、5インチは2つとも昔ながらのネジ止め方式だ。

一つは3.5インチ・オープンベイとの排他利用となり、そのための変換マウンタとオープンベイ用のフロントパネルが別途付属する。

 

 

底部のファンマウンタ。12センチファンを固定出来る。

流石に底面吸気となると、フィルタが付属するようだ。

なお、電源がこの吸気口からみて左に固定されるが、そちらも底面吸気式で、フィルタが付いており、電源側のフィルタはケースを開けずとも背面方向に簡単に引き抜けるようになっている。

 

・・・て、この辺のギミックも、どこかで見たような気がするんだが。

 

 

 

内部パーツを組み込んだ状態。

FWD-2000で構築していたときよりも、HDDの配置状態が明確になり、配線もすっきりした。

 

 

 

背面の状態はこうなっている。

HDD周りの背面部に余裕があるため、RAID用のケーブルでもきちんと収まる。

 

 

 

このように、縦方向のストレート型SATAでも余裕で入る。

この要件を満たした製品で一万円以下の製品は、横方向配置では本製品のみである。

 

 

とにかく、どこかで見たようなギミックが満載というか、

Antec P183 と、 Cooler Master CM690II を足して、制震化。

そのあと、コスト削減のために色々とチープ化したらこうなりました、というような製品です。

 

ただ、単純なパクリ製品と言うわけでも無く、「配線する際、ここにはこれだけの広さが必要」という観点をきちんと計算して設計してあるので、組み上げていく段階、配線していく段階で一切の迷いが起こりません。

簡易水冷を背面設置しても、上面ファンは干渉せず収まるし、背面配線は用意された位置にケーブルを通せば、延長ケーブルなど一切使わずキチンと収まる(フロントオーディオのみ例外だったが)制震構造は右パネルから電源固定部分に至るまでの徹底ぶりなど、単なるパクリで終わっていないのが好印象でした。

 

このメーカーの日本初上陸製品である"Define R2”は正直、「写真詐欺じゃねえか」と憤慨させられる代物でしたが、たかだか数ヶ月(上陸四ヶ月後くらい)で「R2の欠点を殆ど全部解消」してきた辺り、メーカーの姿勢とか本気度が窺えます。

 

現在、在庫のみの終息品、後継製品も発売済みということで、価格も手頃になりました。

私は今回サーバ用として購入しましたが、メインPC用としても十分お勧め出来る製品です。

 

とにかく徹底した制震構造のお陰で、HDDドライブの駆動音が聞こえないほど静かですし、 必要に応じてゲーミングケースに匹敵するエアフローを与えることも出来る(五月蠅くなりますが)など、利用目的に応じて色々とカスタマイズ出来るところも魅力。

R2を見て幻滅したって人も、このR3なら納得するはずです。

  • 購入金額

    6,000円

  • 購入日

    2012年11月10日

  • 購入場所

27人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (7)

  • れいんさん

    2013/01/21

    確かこれの白色がぁったような。。。
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