レビューメディア「ジグソー」

唸れ15000rpm四重奏!サーバー向け高回転HDD

ラックマウントサーバー向けの2.5インチHDD。現品はHP向けのマウンタが付属しているが、マウンタから外せば一見普通の2.5インチHDDだ。

2007年頃のモデルで、容量は70GB程だが、なんといっても15000rpmという高回転が特徴。
インターフェイスはSAS。ぶっちゃけ私自身「SASってなんぞや?」状態なのだが、判りやすく言えばパラレルATA→シリアルATAに対するSCSI→SAS(Serial Attached SCSI)ということのようだ。


当然SCSIの流れだけあって、一般的なコンシューマ向けマザーで使用するには、別途SASインターフェイスを備えた拡張カード類を使用する必要がある。ドライブ側のコネクタは一見SATAに近い形状だが、SATAにはつなげないようになっている。逆にSASカードにSATAドライブを接続することは可能だ。


今回はこのHDD4個(!)と一緒にSAS RAIDカード「MegaRAID SAS 8708EM2 SGL」をセットでちょもさんから譲っていただいたのでそのままセットでRAIDまで遊べちゃう。
但しSASを導入するにあたって面倒なのがケーブルの単品入手。SASカード側のコネクタ種類が多い上に一般的な店では販売していないので、専門店やネットオークション経由での入手となる。


今回のケーブルだと電源はペリフェラル4pinに変換されるので、電源ユニットのソレを接続…

が、搭載しようとしていたPCについている電源が、プラグインケーブル欠品状態でもらった電源だったのでコネクタ不足に。結局別のAntec製電源からケーブルを奪い取るハメに。互換あってよかったー。



●速度計測
とりあえず1台での速度を計測。まともなRAIDカードを触るのがはじめてなので、もしかしたら設定がおかしいかもしれないが、とりあえずこんな感じ。

シーケンシャル速度こそ昨今の高密度プラッタモデルに劣るものの、ランダム系の速度はHDDとしてはかなり高い。さすが高回転だ。
参考:2012年製のWD Black・HGST 1TBプラッタ
参考:2012年製のWD Black・HGST 1TBプラッタ

まあ逆に言えば、最近のWD Blackは7200rpmでもランダム系の速度が旧型エンタープライズ向けに迫ってきているという証左か。


4台でRAID5を組むとこんなかんじ。ちょっとまだRAIDカードを上手く扱えてないので設定ミスとかあるかもしれないが、キャッシュに収まらないデータ量+RAID5でもここまで速度は上がる。
…再び逆に言うとHGSTの1TBプラッタ、どんだけシーケンシャル番長なんだよ。


体感速度に関しては、RAIDカードBIOSの読み込みが入る分起動速度はむしろ遅くなるし、RAID5を組んだ状態でもSSDのような劇的な変化はなく「じんわり速い」といった感じ。但しゲームのロード時間等はWD Black単発と比べても着実に短くなっている。


●音と温度

しかしベンチ云々より驚くのがその音と温度。15000回転というMAZ○AやH○NDAもビックリの高回転の代償としてHDDとしては甲高い旋盤のような音を響かせる。そして温度もバラック状態だとあっという間に40度を突破し、ホッカホカに。特に背面チップ部分の熱が怖い。

どちらも静音性を考える必要の無いサーバー向けならではの豪快さ。故に一般的な自作PCで使うには相応の冷却が必要で、騒音も覚悟する必要がある。


今回使用したケースはAntecのP183-MSI。元々密閉型で静音性は高く、更にHDDはシリコングロメットを挟んだ独自の固定方法で振動対策も万全…なのだが、それでも昨今のコンシューマ向けHDDに慣れた身にはスゴイ音だ。
P183上部マウンタはそのまま2.5インチ搭載可能 下部は変換マウンタを挟んで2台の計4台搭載
P183上部マウンタはそのまま2.5インチ搭載可能 下部は変換マウンタを挟んで2台の計4台搭載

特に起動時はキュイイイイイインとまさに「起動」音がして大迫力。しかも今回4重奏。

但し救いだったのが、P183自体が高音域を遮断する能力が高かった点。サイドパネルの有無でこのHDDの音がかなり変化する。逆に言えばこの手のケースでないと(それはそれで楽しいのだが)個人的に常用許容範囲を超える音になってしまう。

