フュージョンギタリスト、Larry Carlton。何度かご紹介しているが、既に芸歴?40年を超えるベテラン。彼の長いギタリスト生活の中ではいくつかのプレイスタイルに分類される。新進気鋭のテクニック重視のキレるプレイ(といっても当時から歌ごころはあったけど...そいえばこのあたりのアルバム登録してないな)、一時期のアコースティックへの傾倒、瀕死の重傷からの帰還で生の喜び・神への感謝を歌った時期
自分を目標にしてきた後輩ギタリストとの共演での刺激し合う熱い演奏..
そんな自分の歴史を綴り直したこれは、ある意味ベスト。でも全てが新録。彼はいくつかのレーベルを渡り歩いてきたが、現在はメジャーを離れインディーズレーベルで作品を発表している。そこであまり枷にとらわれることなく、自分を表現している。
そして息子Travis (Carlton)との共演。クリスマスの団らんで
膝の上に抱かれていた少年が、いまや独り立ちしたベーシスト。彼と自分の歴史をともに振り返りたかったのだろうか。
そして脇を固めるプレイヤーがすばらしい。キーボードはここでは盟友Terry Trotterではなく、TOTOやRobben Fordへのサポートで知られる天才、Jeff Babko。ドラマーはこれも鬼才Vinnie Colaiuta
にサックスはPaul Cerraという布陣。
まずはなんと言っても「Room 335」。「(Gibson ES-)335」は彼自身のトレードマーク、ジャケットにも写るセミアコースティックギターであり、彼の代表曲かつ出世作の名でもある。“Mr. 335”の称号は自他共に認めるところだ。今回のテイクはLarryのハーフオーバードライヴな歌うギターが中間部のブリッジの粋なヴォイシングと十分な長さのエンディングソロで堪能できる。Vinnieのハイハットワークがすばらしい。録音も良く、クローズドハイハットの閉め方の差(足の踏み込みの強さ)まで感じられる生でアツイ録音。強いて難癖つけるならキーボードソロの前のフィルインに曲を通して一音だけエレドラを使ってるけどあれは不要だな。
「High Steppin'」。アコースティック傾倒時代の作。これはかなり原曲に近い。相変わらず「夜」を強く感じる曲だ。Travisのハーモニクスを織り交ぜた静かなベースライン、ゆっくりとしたリズムのキメの上で弾かれる中間部のCOOLなソロが「夜のしじま」という感じ。
「Red Hot Poker」。熱いロックンロールチューン。Paulのサックスが疾走しJeffのたたきつけるようなピアノがダイナミックだ。Vinnieはこういう正統派ロックンロールでこれかい~wと言うような、バスドラ二つ打ちを多用したスピーディーでドライヴィンなドラミング!!Larryもここでは一見(一聴?)ブルースハープのようにも聴こえるワウがバリバリに効いたソロで、「アナタハホントニモウスグ60サイデスカ...?」(録音当時)というキレっぷり。
静かな曲ではエモーショナルな円熟の味を、テクニカルな曲ではひけらかすのでなく奥深く、エネルギッシュな曲はあくまで熱く!!静かに燃えている熾火の様な、渋く光り輝くいぶし銀のようなプレイ。これ、2007年の作品だけれど、日本では2010年に輸入盤+本人による曲解説の和訳つきでリリース。あまりプロモーションされていないけれど、イイ盤です。Amazonは試聴ファイルのあるmp3に繋いでるけど、自分の持つのは2010年解説付きのモノ(Amazonだとこっち)。“Volume One”との事なので、続編期待で!!
【収録曲】
1. All In Good Time
2. Room 335
3. Smiles And Smiles To Go
4. Hello Tomorrow
5. High Steppin'
6. Kid Gloves
7. RCM
8. Red Hot Poker
9. Terry T
Larry Carlton – Official Website of Mr. 335
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購入金額
2,500円
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購入日
2012年01月31日
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購入場所
新星堂
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