所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。フュージョン界のアーティストはヴォーカル入りの曲に挑戦し、新味を出そうと試みることが良くあります。有名どころではTHE SQUAREの「IT'S MAGIC」や、CASIOPEAの「What Can't Speak Can't Lie」．．でもジャズではなくフュージョンでヴォーカル満載の作品というのはさほどに多くありません。そんな中、当時のフュージョン界の一流プレイヤーとがっぷり組み合って、質の高いアルバムをモノしたヴォーカリストがいます。そんなアーティストの作品をご紹介します。

亜蘭知子。一番のメインの仕事は作詞家。TUBEの「シーズン・イン・ザ・サン」や三原順子の「セクシーナイト」あたりが超ビッグヒット。そのほかにもB'zや西城秀樹、田原俊彦にも詞を提供している。でも本人も歌が上手く、美形！ということで（かどうかは知らないが）自身でもアルバムを出した。ファーストとセカンドは伝説のバンド“マライヤ”から清水靖晃と笹路正徳

がそれぞれプロデュースしたが、もっともフュージョン寄りにその軸足を移したのが4thアルバムの本作。

モノトーンのジャケットがシブイ．．

 

当時日本でのフュージョンブームを支えていたCASIOPEA

が全面バックアップ！CASIOPEAも黄金期メンツ（野呂一生、向谷実、櫻井哲夫と神保彰）。その中では向谷がプロデュース、野呂を除く三人がプレイヤーとして参加し、全員が曲を書く（野呂1曲、向谷6曲、櫻井1曲、神保2曲）。向谷がプロデューサーなので関与が深く、全曲に参加。契約の問題なのか、リズムユニットは櫻井＋神保のCASIOPEAコンビで演られることはなくて、櫻井がベースを弾く曲ではドラマーはAB'Sの岡本郭男、神保が叩く曲ではプログレフュージョンバンドKazumi Bandからアイドルの歌伴まで幅広く活動する高水‘大仏’健司がベースを弾く。ギタリストは通してやはりAB'Sの松下誠、数曲でピアノに倉田信雄が加わる。

上手い彼女の歌声と楽曲の相性が良く、まさにヴォーカル入りCASIOPEA！

「SLOW NIGHTS」。唯一の野呂一生作曲の曲。野呂節ｗ。結構器楽曲（インスト）向けのメロディで、亜蘭が難しい節回しをきっちりと歌っている。夜の雰囲気の曲。

「RELAX」。櫻井の作曲でベースも櫻井。向谷のシンセブラスが黄金期のCASIOPEA。ブリッジのブリブリのベースがイイグルーヴ！！

向谷の「E★SPY（エ☆スパイ）」は、最もCASIOPEAらしいかも。まさにヴォーカル付きのCASIOPEA。サビが一番難しいという難易度が高い曲。シンセブラスのオブリにかかるモジュレーションとベンドが「向谷」！タイトなリズムは神保＋高水コンビだが、途中の2/4を挟んだ不安定な小節構成がスリリングだ。

Beingの設立時のメンバーだったが、離脱後すこし活動が縮小していた彼女。2010年度に活動再開、まだまだお美しい姿を見せてくれた。今は出身地の青森をベースに活動中。ちょうどこの頃のベストが昨年出たけれど、また新たな歌声を聞かせて欲しいヒト、です。

【収録曲】
1. DRIVE TO LOVE（愛の海へ）
2. SLOW NIGHTS
3. RELAX
4. I CAN'T SAY GOOD-BYE
5. E★SPY（エ☆スパイ）
6. WATERLESS POOL（水のないプール）
7. もう一度 SOUTH WIND
8. 裸足のサロメ
9. 13月の奇跡
10. PRIVACY

「E★SPY（エ☆スパイ）」