レビューメディア「ジグソー」

聴いたことがなくても、懐かしい...

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。知らなくても懐かしい。日本人なら心のどこかに持っている共通の旋律があります。そんな琴線に触れるメロディを綴るピアニストの作品をご紹介します。

村松健。ピアニスト。カテゴリーとしてはフュージョン~ニューエイジ。当初はバンドなども入れたフュージョンピアノではじまり、日本的な旋律を中心とするソロピアノ+αに振れて、ソリッドな音作りのニューエイジに行き、少し戻って幻想的でポエジィなソロピアノとなり、今はアーシィなヒーリング音楽に。もうすぐ芸歴?30年を迎えようという彼は現在は南の島に住み、三線とのコラボレートなど西洋的なものとは離れつつあるが、本作は「少し戻って...」のあたりに位置する。

基本的にひとり多重録音。ゲストはチェリストが2曲、ギタリストが1曲。優しく、語りかけるような、そしてどこか懐かしくて切ない旋律が並ぶ。

「ゆきもよい」。村松らしいダンパーを踏んだ流れるようなプレイの曲。右手の装飾音、左手のよどみない伴奏。時に強く、時に優しく....しんしんと降り続く雪のよう。

「DAN-RO」(4曲目)8曲目にも同名の曲があるがそちらはピアノソロ。こちらはリズムマシンにベース、コード弾きのシンセサイザー。初期の後半、以前ご紹介した“THE FIELD SONG”

に似た風合いがある。無機質な打ち込みに合わせ、COOLで、でも郷愁を誘うどこか日本的なメロディを弾くというのが彼のカラーの一つ。8曲目はソロなので緩急で感情表現しているが、こういった無機質な一定のリズムでもきちんと表現できるところが彼。

「春の野を行く」は1986年の初出からこれで3度目の録音の名曲。子供の頃見た朱い夕焼けのような、春山に吹きそよぐ風のような日本的な旋律を持つこの曲は今回はチェロとの共演。江原望が二重録音したチェロとの三重奏。弦のビブラートが切ない。長めの無音部を挟んで実はシークレットトラックとしてもう一度「春の野を行く」が奏でられる。こちらはオカリナのような二胡のような素朴な音色でメロディがなぞられる。郷愁を誘う音色と旋律だ。

なくしてしまった子供の心を探しに行きたくなるような、そんな曲達です。

【収録曲】
1. ゆきもよい
2. 奇蹟のピアノ
3. 雪あかり、星あかり
4. DAN-RO
5. 迷子の天使
6. パウダーブルーの海
7. グリーン・スリーブス
8. DAN-RO
9. A Quiet Place
10. 春の野を行く
11. 春の野を行く(Secret Track)

Ken Muramatsu Official Site
  • 購入金額

    3,000円

  • 購入日

    1997年頃

  • 購入場所

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