また温度に関しても、P183はHDDの冷却に関してはかなり優秀なケースでありファンの風が直撃する位置にも関わらず30度台を保持。一般的なHDDだと冬場は温度が下がりすぎるくらいのケースなのでその発熱はお察しだ。



●消費電力
もういきなりドンと消費電力計測結果グラフを。ACアダプタ自体が1W程消費するので、1台あたりの実消費電力はグラフの値から1Wを引いた値が近くなる。

グラフ側で分類分けを忘れてしまったのだが、一番上が今回のSAS 15000rpm 2.5インチ、その後SATAのWD Black WD4001FAEX・1TBプラッタのDeskstar 7K1000.D・旧型のWD Greenの3.5インチHDD3台セット。そして一般的な2.5インチHDDのTravelstarにSSDが4種となる。

こうして見ると15000rpmとはいえ、複数枚プラッタによる4TBの巨艦WD Blackに比べれば控えめな消費電力なのが判る。さすが2.5インチの小型モデルだ。

とはいえ1枚プラッタのDeskstarや、旧型とはいえ低回転省エネモデルのWD Greenに比べると大きめな消費電力だ。まあ2007年発売のST973451SSと2011年発売の7K1000.Dを比べるのも酷な話なのだが。

一方一般的な2.5インチHDDや、昨今のSSDと比べると諸費電力の差は歴然。しかもコイツをRAIDを組んで4台搭載した日には…それだけでアイドル30Wチョイが程度する計算だ。
しかもスピンアップ時はワットモニター読みで20Wを消費。ワットモニターは完全リアルタイムという訳ではないので瞬間的な消費電力はもっと多いかもしれない。今回はそれを4台。ヘタな電源だと起動でコケる可能性もある。特に複数台数搭載時は電源容量には余裕を持っておくか、カード側で起動時間をずらしたほうがよさそうだ。





SSDの大容量化と価格低下が進み、信頼性もそれなりのものになってきた今、あえて一般用途のPCにコレを使用するメリットはかなり少ない。SSDなら消費電力は少ないし、音はしないし、発熱も殆ど気にしないでいい。一般的なSATA3接続で圧倒的な速度をたたき出す。

我が家にあるHDD相手でも、コントローラのチューニングで速度を上げたWD Black、1TBプラッタを採用してシーケンシャル速度を上げたHGST Deskstar 7K1000.Dなどもなんだかんだで結構速い。何より手軽。



SASインターフェイスのハードルも考えると決して手軽に導入できるものとは言い難いし、見返りを求めるならSSDのほうが確実だ。

しかし効率だけを求める自作PCでは味わえない面白さがある。エキゾーストのように唸り声を上げるモーター音と不規則に発せられるシーク音。機械が動いてるぞ!という感じはゾクゾクする(マテ)。何よりこういう癖のあるパーツをぶち込み、動作させる達成感はやってみないと判らない。
  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2013年02月25日

  • 購入場所

コメント (11)

  • ヒロ妨さん

    2013/03/07

    最近は、車もハイブリッドや、電気自動車になり、
    あまり音がしなくて寂しいですが、やはり給気音、排気音は魅力です。
    特にオッサンは。ww
  • ちょもさん

    2013/03/07

    レビューお疲れ様です!
    SAS HDDって、どう頑張ってもSSDの方が圧倒的に速いのは解るのですが、
    ・15,000rpmという圧倒的な回転数
    ・メカニカルなHDDという満足感(謎
    ・なによりも、ほかにユーザーが少ない変態構成(爆
    という点がいいですよね。

    サブマシンがMBE2073RC×4のRAID0構成ですが、SSDと比べるとシーケンシャルは並ぶものの、ランダムは圧倒的敗北。
    SAMSUNG SSD840 120GBが余ったので交換したら圧倒的に速いこともあってふと心が揺らぎましたが、ここでSSDにしたら単なるツマランPCだ!ということで、今でもSAS HDD運用です。

    電源ON時に、一気に4台のHDDがスピンアップする音は、かなりうるさいですが気持ちいいのも確かですw
    ただ、SAS HDDってお互いの振動が共振することがあって、そうなると低周波の非常に不快なノイズになることがあります。

    RAIDカードのファームウェアで、一度にスピンアップするHDDの台数を制限できますので、一気に4台とか、1台ずつとかサウンドを変えられます。
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